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アルフレッド王編・夢の国の果て 4

 15歳になった僕は、義母たちの陰険な嫌がらせを受け続けたことによりすっかり隠れ女嫌いとなってしまっていた。


 何故『隠れ』かというと、表に『女嫌い』を押し出すと、


「あの王子、実はホモらしいですワっ!」


「んまァ! ○○公爵夫人( ← 城一番のスピーカー)にお知らせしなくては。

 ああ、○○伯爵夫人( ← 城二番目のスピーカー)にも!!!」


 という事が容易に想像できるからだ。

 そうなれば、宮中の召使や出入り業者の口を通して10日後には全国民に知れ渡ることになるだろう。


 女というのは本当に恐ろしい。


 剣を握る節々とした手も隆々とした肉体も持たないのに、『噂』という暗器で思わぬところから切りかかってくる。

 あんな妖怪ウワドリアみたいな奴らと結婚し、生活を共に過ごすなど到底我慢できそうにない。


 父君は何故あんなに女好きなのだろう……。

 確かに父の選んだ妾妃たちは美しい。しかし美しさだけを求めるなら、血の通わぬ人形でも飾っておいた方がまだ無害で経費もかからない。

 

 信じられる女性は母様だけ。

 僕は一生結婚などしなくてけっこうだ。


 父王が正妃様のお子を廃し、僕が次期王位継承者となった後には色々な変化が訪れた。

 もちろん悪い方にだ。


 暗殺方法もより凝った芸術的なものに変わったし、嫌がらせもいっそうネチネチとした陰湿なものに変わった。

 それでも何とかかわしていたのだが、とうとうある日、母上までもがその毒牙にかかり暗殺されてしまった。


 馬鹿な父王も、やっと事の深刻さに気が付いた。

 そうして細々としたツテをたどり、僕を『最も安全な地上の楽園』と言われるエルシオン王国へと逃がしてくれたのだ。


 僕はエルシオン王国への道中に考えた。

 母を殺したあいつらを、絶対に許さない。絶対にだ。


 最初は正妃様の境遇に同情を寄せもした。でもその結果がこれだ。

 甘さなど一切捨てるべきだったのだ。


 今は祖国を遠く離れるが、僕は継承権までは放棄していない。

 いつの日か舞い戻り、奴らをあらゆる残虐な方法で殺してやろう。


 卑劣な手段のお手本は、奴らが全て示してくれた。

 僕が王となったなら、その日から血の復讐を開始するのだ。


 まずは大国エルシオンの王族や有力者に取り入ろう。


 僕のような田舎王子など、歯牙にもかけられないだろうけどあらゆる手段で近づいてやる。

 そのために泥を舐めるような行いをしたっていい。


 暗殺を恐れて夜も眠れぬ日々よりは遥かにマシだ。




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