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3・王家の秘密

 落葉月12日


『腹心の者の告げ口により、王の寵愛を受ける女性が他にも居ることを知ってしまった。

 とても悲しい。』


 涙の後がついていた。


 積雪月13日


『とうとう妾妃が懐妊してしまった。

 王はその日はじめて、妾妃がいる事をわたくしに打ち明けた。

 許せない。』



 ふむふむ。

 言葉は短いが、中々の修羅場があったようだ。


 あの穏やかな母上が『許せない』と書くぐらいだから、ひょっとしたら掴み合いの喧嘩ぐらいはあったのかもしれない。


 でも、国内で父が腹踊りをしたという記録がないところをみると、この秘密は守り通したようだ。

 何だか切ない。



 霧雨月16日


『男子が生まれた、との報告があった。

 王は「これでもう何も心配無い。女性は出産により命を落とした」と仰っていた。

 

 でも、わたくしは知っている。

 女性はおそらく、口封じに他所にやられたか殺された。

 子供は、あの忌まわしい儀式に使われた。


 王が妾妃を娶った事を知った時は『他の女性に心を移されたのか』とお恨み申し上げたけれど、やはりすべてはこのためだったのだ。

 わたくしの二人目の子供があの忌まわしい儀式に使われることが無いよう、冷たい水に漬かってまで子を流したのに、なんという事だろう』

 


 ……それから先は、悔恨の言葉が並べられていた。


 なぜ妾の子を母が哀れんでいたのか、せっかく妾妃を娶り、子をなしたにもかかわらず、父はその存在ごと消し、息子を地下に幽閉したのか、それを読んでやっとわかった。


 リオンは、造られるべくして造られた子供だったのだ。


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