表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/28

ご主人様?

国枝美春くにえだみはる十九歳・・・人生最大の危機にいる。

両親は一年前に他界しており、保険金を残してくれたお陰で大きな額では無かったにしろ、高校は中退しなくてすみ、一年間は生活が出来ていた。


高校を卒業後、都会に出て一人暮らしを始めたが、就職するはずだった所が突然の内定取り消し。

すでに引越しも完了していたので田舎に留まる事も出来ず、バイトを掛け持ちしながら生計を立てていたそんな暮らしでも地味ながらに今の暮らしを楽しんでいた。


だが、何故かバイトが終わり家に帰ると強制退去されていて荷物も全て消えており。大家には、迷惑だから二度と近寄るなと冷たい一言で終わる。途方に暮れていると、知らない怖いおじさん達が追いかけてきた。

何故か『金返せ』を連呼しながら追いかけて来るので、美春は必死に走りながら逃げる。




・・・数時間後・・・

何とか逃げてコンビニのATMでお金を引き出しネットカフェに潜んでいる。

幸い通帳と印鑑など大事なものはいつも持ち歩いていたので助かったが、本来あるはずの家は追い出され家の中にあった家具や服が全て無くなっていた。

バイト先にも事情を話すため電話したところ、クビの二言で切られてしまった。


(どうしてこうなったの?)

意味がさっぱり分からない美春は一晩ネットカフェでうずくまりながら泣いた。

ずっと、ネットカフェにも居られないので行く当ても無いが外に出る。


怖いおじさん達がいないか、挙動不審になってしまい。周りからは逆に不審者扱いされてしまうが、今はそれ所じゃない。あんな怖い思いなんてごめんだ!元々田舎から都会に出て、バイトに明け暮れていて親しい友人もおらず頼れる相手もいない。田舎では多少なりとも助け合いがあるのだが、此処は都会・・・恐い冷たい場所だ。現に家は強制退去、怖いおじさん達に追いかけられバイト先にはクビにされ誰も信じられなくなりそうだ。


警察なら助けてくれるだろうか?近くの交番に向かおうとすると・・・昨日の怖いおじさん達が、目の前にいた。回れ右をした瞬間、脱兎の如く逃げる。又も金返せと叫びながら、怖いおじさん達と鬼ごっこを再開する羽目になってしまう。


逃げても逃げても、追いかけて来て気のせいか人数が増えてる息が切れかけて苦しくて倒れそうになる・・・限界に近い状態で角を曲がった瞬間、誰かにぶつかった。


今ので体が動けなくなってしまい諦めてその場に座り込んでしまう。

息がし難くも一様ぶつかった相手に謝ろう。と、顔をあげると物凄く不機嫌で世間では、カッコいい部類に入るお兄さんが睨んでいた。後ろからは、怖いおじさん達がいて自分を捕まえようとしている。


「お兄さん助けて下さい!」


最後の悪足掻きに、目の前のカッコいいお兄さんに助けを縋る。


「君は謝りもしないで、それが人に助けを頼む態度なのかな?」


顔だけだとカッコ良いが意地悪。いや、助けてくれるならこの際何でもいい、助けてくれるなら美春にとって救世主なのだから。


「お兄さん謝りもせずごめんなさい。お願いです助けて」

「嫌」


欠伸しながら何処かに行こうとするお兄さん。後ろでは怖いおじさん軍団の一人が、美春の腕を掴む。物凄い力で掴まれ、痛くて涙が出る。


「お願い!何でもする。助けてくれるなら何でもするから・・だから」

「何でも?」

「え?」

「家事は出来る?」


何故此処で家事の話なのだろうか?疑問に思っていれば。


「出来るのか出来ないのか、どっち」

「出来ます。家事は得意です」

「何でもする?」


早くしてと急かし聞いてくる。


「なっ何でもします。絶対します約束します誓います」

「その言葉忘れないように」


お兄さんは、ニヤリ笑いながら美春の腕を掴んでいたおじさんの顔を思いっきり殴る。その拍子に腕は開放され、代わりにお兄さんの腕の中にいた。


「今から俺の奴隷になったから」


楽しそうに笑いながら他のおじさんが襲ってきても、足だけで蹴散らしている。

あっという間に相手を倒してしまいおじさん達は、お決まりの捨て台詞『覚えてろ!』を残して消えていった今時言うんだなと心の中で笑ってしまう。


「来て」


腕の中から解放されて付いて来るように指示され大人しく従う。これからどうすれば良いのか、分からず相手が黙ってるので美春も黙る。黙々と歩き続けるだけで会話が無いのが耐えられず、美春はお礼も兼ねて言葉を発する。


「あの助けていただき、ありがとうございました」


背中を向けているので頭を下げても相手には気づかないだろうが、礼儀としてきちんとしなければいけないと深く頭を下げる。


「今日から奴隷。俺の為に働くように」

「ど、れい?ですか・・・いやぁ・・・ちょっとそれは」

「何でもするって言った約束は守って」


優しそうなもの言いに、くだらない事言ったらさっきの男達に渡すと言われてしまえば黙るしかない。

(奴隷って言われるだけで大丈夫よね?)


「興味ないけど借金でもある?さっきのが又来ても面倒」

「いえ私にも何が何だか分からず・・昨日から追いかけられて家も強制退去されてしまって」

「ふーん。借金家出少女かと思った」


本当に面倒みたいで、話は終わってしまった。無言のまま歩き続け凄く静かな場所に来る。先ほどから不思議なことに、家が一軒もないし車も通らない。


「変な事お尋ねしますが、此処は何処で今何処に向かっているのでしょうか」


せめて行先ぐらいは知りたい。

やはり面倒なのか?凄い不機嫌な顔をされ、溜息をされる。


「奴隷は俺の世話をするのが当たり前。家に向かってるけど、着いた」


指紋認証と暗証番号なのか?何やらごちゃごちゃした後、カチャっと聞こえたのでやたらと大きな門が開くと思ったら隣の小さい門扉が、開いた。入ったらすぐ閉めてと言われ従う。明らかにお金持ちにしか思えない程立派な庭と家がある。


(これだけ立派な家だからメイドや執事が沢山いるのかな?)

良く分からないが、本物のメイドや執事に会えるかもと思うと妙に興奮してしまう美春。


ワクワクした気持ちでいると玄関前に着いたらしく立ち止まる。

『お帰りなさいご主人様』そう言うのだろうか?それとも、旦那様?テンションが高く美春の顔が緩む。決して変態ではないのだが他人から見れば少し引くだろう。


だが、何故か一向に扉は開かないしメイドや執事などそれらしき人物は現れない。

美春の事を奴隷と言うお兄さんも動かない。

(怪しい)


「そういえば名前って何?」


又もや興味ない発言をする。だったら聞くなと言いたいが我慢だ。


「国枝美春十九歳です」

「・・・不破周吾ふわしゅうご二十九歳」


名前をお互い名乗ればニヤっと不破修吾が悪そうな顔をし扉を開ける中に入る前に気付くがその凄まじい光景に固まってしまう。


「今日からヨロシク。奴隷さん」

面倒そうな顔ではなく笑顔で美春に呼びかけた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ