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小鳥の声が聞こえる。
優雅な朝だ。ベットもフカフカだし。
「失礼します。勇者さま、朝食の準備が整ったのでお知らせに参りました」
勇者?誰のこと言ってるんだ…。顔を枕にうずめながら疑問に思っていると
「俺じゃん!?」
バッと顔をあげると見知らぬ女性の顔が目の前にあった
「おおっ?」
「はじめまして。私勇者様のお世話をさせていただくユーリと申します」
ベットの手前に姿勢正しく立っている女性。年は20代後半といったところか。
「あ、はい。はじめまして」
「今日のご予定は朝食後、王と謁見のちに城の案内となります。よろしいでしょうか?」
よろしいでしょうか、と聞かれてもな。今の俺に別の予定なんてないしな。
「はい。よろしいです」
「では食堂にご案内しますね」
なんかやけに機械的な人だな。まあいいけど…
そのあとは普通に朝食を食べた。
俺は今、謁見のため王の間の前にいる。
流石に緊張するな。
ユーリがノックをして入ろうとしたが、内側から返事がない。
ユーリはそれを不審に思ったのかもう一度ノックをした後、そのまま扉を開いた。
彼女がなかに入っていったので俺も後に付いていく。
その部屋で最初に見た色は赤だった。鮮やかな赤。
中には十数名の兵士と王がいた。いや正確に言うとそうだったものだが…
俺は理解が追いつかず、呆然とその場に立ち尽くしていた。
ドサッ。横から音がした。ユーリが横たわっていた。
「え?」
ザクッ。俺の下腹部から音がして、その一瞬後に強烈な痛みが襲ってくる。
それは男だった。なんかいかにもアサシンっぽいやつ。
「運が悪かったたな。勇者さま」
ホントだよ…。まさか初日からこれとは。
俺は倒れながら意識が薄れていうのを感じていた。