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小鳥の声が聞こえる。
優雅な朝だ。ベットもフカフカだし。
「失礼します。勇者さま、朝食の準備が整ったのでお知らせに参りました」
ん?なんか前にもこんなことあったような…
皆さんはデジャヴというものを知っているだろうか。日本語では既視感とも言う。
こんな光景前にも見たことがあるような…といったあれである。
俺はそのデジャヴとやらを感じている。
取り敢えず体を起こすと目の前に女性の顔があった。彼女にも見覚えがある。
「はじめまして。私勇者様のお世話をさせていただくユーリと申します」
彼女の顔を見ていると頭にズキっと痛みが走った。そしてその瞬間、頭の中で彼女の横たわっている姿がフラッシュバックする。
………ああ。思い出した。なるほど、そういうことね。
はああ、とため息をついていると彼女が心配げに顔を覗き込んできた。
「勇者様?いかがなさいました?」
「んー。なんていうかあれだよ。俺はこれから何度死ぬのかと思うと気が滅入ってね…」
「なにをおっしゃってるのですか。勇者様にもしものことがあったら我国にとって大きな損出が生じます。そのようなことには困ります」
その困ることが起きるんだよ!今日しかも真昼間に!
なんとなく現状は理解した。しかしまあこんな厄介な能力…
「創造とか時止め能力がよかったなー」
「?」
「ああ。こっちの話だから」
訝しげな表情をするユーリに手をふりながらなんでもないと答える。
今俺がするべきことは
「ユーリ。王女を呼んでくれるか。大事な相談があると伝えてくれ」