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「勇者様、助けてください!」
はいはい、テンプレ乙。
視界がクリアになって、目の前の少女は唐突にのたまった
そこはやはりテンプレ通りのいかにも儀式用の広間って感じのところだった。そこにはローブを羽織った何人もの魔術師っぽい格好のやつと、眼前に豪華な衣装をまとった少女が一人。
「勇者さ…」
「はいはい。魔王が復活して世界がヤバくて、勇者召喚に頼るしかなくなって助けて欲しいわけね」
俺が矢継ぎ早にそう言うと彼女は口を開いて固まった。
「は、はい。その通りです。でもなぜご存知で?」
まあ当然のことだ。普通こんなこと知るはずないしな。だからといって全部説明するのも面倒くさいし適当でいいか。
「テンプレだから」
「は?」
少女は訳のわからないといった顔で聞き返してきた。
「テンプレだよ。そのうち慣れる。それよりも早くテンプレ通り魔力を測定しようぜ。王女様?」
そう言いながら俺は王女様?の横を通り過ぎて行く。
「……はあ、もう驚きませんよ。私の名前はティーナといいます。そう呼んでください。それと勇者様」
「ん?」
「魔力の測定室はこちらでございます」
真逆の方向へ向かおうとした俺と彼女の間に気まづい空気が流れたのであった。