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ファーストキス

美春の目の前には気のせいだろうか?ゴミ、ゴミ、ゴミ。

足の踏み場もない酷い状況だ。


「不破さんこれって夢なのでしょうか・・・っ痛。何するんですか!?」

「夢と勘違いしてたから抓ってあげた」


容赦なく頬を抓られ左頬はジンジンと痛い。

家の中の光景は、外の立派な庭とは違いゴミだらけだ。一様掃除したのだろうか、袋が何個か置いてあるが中身はパンパンで、少し破けている。まだまだ床には散らかったゴミ。中に入るよう急かされるが足の踏み場もないのにどうしろと?目で訴えるが周吾は、土足のまま踏む付けて進む。


「これで片付けて」

ポイッと投げられた物を見れば、可燃や不燃などの袋にゴム手袋。次から次へとバケツや雑巾など投げてくる。


「これだけ掃除用具があるのに、何故掃除しないのですか。ゴミ袋だって捨てましょうよ」

呆れながらもゴム手袋をはめて、近くに新品らしい長靴があり土足では気が引けるので履き替えた。


「掃除なんて面倒。それ全部女が持ってきて逃げた」

「当たり前ですよ、皆さん驚いて逃げます。メイドさんとか雇ってないのですか?」

「金はあるが雇うのが面倒。掃除しなくても生きていける」


きっと、何人もの女性が掃除する為に来たのだろう。可燃袋だけが、異常なほど大量にあった。

お金持ちで顔もカッコいいのに、欠点が一つはあるんだなぁと思う美春だったが、性格も意地悪?面倒な癖があるので二つだろう。


「奴隷、家片付けて。家が無いから住んでもいいけど、絶対俺の命令は聞いて」

後は用がないらしく二階の奥の部屋に進んでいこうとする。


「その奴隷って言葉何とかなりませんか?」

思わず叫んでしまう。案の定、周吾からは不機嫌な顔をされた。


「俺の奴隷に奴隷言って何が悪いの。さっきのおっさん共にお持ち帰りされたかったんだ?」

「そうじゃなくってもう少し言葉を変えて・・・家事するならせめてメイドとか」


不機嫌丸出しの顔に怖気づいたが、奴隷と言う言葉は抵抗がある。本当の変態さんじゃない限り美春は、安易に受け入れられない。


「分かってるんです。助けてもらったし、何でもするって約束したし、一生懸命働きます・・でも」

「面倒なガキ・・・奴隷の分際で命令?」

「違います!命令とかじゃなくお願いです」


周吾は溜息をつけば『あー面倒。助けなきゃ良かった』小さい声だったが、確かに美春には聞こえた。追い出されると思って体が固まってしまう。無言で何かを考えてる周吾は美春をじっと見つめ、見つめるより睨んでる方が近いだろうか・・・


「百歩譲って奴隷は無し。君の仕事は変わらないし、ちゃんと働いて・・・メイドさん」


ふっと笑うその顔にちょっとだけ惚れちゃいそうになった事は秘密。

一階の各部屋やリビング、ダイニング、キッチン一通り片付けた。何週間分のゴミが袋に詰められ、広いお庭なので、勝手に外に置かせてもらう。周辺住民がいないので、匂いで苦情はないだろう。

二階も片付けようとしたが、汚かったのは一階がメインで、二階はほとんど綺麗だった為、掃除機で吸って水拭きだけで済んだ。周吾の部屋も片付ける為に中に入ってみれば、寝るためだけらしく、ベットと数着だけ服が床に散乱してるだけだった。


周吾から話に聞けば、二階から一階にゴミを捨てていたらしい。大きなゴミ箱と勘違いでもしてるのではと驚いたが、面倒な周吾の性格ならそれも有りなのか?

美春は深く考えないようにした。二階を水拭きや換気している間に、周吾は何処か出かけてしまったが、掃除に専念していた美春には気にも留めなかった。朝、周吾から助けてもらってからこの家全体を綺麗にするのに、時間はかかってしまい夕方になっていた。


洗濯ものは、フル稼働で動かし竿やハンガーが無かったので、干せれる物は適当に干して後は、一般家庭ではない大型の乾燥機の使い方に苦戦しつつ、突っ込んで乾かした。此処でも女性たちが、持ってきたと思われる色々な種類の洗剤や、柔軟剤がありどれを使おうか悩んで、自分好みの匂いを探した。

一階を片付けて気付いたが、立派なソファーやテーブルがあった。

ゴミが散乱して、周吾の専用ゴミ箱状態になっていたので、ソファーは黒ずんでおりテーブルは傷だらけだった。


(こんな高そうな家具勿体ない)

テーブルを除菌ティッシュで拭き、片付ける場所が分からなかったので、乾燥機で乾かした洗濯物を畳んでその上に置いた。女性物の下着が沢山あったが気にしない事にする。一通り全てやったが、周吾は帰ってこないしご飯を作ろうにも材料が無い。メモを残して外に一瞬買い物にでも行こうかと思ったが、又追いかけられる可能性がある事と、この家に入る時指紋認証と暗証番号だったのを思い出し出掛けるのは止めた。


手持ち無沙汰に困っていたが疲れが一気に来たようで、眠気が襲う。

黒ずんでるとはいえ、少しだけなのでソファーの上で横になれば、直ぐに瞼が閉じて夢の世界に誘われた。眠ってしまえば今までの出来事が夢なんじゃないかと思うほど、夢の中では普通に日常生活をして変わらない日々を送っている。きっと悪夢だったんだと、夢の中で現実を夢と勘違いして安心していたのだが、何故か息苦しくて急に目の前が、真っ暗になってしまった。何も見えない暗闇で、どんどん息だけが苦しくもがいているとスッと苦しさが無くなり光が見え美春は、ゆっくり目を開ける。


「何寝てるの」

「ふ・わさん?」


目を開ければ目の前に、鼻と口を押さえてたらしい周吾の顔が近くにある。キスが出来そうな距離だが、寝ぼけている美春は全く警戒がない。


「おかえりなさい不破さん」

「・・・・・」


まだ、うとうとして笑顔で話す美春はヘラっと笑えば、寝ぼけ過ぎと鼻を思いっきり抓まれる。完全に目が覚め、鼻が痛すぎて涙が出る。折れてないか、鼻を心配にさすれば周吾に箱を渡され、思わず受け取る。


「これは何ですか?」

「エクレア」


中身を見れば、確かにエクレアだが、その数が多すぎる。例えば周吾と美春で二個ずつだとしても、エクレアはあまる。


「不破さん多すぎませんか?」

「女は甘いものが好きでしょ。労働したら甘いもの摂取は、基本」

「・・・」

「早く食べて、俺が買って来たのに食べれない言わないように」


周吾の手によって、強引に口に入れられてしまう。

高級のエクレアなのだろうか、程よい甘さに中身のカスタードクリームに少しリキュールが入ってるのだろうか?気持ち的に酔ってしまいそうな美味しさだ。


「凄く美味しい!」

「俺が食べさせてあげたから、美味しいよね?」

「食べさせてもらったからでは、ありませんが美味しいです」

「生意気なメイド」


『しまった』と周吾の言葉に固まり俯いてしまう。此処で生意気な態度してしまったら追い出されるかもしれない。素直に謝れば、許してもらえるだろうと顔をあげれば、真剣な瞳で美春を見ている周吾。やはり怒って追い出されてしまうのだろうか、不安になると周吾の両手が美春の頬に触れる。


「不破さん」

「黙って」

そのまま顔が近付き、何をされるか怖くて目をぎゅっと瞑れば、唇に湿った感触がある。そっと目を開けば周吾の顔が離れる瞬間だった。


「今なにを」

「舐めた」

「舐めたって・・・何処をですか?」

「口」

クリーム付いていたから。平然とした態度でいる周吾に美春は怒る。


「ファーストキスなのにっ、不破さん酷いです」

「キスじゃない舐めただけ」

「唇に触れたんです。舐めたと、一言で済まさないで下さい」


薄ら涙しながら周吾の胸を叩けば口癖のような言葉『面倒』に手が止まるキスじゃなかったとしても美春にだって理想のキスがあった。綺麗な夜景を見ながらさり気無く相手から優しくキスされる事を夢見て、勿論理想なのだから現実に実行する事がないのは分かっているし本当のキスではなくてもショックだ。


「何処に行く」

「出て行きます。不破さんも面倒なガキと一緒では、嫌でしょうから」


助けてもらった分際でこんな態度は良くないが周吾の本音はわからない。いつ追い出されるかも分からないし、本当は渋々思ってるだけで今すぐ追い出したいのかもしれない。外に出ようと、玄関に向かおうとすればバンっと凄い音がし、驚いて振り向けばテーブルを叩いたであろう周吾の怒ってる顔があった。折角美春が畳んだ物が崩れて一部落ちている。


「俺の命令は絶対と言った勝手に出て行く事は許さない・・・それに」

一歩周吾が近付けば、美春が一歩後ずさる。よく分からない恐怖に、玄関まで走りドアを開けて、門の所まで走るが開かない。門をガチャガチャとゆらし、無駄な事だと分かっていても、ずっとガチャガチャしてしまう。


「何で開かないの?」

「入る時もだけど、出る時も指紋認証と暗証番号でしか開かないよ。面倒だけど、セキュリティーは必要だからね」

万が一不審者が侵入して、逃げようとしても出れなくする為らしい。

そして美春の後ろまで来ると、頭と腰を固定して動けない様にする。唇と唇を塞ぎ、触れるだけだが美春は、長く感じた。


(な、何でキスされてるの?)

離れたくても、周吾が頭と腰を固定しているので無理な話だ。美春はパニック状態で、息の仕方を忘れてしまい苦しくて唯一自由な腕を、周吾の背中に回しドンドン叩いた。


「これがキス。わかった?本当は、深いの教えてあげたいけど、メイドは初めてだからね」

初心者には早いからと言われ、何故かにこりと満足気に微笑んでる周吾が不気味で、何も言えない。


「もう一回だけ言う。勝手に、出て行こうとしない分かったね」

最後の言葉で、周吾は家の中に戻り姿が見えなくなった。

文章力のなさに悩みます。書いていて展開早すぎた・・・

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