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リオン編   死神4

 また数日がたった。


 今日の任務はすこし嬉しい。

 というか、と~っても嬉しいっ!!


 何故なら、任地の途中まで兄さんと一緒に行けるから。


 兄さんは基本、親衛隊長として王の側に居る。

 そこが一番安全なのは僕にもわかるので、不服は無い。

 というか、そこにじっと居てて欲しい。


 だけど難しい任務のときだけは、兄や親衛隊の数人が後詰として駆り出される。

 優秀な人員が常に不足しているので、それは仕方ない。


 でもまあ、後詰なら大丈夫だろう。


 何故なら僕は、任務を失敗したことは一度も無い。

 後詰の出番なんか、あるわけがない。


 だったらやはり、一緒に行けるのはとても嬉しいことなのだ。

 

 けれど、一つ問題もある。

 兄さんは相変わらずとても悲しそうで、ちっとも笑ってはくれない。


 多分僕が暗殺隊を抜けるまで、笑ってはくれないのだろう。


 それはもう、仕方が無い。

 兄の安全と引き換えなのだから、僕は暗殺隊を抜けるわけにはいかない。


 けれど今日は……人目を忍ぶ馬車内は……僕と兄さんの二人きりっ!!

 そう、二人きりなのだ。


 こんな嬉しいことが、他にあるだろうかっ!?


 最近僕らは生活時間帯がずれていて、兄とはろくに話も出来ていない。

 だから兄さんと一緒に居られる……ただそれだけで何か得をしたような気分だった。


 ああっ!!

 兄さんは憂い顔さえとても綺麗だなぁ……。

 じっと見ていると、何だかドキドキしてしまう。


 ちなみに暗殺隊員たちも、僕といる時はいつも葬式みたいな暗い顔だ。

 でもこちらはちっともドキドキしないし、美しくもない。ただ鬱陶しいだけだ。

 

 何でこんなに違うのだろう?

 


 そうこうするうちに、敵地についた。

 兄とは、ここで別れなければいけない。


 残念だけど、危険なところまで一緒に来てもらうわけにはいかない。


 今日の敵はガラムという頭脳戦が得意な人で……このガラムの抹殺と、治める施設すべての破壊が任務だ。

 僕はここから闇にまぎれながら他の暗殺隊員と合流し、敵施設を破壊する。

 

 兄さんが、敵地に向かう僕を名残惜しそうに見送って下さる。

 う~ん。

 こんなふうに見送ってくださるのなら、やっぱり違う服にしておけば良かった。


 僕は、全身真っ黒のこの隊服が好きじゃない。

 兄さんとご一緒するなら、本当は兄さん好みの明るい色の可愛いデザインの半ズボンの服……それが駄目ならせめて白い軍服にしておきたかった。

 

 けれど、王からの許可が出なかった。

 

 一応申請はしてみたのだけど、ひきつった顔で無言になったあと、『無理』とだけ返された。

 夜にまぎれるならやはり、この服でないとマズイのだろう。


 とても残念だ。

 



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