アリシア外伝・窓の外の雪 27
明日ラストです。
「リオン、エルに何か変な事とかされてたりしないっ?」
そう言うと、リオンは首をかしげた。
「変なことですか?
突然そんなことを言われても……でもそういえば………………」
「心当たりがあるのっ!?」
叫ぶように言うと、リオンはこっくりと頷いた。
「先日兄様は『弟ちょきん』をするって言って『ぎんこうやさん』にお金を取りに来てもらっていました。
あれはいったいどういったものなのでしょうか?」
「そっちかっ!?」
「他には――――――僕が眠ろうとすると、兄様は必ず僕のベッドに入ってきて……」
「ええっ!?」
今度こそヤバイ話かっ!!
「そうしていつも僕に絵本を読んで下さいます。
小耳に挟んだところによると、絵本とは『もっと年の幼い子供』に読む本らしいのですが、変ですよねぇ。
でも、これは内緒にしておいて下さいね。
変かもしれないけど、僕は兄様の声を聞きながら眠るのをすっごく楽しみにしていますから」
……う~ん。
話を聞くと、どうも『可愛すぎる弟』を猫可愛がりしているだけで……他意は無いようである。
女装をさせたのも多分、かなりちっちゃい頃の話なのだろう。
これだけ可愛らしければ、一度ぐらい女の子の服を着せてみたくなるのは、わからなくもない。
結婚の約束をしたのもその頃と考えると、辻褄が合う。
まぁ、そんな感じで私たちは普通に仲良く話をした。
結婚の件も、一応何とか理解してもらえたようだ。
仲良くなってみると、リオンは大変可愛らしい。
こんな弟なら私も欲しいものだ。
馬鹿兄のエルになんか、もったいない良い子じゃないの。
お買い物がちゃんとできたご褒美として、リオンが欲しがってたガラス玉のブレスレットも帰る道すがら買ってやった。
リオンはとても喜んだし、出費としたらご飯を奢ってあげた事を込みにしてもたいしたものではない。
ちょっと甘いような気もするけど……ま、いいか。
私もエルのことばかり言えないな~。
帰城するともうけっこう遅い時間だったので、リオンは先に部屋に返すことにした。
これ以上遅くなると、あのブラコン兄にどんな文句を言われるかしれたものではない。
一人で王のもとに、今日買ったばかりのお茶を届けにいった。
明日の朝でも大丈夫ではあったが、良い報告は早い方がいいだろう。