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リオン編   異変5

 兄様が気づいたのは、かなりの時間がたった後だった。


 血でぬれた服は僕が着替えさせて差し上げた。

 昔は神官服以外の着方なんて知らなかったけど、今は兄様に教えていただいたので大抵の服なら自力で着られるようになっている。


 兄様に着せることだって、今ではそう難しくはない。


 丸一日たって、やっと兄様が目を開けた。

 定期的に鼓動を確認してはいたが、心の底からホッとする。


 兄様がいつもの優しい目で僕を見て微笑んだ。

 そして部屋を見渡し悲鳴を上げた。


 きっとまだ、意識が混乱しているのだ。

 

 そうだ、兄様が気がかりなあまり、葬儀を行うことも出来ずそのままにしていたあの4つの死体。

 あれが良くなかったのだろう。


 ここは領土の端とはいえ、エルシオンの国土。


 もう王子ではなくなったとしても、愛すべき臣民の無残な姿を見て優しい兄様が平気でいられるわけが無い。


 この村に来て初めて兄様以外の人の優しさを知った僕だって、こんな様を見るのは心が痛い。


 父親は母たちを、母は子供たちを、そして兄は弟を守るように抱きしめたまま事切れていた。

 

 僕は兄様をぎゅっと抱きしめた。僕が不安がっていた時、いつも兄様が僕にそうして下さったから。

 しかし兄様の反応は、僕が思っていたものとは違った。

 

「うわああああああああああああああ!!」


 兄様は、ますます叫びを高くした。


「離せ!! 離してくれこの化け物!! 俺にっ! 触るなぁぁぁっ!!!!」


 僕はその言葉に凍りついた。

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