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アルフレッド王編・夢の国の果て 3

「お前を守るために皇太子の地位につけた」


 父王はそう抜かしていたが、思い違いも甚だしい。

 僕は益々お義母様方に憎まれた。


 確かに第一王位継承者であった正妃様のお子を見れば、父王が大変不安になるのもわかる。


 あの弟は奇跡的に、王妃様の曲がってしまった根性は受け継がなかった。

 多分、王の浮気ストレスを他の妾妃やそのお子たちに投げつける一方、自分を未来の国母に押し上げてくれるはずの我が子にはデロデロに甘く優しかったせいだろう。


 その上、お子はブス……いやいやご容貌の少々劣る実母には似ず、見事な金髪でお顔も中々可愛らしい。

 何より天真爛漫。そして優しい良い子なのだが………………頭が致命的にゆるい。


 それは、僕のような者のもとにもニコニコ笑顔でやってきて、「お兄様、お兄様」と無邪気に慕ってくれることからもよくわかる。


 人の悪意を疑わないというのは、平和な片田舎の凡夫の子であれば素晴らしい資質であったろう。

 でも、有力な王子に取り入って旨みを得ようとするやからが跋扈する王宮では悪才となる。


 現に弟はあの幼さで色々やらかして、父は毎日頭を抱えている。

 

 父王の妾妃は現在、10人を超えた。

 お子は、僕や正妃様の子供を合わせて4人。


 妾妃の数よりお子の方が少ないのは、妃同士の嫌がらせやたくらみによって小さいうちに暗殺されることが多かったからに他ならない。


 ちなみに生まれたのは父の思惑を裏切り、すべて男児ばかりだった。


 そして、書庫の管理人風情の母から生まれた僕が皇太子。


 やりようによっては身分低い妾妃の子供でも『皇太子の地位が狙える』ということがわかり、争いは益々激化していった。


 宮廷の雰囲気は悪くなる一方。

 妾妃たちの経費やお子の養育費はそれなりにかかる。


 全くもって、良いとこなしだ。


 払い損のまま夢敗れて後で悔やむところなど、まさに富クジと一緒。

 どうして父君や臣下たちは、あんなつまらない夢を描いてしまったのだろう。


 確かにわが国は貧しい。資源にも恵まれない。


 けれど同じ条件の小国のいくつかは、独特の産業を自力で盛り上げ発展している。

 どうせ見習うなら、あのような国々を見習うべきだったのだ。

 


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