アリシア外伝・窓の外の雪 4
「わ、わかってます! いちいちうるさいですねっ!!」
いや、全然わかってないし。
リオンは時々あのバカ兄と町に出かけてはいるが、何と言うかあまりにも過保護にされてるせいか、地図さえろくに使えない。
明後日の方向に進もうとするのを何度も何度も引き戻し、丁寧に教えては修正させる。
自分で地図を見たほうが早いに決まっているが、この子だっていつかは兄から独り立ちしなければならない。
それに一度教えさえすれば、次からは同じ間違いをしないぐらいには飲み込みが早い。
面倒でもきちんと仕込む方が、この子のためにはなるのだ。
それにしても、エルさえしっかりしていればリオンだって今頃、もっと男らしくキリッと育っていたはず。
そうして友達も大勢出来て、町にだって一人で出かけ、兄離れもとうに出来ていたはずなのにあの馬鹿兄めが。
まったく忌々しいヤツだ……。
さて、途中からはリオンもどうにかこうにか地図を使えるようになり、食品店ゾーンまで無事たどり着いた。
あと2ブロックも抜ければもう、目的の店が見えることだろう。
あたりはこの寒さにもかかわらずにぎわっていて、仕入れ用の大型馬車が頻繁に行きかうと共に、買い物の人々でごったがえしている。




