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リオン編   死神1

 更に1ヶ月がたった。


「兄さん!!」


 仕事を終えた僕は、兄のいる執務室に飛び込んだ。

 今の僕は、暗殺部隊ドゥルガーの隊長。

 そして兄は実力を認められ、王の親衛隊長となった。


 公務のときはそれなりの態度をとらねばならないけど、極秘とされている僕の報告を聞くときだけは人払いをなさるから、つい素に戻って『兄さん』と呼んでしまう。


「今日はαーz地区を落としてきました。簡単でしたっ!」


 僕はわざと嬉しそうに言う。


 だって兄さんは僕を不憫がって、いつも葬式みたいな顔で報告を受けるから。

 兄さんは、僕がドゥルガー隊に入った頃から笑わなくなった。


 元々兄さんは、僕をその任に就けたくなくて大反対していた。

 でも僕は、その任についた。


 この難しい仕事に就ける実力があるのは、国中探しても僕か兄さんだけ。

 そして僕と兄さんなら、僕の方が向いている。


 いざとなれば魔法も組み合わせて戦える僕は、炎術で屋内の敵を焼き殺してから隊員たちを突入させる事が出来る。

 それに僕は、幼いときから定期的に魔的処理を受けている。今は魔獣と融合しているせいか体もますます頑丈で、傷の治りも普通の人間よりうんと早い。


 対して兄さんは1対7ぐらいまでならまず負けないだろうが、魔剣士ではないのでそれ以上は厳しい。

 それにお優しいから、絶対にどこかで足をすくわれる。


 兄を暗殺部隊などに入れるわけにはいかないのだ。


 幸い王は、誠意を持って丁寧にお願いしたら、3秒で認めて下さった。


 アースラ様は『説得の時は誠意をつくせ』とお遺しになっておられたけれど、やはり人間、誠意が一番なのだと実感する。


 扉の修理代が気になったけど、結局前回の時の修理代は、功績と引き換えにチャラになった。

 僕はこれからだって、国のため、兄さんのために功績を積み上げる。

 きっと、扉代ぐらいはチャラにしてもらえるだろう。


 

 暗殺隊を任された僕は、どんな場所であっても、相手が十数倍であっても、絶対にしくじらなかった。


 任を降ろされたら、次は兄さんが戦わなければならなくなる。

 それだけは絶対に嫌だ。


 隊員の事も完璧に守り、どこからも文句が出ないよう、任務を速やかに遂行する。

 ずっとこの仕事を任せてもらうために。

 

 


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