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これから俺はどうなってしまうんだ…。
小説や漫画の世界で主人公が生き残れるのは特別な力があるからだ。それなくして平和ボケした日本人が弱肉強食の世界で生き残れるわけがない。
いや、でもまだわからない!魔力が封印されていたり、想像した武具を創造できるなんて能力があるかもしれないしな。
一人でうんうんと頷いているとティーナに呼びかかけられた。
「大丈夫ですよ勇者様。確かに魔力は平均ですが、ゴルゴド国の勇者様も魔力はあまりないようですし」
そっかそっか。そうだよな。勇者といっても必ず魔力が…って!!?
「他にも勇者いるの!?」
ティーナは平然と答える。
「ええ。勇者様で、勇者様は8人目です」
「なんでもゴルゴド国の勇者様はメイドと呼ばれる兵器を作る技術に長けているらしく、最近目覚しい成果をあげているとのことです」
メイドってあのメイドだよな?
俺の価値観では兵器ではなかったはずだが。まあなんとなく理解はできる。そいつとは意見が合いそうだ。
「それよりも俺が8人目だって?」
「はい。魔王討伐のため、勇者召喚の環境が整った国が召喚を実行し我がミール国がその8カ国目です」
なるほどな。聞く限り王道のように世界に勇者は一人だけって決まりはないらしい。
複数召喚可能ならそりゃできるだけ召喚するよな。
「今日はもう疲れたでしょう。お休みになられますか?」
そう言われて気づいたが外も暗くなり始めていた。
「ああそうだな。寝室まで案内してくれるか?」
「ええ」
ああ、気を抜いたらどっと疲れた気がするな。今日は早く寝よう。
今後に一抹の不安を覚えながら俺は彼女のあとをついていった。