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リオン編   慟哭7

 でも兄様は、すぐに気がついて下さった。


「……リ……リオンなのかっ!!」


「あは。やっとわかって下さった。嬉しい、兄様!!」


 僕はぎゅっと兄様に抱きついた。

 想像していた『感動的な再会場面』のように。


 やったぁぁぁぁ♪

 僕はやりました。やりましたとも、アースラ様!!


 思わず口元が緩むが、まずは言いたいことを言っておかねば。

 今までは魔獣に邪魔されて、何一つ口に出せなかったのだから。


「ヴァティールがずっと邪魔してて、目が覚めても中々出られなくて僕……。

 でも解縛後の魔力が枯渇している今なら出られるんじゃないかと思って試してみたのです。

 ……あいつの言うことなんて聞いてはいけません兄様。

 あいつは魔獣。そして魔獣は『王家の道具』なのです。

 本当は王家の神官魔道士である僕が支配するはずだったのに、僕を支配した上あんなとんでもない嘘を。

 それにアースラ様は厳しいところもおありだったようですが、邪悪どころか高潔で私欲の一切ない立派なお方です。

 魔獣ごときがアースラ様を汚すような発言をし、敬愛する兄様にあんな無礼な口をきくなんて……」


 本当に糞な魔獣だ。

 あほ、バカ、まぬけ。さっさと死ね。


 ……と、付け加えたかったけど、兄様は下品な言葉がお嫌いなのでそこらへんはぐっと飲み込んだ。

 僕は『魔獣』とは違うのだ。


「あ、でも心配しないで下さい。今度こそ魔獣をしっかりと魔縛しました。

 もう二度と兄様に無礼な口などきかせません。

 魔獣の捕縛にはたくさんの血がいるのです。

 血の魔法呪で縛るから。

 でもほら、こんなにいっぱい!

 だから――――何の心配も要らないのです!!」


 そう言って血で濡れた手のひらを宙に掲げた『僕』を兄様は……不審そうに見つめた。


 マズイ!!

 そういえば『今やった術』は死んだ人間の血を使った禁呪。


 汚き魔獣ならともかく、こんな事を可愛くて、善良で、心優しい弟の僕が嬉しそうにやったら、途方も無くまずいだろうッ!!


 いくら兄様に再会できて嬉しかったとはいえ、もう少し自分のキャラ……じゃなくて、立ち位置を考えて行動しなくちゃいけないのに……僕の馬鹿馬鹿!!

 

 今からさっきの行動をごまかせるか!?

 いや、出来る出来ないじゃない。僕はやらねばならないのだっ!! 

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