表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
170/451

3.許し

 リオンの事は、今では話題に上がることさえもない。


 ヴァティールに上書きされた『大人しい弟』の事など、誰ひとり関心を示さない。

 まして滅んでしまった国の幼い姫・ヴィアリリスなど、誰かの記憶の片隅にさえ存在しない。


 あの愛らしい弟妹を覚えているのはもう、世界中探したって俺だけになってしまった。

 忘れられた二人の代わりにエリス姫やヴァティールが、皆の注目や愛情を一身に浴びている。


 あれほど脅えていたブラディやアッサムも今ではすっかりヴァティールに慣れ、奴の事を『救国の英雄』として崇めている。

 美しく優しいエリス姫を誉めそやし、その境遇に同情を寄せている。

 他の奴等も似たようなものだ。


 ヴァティールは相変らず我侭だが、不思議と奴の行く先々には人が集まる。エリス姫の元にも。

 そうやって、あいつらが城の人々と……皆と屈託なく笑う姿が妬ましい。

 

 俺が見たかったのは、リオンや妹のそういう姿だったのに。

 


 そうこうするうち、姫は15才の誕生日を迎えた。

 本国アレスからは煌びやかな祝の品が届けられたが、エリス姫はそのすべてをブルボアの民のために差し出した。


 今年に限らず、姫はいつもそうしている。

 こういうところも敵国人ながら姫が好かれる所以なのだろう。


 ただ、今回アレス本国から持ち込まれたのは品物だけではなかった。

 驚くべき提案が密かにアルフレッド王に持ち込まれたのである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ