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外伝 ヴァティールの独り言3

 そうして子供を助けてやっているうちに、いつのまにかワタシは『森の神』と呼ばれるようになっていた。


 しかし、時々遊びにやって来る同属と他愛も無い喧嘩をすると、向こう100年ほどは『悪魔』とも呼ばれる事になる。

 人間から見たら、巨大な火柱が上がったり、落雷が落ちたりするからだ。

  

 しかし、どう呼ばれようとワタシは気にしない。

 100年などあっという間に過ぎる。

 人間がワタシをどう呼ぼうと、一夜の虫の音と同じなのだ。


 それでも人間は、摩訶不思議な生き物で面白い。

 想像力が豊かで、思いもしない神話を作る。


 ワタシがモデルであろうと思われる神話もそれなりにあり、根も葉もない伝説が嘘99.99%に基づき次々と創造されていく。


 あまりにも面白い、その様々な『創作伝説』にある日気づいてからは、それらを野次馬するために、人間に化けて町の芝居小屋などに通ってみたりもした。


 なにしろ暇だったからな。

 人間については、そのときかなり詳しくなった。


 そんな昔のことに思いをはせていると、

 

「……ヴァティール、聞いているのか?」


 幾分低い、不満そうな声が耳に飛び込んできた。


「ああ。聞いているとも」


 もちろん聞いちゃいなかったが、エルには一応こう返す。

 何故なら聞いている振りをしておかないと、号泣するからだ。

 

「ヴァティール。お前が常識はずれなことをすると、本来の体の持ち主であるリオンまで変な目で見られる。もっと品行方正にしてくれないか?」


 やや落ち着きを取り戻したエルが、小さな子供でも諭すかのようにワタシに言う。

 

 でもコイツ自身がまだ子供だし、世間ってものが全く見えていない。


 エルはいつも、


『弟が変な目で見られる』


 ……と言うが、ワタシが目覚めた時点で、すでにリオンの噂は最悪だった。


 直接エルに言う奴はさすがに少なかろうが、影で言われている言葉を拾ってみたら、『こんなに悪し様に言われる人間も少ないだろう』というぐらいの酷さである。


 実際、やっていることも人間にしたらえげつなく、評判ならむしろ今の方が良い。




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