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ティーナ視点
5年前、魔王が復活した。それにより魔物の動きが活発化、さらにはその上位種である魔人までが生まれだした。
魔物だけならまだしも、魔人ともなると各国の軍隊さえ太刀打ちができないほどの強さであった。
魔物たちに侵略された人類に残った手段は、古代の遺産である勇者召喚の儀しかなくなった。そして五年前、第一勇者が召喚され、各国も魔王の討伐勇者を召喚していったのである。
…とういのが建前でしたね
実際のところは第一勇者が魔王と戦い、魔王は衰弱。魔王の力が薄れた今、勇者を召喚する必要性は少なくなり、現在は專らその召喚は外交目的によるものだ。
勇者一人で大国の軍隊以上の戦力だ。
黙って見逃すわけがない。
我が国も各国にならい、ようやく条件が整い召喚したものの
「…普通でしたね」
そう。普通であったのだ。外見も魔力もなにもかも。
しかし慎重に扱わなければならない。
第三勇者を召喚した大国は一夜で滅びた。我が国の倍の大きさはあるにかかわらず。
おおかた奴隷の首輪でもつけようとしだのでしょう。
わが国では検討の結果、よほど非協力的でなければつけないことにした。
普通だったけど、凶暴でなかっただけましだとは思う。
勇者はいるだけで魔王討伐の名目で周辺の属国、小国から様々な援助を受けられる。
「まずは勇者様の懐柔が先決ですね」
勇者様を送り届けた後、私も寝室に戻った。