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買い物とセカンドキス

プレゼントを仕方なく、失くさない様に身に着け周吾と一緒に外に出る。周吾が、電車やバスを使うなんて想像はしていなかったが、歩いて行くのか疑問だった。しかし、門の外で待つように言われ素直に従って待っていると、車が庭の奥から出て来る。


「乗って」

「周吾さん、車の免許あったのですね」

「どういう意味」

「何でもありません」


面倒くさがり屋の周吾は、てっきり免許なんて取っていないものかと勘違いしていた。初めて会った時も歩いていて、翔子の車でも後ろの席で座っていたからだ。翔子の車とは違い、周吾のは外車。詳しくないので名前までは分からないが、国産ではないのは確かだ。


「これって、外車ですよね」

「そう」

「外車なんて乗るの初めてです」

「俺と一緒にいる事で外車、体験出来てよかったね」


滅多に乗る事がない初めての外車だ。ちょっとだけ、周吾が自分の車を自慢しているように見えた。しかし、美春にとって価値など分からないので、どうでも良かったのは周吾に内緒。


「きっと高い車なんですよね。でも、高いわりに中は狭く感じますね」

「・・・」


『勿体ない』と、何気ない一言で周吾がこの後大胆な、行動をするとは思いもしない美春。急に黙ってしまった周吾を、不思議に思いながら助手席に乗る。この車は、二人しか乗れない様になっている為、必然と助手席に座る事になった。


暫く車を走らせ、先に向かったのは車屋だった。何故、車屋に用事があるのか思っていると周吾に出る様に言われて車から出る。周吾が、この店で一番大きくて広い車を店員に聞いていた。買い替えると言うので、慌てて美春が止める。


「ちょっと周吾さん。あんな立派な、外車有るじゃないですか」

「あの車は、中が狭くて気に入らない」

「まさか・・・私の言った言葉気にしてるのですか」


美春の狭い一言で、周吾は国産のファミリータイプの車に乗り換えてしまった。いくら言っても、周吾は聞く耳持たないので美春は諦めた。立派な外車は、どうするのか聞けば売るらしい。そして、誰かに電話をしたと思ったら、店員に一言話しかけその場に車を置いていってしまった。

「まさか本当に買い替えるなんて」


一括購入したうえ、オプションを色々付け加えていた。注文の物を全て取り付けて、引き渡すには時間がかかる。一週間かかると言われたが、二時間と条件を周吾が出す。店員は嘆いていたが、その代わりにレンタカーではないが、お店を宣伝する車を借りる。借りるぐらいなら外車を置いて行かず、そのまま乗ればいいのにと、思った。周吾は宣伝をする代わりに、二時間で全てやれと、圧力をかけていたようだ。何だかんで、次に向かった先は家電屋。


お店に入るなり、その辺の店員に『ついて来て』とお供させる。

冷蔵庫、テレビ、オーブン、ドライヤー、各部屋のエアコン等色々、店員に指示を出す。それからパソコンを使えるか周吾に聞かれて、検索程度ならと答えたら、パソコンまでも購入。しかも、全てがランクの高い最新の物だった。


そして次に、家具を買うと言うので再び、車に乗ってついて行く。ダイニングテーブル、ソファー、何やら適当に店員にあれこれ指示を出して此処でも、一括購入。車屋でも家電屋でもそうだったが、周吾が迷わず色々一括購入をしたものだから店員は、周吾にペコペコして終始にこにこしていた。女性店員は、陰から周吾がお金持っていてカッコいいと、騒いでいた。


こうして色々生活に必要な物を買ったわけで、美春が全て買うのを気が引かない様に。困らない様に周吾が勝手に、買ってくれたんだと美春は思った。だが、一日での買い物総額が、恐ろしくて計算出来ない。簡単に見積もっても、数百万は必ずいっている。車を含めたら、それだけじゃ足りない筈。美春は、なるべく考えないようにした。


買った物全ては、今日中に家に届けられ設置してくれるようだが家に居なくて良いのか聞くと、家に待機させてると言われた。誰が?と、聞いてみたが教えてくれない。

一通り、周吾の買い物が終わったので美春の好きな所に、連れて行ってくれると約束してくれた。キッチン用品が無いので、100均に行きたいと答えたら問題が無いと、軽く断られてしまう。何が問題ないのか、美春は分からない。しかも、100均って何?とまで言われてしまった。他に買いたい物といえば、薬局で女の子の日に、必要な物を買いたくて周吾に連れて行ってもらう。


周吾の目の前で買うのは、恥ずかしかったので文句を言う周吾を無理矢理、車の中に残して一人で買い物をした。車を降りる時に、カードを渡されたが本人以外で使うのは駄目ですよと、断った。元々、女の子用品を周吾に買わすつもりはないが、簡単にカードを渡す周吾にもう少し危機感を持って欲しいものだと思う。


薬局から戻って来ると、周吾が不機嫌な顔をして車から出て、ドアにもたれ立っていた。周りには、お姉さん方が数人いて周吾を囲っている。面倒そうにお姉さん達を、無視していて嫌なら車の中にいれば良いのにと、美春は苦笑した。


言い方は悪いが化粧が濃いお姉さん達を見て、とてもじゃないが、あの中に入っていく勇気がない為じっと周吾達を見ていた。面白い事に良く観察していると、完全に周吾からお姉さん達は、無視されている。それでも構わずお姉さん達は、必死に自分に振り向いてもらおうと、話しかけていた。世間で言う、逆ナンと言うものなのかと、ちょっとだけお姉さん達に感心してしまう。周吾が美春に気付き、物凄い不機嫌な顔で此方にやって来る。お姉さん達も、一緒について来た。


「遅い」

「すみません」

「何この子?もしかして、妹か何か?」


化粧が濃いだけではなく、香水も酷くにおって気持ち悪い。美春の事を妹と勘違いして、初め敵意剥き出しだったお姉さんが、急に態度を変える。


「変な女達が、来た。責任とって」

「責任?」

お姉さん達を無視して、二人で会話をしているので痺れを切らしたお姉さん達が、文句を言う。


「ちょっと、二人で無視しないでよ!」

「黙って」

「妹と出掛けないで、私達と遊びに行きましょうよ」


あくまで美春は妹扱い。周吾も、いい加減にしてほしかったのか美春の腰を引き寄せて、お姉さん達の目の前で、抱きついて来た。それでも、騒ぐお姉さん達に周吾は見せびらかす様に、美春の顎に手を添えてキスをする。


「ん、・・・」

「いやーーー」


お姉さん達は騒いで悲鳴を出す。その間にも、周吾は美春に何度も角度を変えて、口づけをした。満足したのか、漸く周吾が唇から離れる。美春は驚いて力が入らなく、周吾にしがみついた。


「こういう関係。邪魔しないで、どっか消えて」

「妹とそんな事して許されると思ってるの」

「誰が妹言った。それに、本当に妹だったら君達に関係ある?」

「えっ」


面倒な女と、冷たい声で発すると一人のお姉さんが泣き出した。女性の大人が泣き出してしまった事で、周りが何事かと野次馬の様に集まってきてしまう。他のお姉さん達は、ばつが悪そうに、そそくさと逃げて行った。漸く動けるようになった美春も、恥ずかしくて周吾の腕を掴んで急いで、車に乗り込む。


「何急いでるの」

「当たり前です。あんな公衆の面前で、きっ、きっ・・キスなんて」

「メイドのせいで、変な女達が来たから」

「人のせいにしないで下さい」


人の唇を何だと思ってるのか、怒りながら独り言をいう。

周吾が『俺のもので、キスする為』と、所有者の様に当たり前に言った。美春は唇は自分のもので、周吾とキスする為に有る訳じゃないと、車の中で叫ぶ。

周吾と美春の、当初のキャラ設定が違ってきてしまいました(汗)

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