リオン編 明日を歩く4
嫌な客もたまにはいた。
僕にベタベタ触ろうとしてくるのだ。
もちろん、どんな武器を隠し持っているかしれたものではない他人に、むざむざと触らせたりはしない。
接客用笑顔のまま、ひょいと身をかわすことにしている。
また、うちの店はほぼ未成年ばかりの構成なので、警備は他店より厳重だ。
おかしな客は即つまみ出した上に『出入り禁止』にしてくれるので、不愉快なことは少ない。
魔剣を出して戦わねばならないような危険も、一切なかった。
一方、兄様……じゃなくて『兄さん』は、数時間しかない私的な時間を、ほぼ僕のために使って下さっている。
闘技が終われば僕と一緒に仲良く城に帰り、二人仲良く部屋で夕食を取りながら、楽しい話をいっぱいする。
その後は一緒に勉強だ。
兄さんは普通の子供がするような範囲の勉強はすでに終えていて、僕につききりで年相応の勉強などを教えて下さった。
僕が学んできたのは神学と魔術と数学。それにエルシオンの裏歴史と闘技とクロス神官心得だけ。
兄さんはそのことにビックリしてらっしゃったけど、僕だってものすごくビックリした。
特に『道徳』の教科なんて、神殿で言い聞かされてきたこととは大きく違う。
とはいえ、その教科書の筆者の言いたい事はわからなくもない。
僕もそれなりに『外の世界』で過ごしたから。
でもそれは、歴史に名を残したわけでもない、誰かの『キレイゴト』でしかない。
アースラ様のお考えのほうが、ずっと深くてご立派だ。
もしも僕が『キレイゴト』だけで生きていたならば、今頃僕や兄さんは死んでいる。もしくは誰かの奴隷となっていることだろう。
そんなのを『素晴らしい人生』『豊かな人生』とは言わない。
僕はそう思う。
今日?評価入れてくださった方、ありがとうございます♥
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