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ナンパとデート?

今着ている服を買ってくれた周吾。ストールは店を出た瞬間、取られ首が急に寂しく感じる。ちょっとだけ不機嫌な周吾に、黙ってついて行く事にした。何か言えば、八つ当たりされそうで怖いからだ。しかし、袋が何時の間にか増えている。着替えている最中、何か買ったのだろうか?


「周吾さん、その袋持ちましょうか?」

「なんで」

「だってメイドとして仕事しないと」


貸して下さいと、手を出すが頑固拒否された。荷物持ちではないのか?問いかけたが、無言状態で先に進んでしまう。何処に行くのかも分からず、ひたすら後を追う。しかし、勝手に歩いていた周吾が機嫌を悪くして話す。


「メイドは、なんで隣で歩かないの」

「好きで後ろを、歩いてるわけじゃ」

「言い訳しない。隣、来る。デートの意味ない」

「デート!?」


隣で歩くよう言われ、驚いている美春に無理やり手を繋ぐ。しかも先程、転ばない様繋いだ様な感じではなく、世の中が言うカップル繋ぎだ。途端、機嫌が良くなり片手は、美春と手を繋ぎ、もう片方は荷物で手が塞がっている状態。一度、車に戻って荷物を置いた方が楽だと提案したら、今度は素直だった。一緒に荷物を持って、車に行くと言えば、これは周吾に拒否される。大人しく待つよう言われ、絶対に一歩も離れるな。子供扱いされて、少しムッとするが素直に言われた通り、大人しく待つ。だが、大人しく待っていても向こうから、やって来るのは仕方ない。


「ねぇねぇ、君一人?立ってる位なら俺達と、遊ぼ」

「一人じゃないです。後から、人が来ますから」

「そうなの?じゃぁ、その子が来たらダブルデートしようよ」

「それは、無理ですね」


なんでー。と、だらだら話す男達に困る。どうして、断られている事が気付かないのか・・・それとも分かっていて、わざとしているのか。


「わかった。本当は、男に振られたんでしょ」

「え・・・違います」

「隠さなくていいよ。彼氏にドタキャンされたなら、慰めてあげる」

「必要ありません」


『勿論、体で』と、いやらしい発言にやばいと感じた。足で踏ん張るが、男二人に両腕を拘束されれば女の美春が、力で敵う筈も無い。本気で何処かに連れて行かれそうになって、思いっきり足で右側の男を蹴る。


「いってー、何すんだよ」

「それは、こっちのセリフです。ドラマじゃないんだから、勘違いにも度が過ぎます」

「はあー?そんな所にキスマーク付けて、誘ってるしか思わねーだろ」


美春が気付いていない首付近の、痕を気持ち悪い触り方で触れて来る。ぞわっと、生理的に気持ち悪い感覚になって更に抵抗した。それでも、男達は諦めずに美春を連れて行こうとする。暴れている内に、体力が無くなり、だんだん力が弱くなってきてしまった。それを、又もや勘違いした男達はニヤついて美春を

いやらしい目で見た。

(もう、駄目かもしれない)


「勝手に人のものに触らないって、学校の先生か親に躾けられなかった?」

「周吾さん」

「おっさんには、関係ないだろ。あっち行けよ、年寄はお呼びじゃねーの」

「口の締りが悪い、今日から誰かが躾けてくれる。感謝するんだな」


男達は、意味わからないと騒いでいる。こんな、やり取りをしている事で皆が集まって来た。軽い野次馬が出来ても、男達は離れて行く気配がない。ざわざわ、周りも騒ぎ始めた頃。


「刑事さんですよー。そこの二人、拉致未遂で任意同行お願いしますね」

「ちげーよ。俺達は同意だったのに、おっさんが勝手に」

「うーん。じゃあ、仕方ないね」

「刑事さん、違います。私、この人達に」


若い男の刑事に、勘違いしないよう誤解を解こうとする。

「別の件で、逮捕しちゃおうかな?麻薬所持及び密売で、君達を逮捕します」


急に目付きが変わる刑事。さっきまで余裕でいた、男達は『やばい』逃げようとした。しかし野次馬が出来ていた為、道を塞がれ刑事数人に、取り押さえられ手錠をかけられた。刑事の話によれば、二人は最も危険な麻薬を密売、更に美春のような抵抗できない女性をターゲットに。何人もの女性を、薬漬けにして変態マニアに売っていた事もあるらしい。多少の情報があれど何処にいるのか、何処に現れるのかが不明で警察も、手こずっていたようだ。


「まさか不破から連絡来るとはね」

「情報提供」

「何、その手」

「謝礼」

「冗談?」

「真面目」


刑事と周吾は知り合いなのか、そんなやり取りをしている。刑事が渋々懐から何か出せば、さっと奪い取ってしまう周吾。まさか、お金?と思ったが周吾がお金を欲しがるわけがない。なら、何だろうか美春が考えていると。


「絶対、俺からって知られないように」

「情報提供の、条件だ」

「それでも!探すの苦労したんだ、有り難く思え」

「探すの当たり前。有り難くは思わない」


『相変わらずだ』と、刑事が言い二人で盛り上がっている。美春には、全く分からない話で蚊帳の外。その謝礼というのが、チラッと見えて写真のようだ。一体何が写っているのか、そこまで周吾が興味あるものが興味あり、気になってしまう。


「周吾さん、何が写っているのですか」

「これは・・」

「あーーーーっ!わーわーっ!これは、君みたいのが見るものじゃないよ」


必死になって隠そうとする刑事。早く仕舞えと、周吾に怒っていた。

「没収されるのも嫌。だから、メイドは見ちゃ駄目」


見せてもらおうと、手を伸ばしたが刑事に止められ周吾は一旦見せてくれそうな素振りだったが、意味深な発言で見せてもらえなかった。美春は、此処まで男二人が隠すものと言えば、如何わしい写真だと思い諦める。勘違いしてしまった美春に、周吾は眉間に皺を寄せてしまったが何も言わない。刑事はヒヤヒヤしていたが、同僚に叱られて仕事に戻って行った。最後に念を押して。


「周吾さんも男の大人ですしね。私は、気にしませんから」

「・・・後で覚えてろ」


何も言えない周吾が後日、刑事に仕返しをした事は二人だけしか知らない。そして例の写真は暫く見つかる事も無く、周吾の観賞用として大事に保管される事になる。


「デートの続き」

「あのですね、デートとは付き合っている者同士が」

「行くよ」


話も聞かず、又もさっさと進んで行く。今回違うのは、前もって美春の手を繋いでいる事。まだ野次馬の列がありジロジロ視線を感じ、恥ずかしかったが周吾の堂々とした態度に、自然と視線は無くなった。それから周吾は宝石を美春に買い与えようと、お店に行くので入るのを拒んだ。感覚がとてもじゃないが、付いて行けない。拒む理由を言っても大した事じゃないと、言う。美春にとっては大した事だ。それに美春は、雇い主である周吾が宝石や服を買い与えるなど、理解に苦しむ。美春が頑固として拒むものだから

段々と、不機嫌になってきてしまう。


「こっ、こんなのデートじゃありません」

不機嫌になり出した周吾が怖くなってしまい適当に、言い訳をする。


「デートじゃない?」

「そ、そうです。デートとは、お互い楽しむものであり一方的にするものでは無いです」

「つまりメイドは楽しくないと」

「うっ・・そうです」


デートのつもりも無かったが、周吾がデートと言い張るならしょうがない。周吾の感覚でのデートなど、美春には付いて行けないレベルだから。どうせデートするなら一般人の、美春が楽しむデートがいい。付き合ってるわけでは無いが、恋人同士ならこう思いたいだろう。


「メイドのデートってなに」

「えっと、それは・・・」


実際にデートをした事が無い。美春のデートと、言われても何がデートかさえ分からないが、田舎にいた時の友人の言葉。


『彼氏がね、下の名前で呼んでくれないの』

『年上だからデートも無理して遠出して高級なお店ばっか』

『リードしてくれるのは良いけど、自分勝手なのよね』

『見栄を張って、中身はからっぽ』

そう、友人達からの言葉を思い出して考える。これって、ほとんど周吾に当てはまっているのではないか?それとも、男とは皆そういうものなのか。


「あのですね。先ず、下の名前で呼んでほしいです」

「下の名前?」

「無理して、高級店行ってもつまらないです」


とりあえず、友人が言っていた言葉を並べて伝えた。それが、少しだけ周吾のプライドを傷つけてるとも知らず。


「じゃあ、メイドのデート教えて」

「デート・・・それは、おっ、お散歩です!」


思わず散歩と叫んでしまった。友人達の言葉では、学校帰りに一緒に帰ったり、寄り道して移動式の出店で軽く食べたり。そんな些細な事を楽しみたかったと、聞いていたので結論から導きだした結果。散歩と叫んでしまう。美春自身、散歩とは可笑しいだろうと思ったが言ったからには訂正出来ない。


「散歩がデート?」

「えっ、まぁ私は散歩がデートと思っています」


違いますよ。そんな事、言えず苦笑いしながら周吾に答えた。何か考えている周吾は、車の方に向かい始める。急にどうしたのか聞くと、デートのやり直しする。そう、言われ車に戻った。嘘をついた事に罪悪感を感じ、心の中で謝った。

美春さん・・・言い訳を散歩がデートは(笑)

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