32:欠片の夢
父に裏切られ、また死んだ。そういう気持ちになったけど、あれが誰だったのか、全てを取り戻せば違うと解る。あれは父を模した時計だ。こうして自分がまた殺された……壊されたことに、あの男はなんら関係ない。
(なんて、様だ)
まぬけな死に方。あんな騙し討ちに引っかかるなんて。あの場に彼がいないことくらいわかりそうな物なのに、完全に油断していた。それだけ自分にとって、あの男の存在は大きな物だった。
(僕は……)
言って欲しかった言葉を、そっくりそのまま拾われた。誰に褒められなくても、誰に感謝されなくても……“時間泥棒”は、あの男に褒められたかったのだ。血を流さない復讐を、喜んで欲しかった。血を流す復讐の後に、あんな言葉を貰ってはいけないし、言われるはずがない、どうして気付けなかったのか。
どうして、どうして、頭の中で繰り返す。それは頭か心か、わからない。考えているのはどちらだろう。それでも僕は考える。考える内、沢山の物が見えてくる。自分を見ている自分が見える。それは神の視点に等しい。自分の有する自分の認識する記憶ではないということなのか。
それでもそれらの記憶は全てが、懐かしい。こんな事もあったと肌で納得するような……不思議な空気感。走馬燈と言うには、それは無限の可能性。多種多様な自分、異なる姿の街。それなのに……“父親”の顔は、いつも同じだ。
“母親”との別れを、覚えている“クロシェット”は数少ない。何となくは覚えていても、その顔まで覚えていたのは一体何人いただろう。もやのかかった彼女の顔。けれど一つの街の中、はっきり見えてくる物がある。
「お兄ちゃん……っ!」
「ソネット」
呼ばれ方も、色々あった。まだ言葉を上手く言えない子もいた。それでもいつも、彼女は“妹”だった。
年が幾ら離れているかは誤差がある。一年、二年、見慣れぬくらい遠くの時代の街では三年離れた時もある。つまりはまばら。街によっては、一緒に生まれた事もある。どうして三歳か、答えは簡単。父と母は三年で別れてしまうから。
「そうだ、ソネットはこの歌が好きだったよな」
別れ際、泣き出しそうな妹に僕は歌った。調子外れのお世辞にも上手いと言えない僕の歌。それにいつものように、彼女は笑い出す。その日は泣きながらだったけど。
「お兄ちゃん、下手!」
「そう?じゃあソネット、歌ってみろよ」
「そねっとのほうが、ぜったいうまいもん!!」
「あはははは!お前だって似たようなものじゃないか」
「そねっとは、おうたじょうずなのっ!!」
「ああ、ごめんごめん!泣くなって」
妹は、歌が好きだ。母がどういう人間だったかも知らないで、それでも母のようになりたいと言っていた。綺麗なドレスを着て、人々の注目を浴びる最高の歌姫。
「んー……じゃあきっと、下手なのは親父だな。ここにいたらますます歌下手になるぞソネット」
「嫌っ!!」
慌てて家から飛び出す妹。それを抱き留める母。だからこんな時でも、彼女は僕に伸ばせる腕が無かった。
「ごめんね、クロシェット」
「俺は、大丈夫だから。親父のことは俺に任せて。母さんも、元気で」
こんな時くらい、泣けたら良いのに。嫌だと泣き喚けば良かったのに、それが出来ない。
年の割に、嫌にしっかりしている不気味な子供。自分でもそう思う。そこにあの男の片鱗を見て、彼女はどんなに複雑な気持ちになったことだろう。全ては“仕組まれて”いるのだと。
「ソネット、今度会ったらまた、歌を聞かせてくれよ」
「えー」
「なんだ、嫌なの?」
「ほめてくれる?」
「俺より上手くなってたらな」
「今だってうまいよ!」
「えー……?」
「二人とも!そういうのは私を越えてから言いなさい!まったく」
最後は母も、笑って消えた。二人に手を振り、見えなくなってからもしばらく僕はその場を離れられなかった。
「親父、見送らなくて良かったのか?」
「良いんだよ」
「……」
「解ってるつもりなんだ。だけど実際見たら、無理だ。泣いてでも引き留めるような真似、君たちには見せられない」
振り返る父の顔はいつもとそんなに変わらない。相変わらずへらへらと笑っている。それでも今日は仕事をする気にもなれないのか、作業場の机に突っ伏し父は塞ぎ込んでいる。
そんなに好きなのに、どうして離れるんだろう。それは母さんだってそうだったはずなのに、どうしてこんな風になるのか解らなかった。
(でも、今なら解る)
“父親”に、なろうとしたんだ、あの人は。
なりふり構わず彼女を引き留める。それは彼女を愛する一人の男としての行動だ。そこまでされれば彼女も迷いが生まれるだろう。その瞬間、彼女も“母親”として揺らぎ出す。
二人はそれを許さなかった。たぶん、そういうことなんだ。
(寂しかったよ、本当は)
僕が、泣き喚けば良かったのかな。それでどうにもならないと解っていたけど、もっと素直に心のままに。
どうして嘘を吐いてしまうんだろう。どうして思った通りに生きられないんだろう。死んでから、ずっと後悔している。
僕が伝えた真実は、時間だけ。自分の心も自分の気持ちも、いつも蓋をし嘘ばかり。
「泣けば、良かったんだ。それで何も変わらなくても」
「クロシェット……?」
跡継ぎとか関係ないような時代。無理を言って母に付いていくとか、残されるのが自分ではなく妹だとか……どこかの街時計では有り得たことかもしれない。それでも自分はここにいた。
その理由は……この人も同じだったから。父も、嘘を吐いてる人間だ。悲しいとか、寂しいとか言えないんだ。それが解っているのに解っていない。強いんだか弱いんだからわからない、そんな人。どうしてこんな時でも笑っているのかわからない様な人。だから独りにさせたくなかった。
「それは子供の特権だよ、クロシェット」
「親父、子供じゃん。図体だけ大人の、子供から成長し切れてない男だって言われてるの聞いた」
「そ、そんなことないよ!?」
父は困ったように慌てた様子で、それでも図星だったのか体裁が悪そう、いや少し気恥ずかしい感じ。なんて不謹慎な野郎だ。こんな日にまでへらへらしやがって!一回怒鳴りつけてやろうか、そんな風に思った僕も、続いた言葉に全てを忘れてしまった。
言葉の響きに、嘘が無い。あの男はその時、本当に笑っていたんだ。いつものとってつけたような優しさとかではなく……生きた、人間らしい温度を感じる声だった。
「あのね、クロシェット……僕は君がいてくれるから、泣かずに済んだんだ。ありがとう」
頭に軽く、置かれた手。ああ、この人は生きて居たんだな。その温かさに、目の前の僕が泣き出した。その瞬間、全ての街時計の記憶の中で。
*
抜け出していった物。もう取り戻せない物。何かを、忘れている気がした。それが何かを思いだした。
(なんだ、これ……)
時間泥棒は、目を開ける。浮いているのか落ちているのか解らない。暗くて何もない空間に、無数の雑音。その中で、はっきりと聞き取れる女の声。
「本当、貴方も不思議な子よね」
それが合図となったよう、認識した悪魔の姿。見覚えはある。何度か話した相手だと、時間泥棒は思い出す。
それがどういうものであるかも思い出したのか。自分がこの存在と交わした取引についても甦って来た。
「何回、死の夢に落ちてくるのかしら」
「最初に会ったのも、ここか」
驚きながらもそんな風には見えない時間泥棒を見て、“悪魔”は笑う。
「ええ。そうそうあることじゃないわよ、普通、人間は一度しかそれを見ることが無いんだから。そう、“普通の人間”ならね」
足が速いだけの、どこにでもいる普通の人間。そう言われてきたはずの時間泥棒が、こんなにも不自然。
「そう、それはとっても悪魔的。足が速いだけ?速すぎるわよ、それはそもそもが妖怪の類だわ。なのに誰もが貴方を特別だとは思わない。不思議だと思ったことは無い?仕組まれているって」
「“普通の人間”に、そんな暇は無いよ。今を生きることに精一杯だ、誰だって」
「それなら一生懸命に生きない人間は、誰もが気付かないことに気付けることもあるのかしらね」
「……親父のことか?」
「ええ、そうよ。彼は容易く永遠を手に入れてしまった。誰もが気付けることに気付けず、誰も知らないことを知ってしまった」
「……」
「それと同じ……いえ、全く逆のことが起きている。貴方では無い、他の誰かに」
時間泥棒は多くを聞き返さない。悪魔の話すことを既に理解しているわけではないが、流れ込む数多の街時計、その自分の記憶に触れて、思うところがあったのだ。その核心に近付くため、或いはそこから逃げるために悪魔の言葉を聞いている。
「普通、人間は長すぎる時を生きられない。だから精神が、心がそれに耐えうるようには出来ていない。寿命まで耐えられる体と同程度の魂が、本来人間が持つべき物よ」
例えば短命という運命を背負わされた者。その理不尽さに精神は摩耗し疲弊する。短い時間と時を同じく消えるだろうか、そうじゃない。早々に達観し受け入れ澄むなら何かに変わり、最後の最期まで否定し呪えば……それもまた何かに変わる。要は強さの度合い。器の強度と魂の強度、それが食い違えば人が他の物へと変わる環境が敷かれることになる。
時間泥棒もそれに似て、因縁めいた不運で短命。しかし肉体が滅び時が流れてもまだ、自我を残して居る。既に頭角を現していると言えるだろうと、悪魔は褒めるような口ぶりで言う。
「だけど時々、人間の体には不釣り合いな魂を持つ人間がいる。それが貴方の父親ね。私の同僚が、永遠に耐えうる心を持った彼をスカウトしてその存在を留めさせた。そうすることによってようやく彼は、人間にとっての幸せを理解したのよ。それを失って、はじめて」
「……親父は頭、発想力。それを他人に理解されないことで、人を理解できない人間になったって言うのか?」
「悪魔になったと、そう言ったのよ。あの男は、その素質がある人間以外と契約しない。ましてや自分から出向くなんてことはあり得ないもの。いいこと、“クロシェット”」
その名に何の意味がある?今となっては自分を示す記号では無い。欠片一つに過ぎない自分が、そう呼ばれて良いのかも解らない。それでも悪魔は時間泥棒……その欠片をそう呼んだ。
「人間じゃないということは、悪いことでは無いわ」
「……でも」
「それは人の欠点を持ち合わせていないということ。同時に長所も欠けているかもしれないけれど、一欠片でも美徳が残ればそれは素晴らしいことなのよ。私の場合、残ったそれが悪徳に分類されるものだけど」
「俺や親父に……残っている、人間らしさが?」
「そしてそれが、悪しき人間性に引きずられ消えることも無い。それが、良い意味の“人間じゃない”ということね」
「褒められても何もないよ、俺には何も」
「そうかしら……?貴方は魂は平凡。だけどその器は異常。だからその器で育つ内、魂にも変化が現れた」
その変化こそこの状況の答えだと、悪魔は断言するよう頷き話す。
「貴方は憎んだはず。だから帰って来た。それでも今の貴方から憎しみを私は感じない。それは何故?」
「それは」
「貴方、おかしいわ。自分が散々痛めつけられて殺されたこと、それはもう……許してしまっているの」
「……」
「貴方が復讐を続けたのは、理由が完全に……あの人のために塗り潰された。そして今、記憶を取り戻したというのに、貴方に隠し事をしていた鳩時計を憎みもしない」
「だって、マキナは」
「だから、幾らこのまま眠ろうとしても無駄よ。貴方はもう一度、目覚めなければならない。他の誰でもない、貴方がよ!」
「“僕”が、ステラの父親を……」
「断言してあげるわ。貴方がどうしてここにいるのか。本来その魂の持ち主である“彼”がどうしてここに戻らないのか」
*
「それ以上は、止めてくれっ!!」
「いいえ。それは契約に含まれていない。だから言うわ、はじまりの“彼”は、もういないのよ。“鐘時計”は、“彼”じゃない」
嫌だ嫌だ、聞きたくない。耳を塞いでも悪魔の声は溶け込むように流れ込む。ここに体は無いから、魂だけの人間はこんなにも無防備だ。抗うことなんて出来ない、それが“普通の人間”でなくとも。
「まだ足りない?見たくない?……それで良いの?本当に……?貴方の魂は、多くの貴方を取り戻した。だから見えるでしょう?他の街時計の思い出が」
悪魔に告げられ、時間泥棒が辺りを見回せば……いつの間にやら現れた、所狭しと並んだ絵画の額縁。その中に数多の風景、世界がある。
「……父、さん」
「すれ違ってばかりの親子ね。真相を知れば、こんなもんよ」
父親に振り回された時間泥棒。それは最初の彼の人生をなぞった不幸。それ以降は全て決められたこと。悲劇の定義を覆せずに、街時計は回り滅んだ。
「憎まないの、彼を?」
「そんなこと、あるわけがない」
「解らないわ、人間って」
「……?」
「間接的に貴方を苦しめた相手は大勢居る。だけど貴方を不幸にした元凶は間違いなく、あの時計工……貴方の父親じゃない」
人に理解されない天才は、人の心が理解できないままに悪魔に出会った。願いも愛情も確かにあったはずなのに、男の願いとは別の結果に全ては進んだ。
時間泥棒の父親は……普通の人間に、なりたかった。でも普通の人間は、特別な人間になりたいもの。だから特別な人間がそんなことを言い出すことは、多くの人間にとっての嫌味でしかない。欲深な男だ。謙虚な物か!嗚呼、憎らしい。誰もが彼をそう思っている。
そして、誰もが彼から離れていった。彼が幾ら純粋な善人であろうと、世界は彼を呪わずには居られない。
「そんな男にとって、救いだったのが……クロシェット」
「貴方は自分のことだけ考えれば良かった。元々父親がしでかしたこと。憎しみなんか抱えないで天の天秤に掛かれば、貴方は安らかに天に昇れたでしょうに」
馬鹿なことをした。この少年はいつもそう。他者のために願い行動する程、悲しい結果に終わってしまう。解らないわ、悪魔はそう首を傾げ此方を眺めた、真っ直ぐに。
「どうしてそこまで、してあげたの?」
「貴方さえあの男を見捨てたら、悲鳴のオルゴールにはあの男の魂を閉じ込めたままだった。口ではでかいこと言ってたけど、エフィアルのアホ……第一領主は元々そのつもりで時計工を捕まえたに過ぎない」
「エフィアル……?」
「貴方の父親が契約した悪魔の名前よ、ここにはいない癖に面倒事を誘発しやがったろくでもない男」
「へー……」
「と、とにかくね!貴方に自覚が無くともこうして悪魔の契約に割り込むことで、永遠に悪夢の記憶に魘され続ける運命だった父親に、貴方はそれなりの自由を与えた。代わりに自分が繰り返し殺され続けることになってしまったのだけど」
そこまで口早に悪魔は吐き出し、もう一度同じ問いを視線で返す。どうして、と。
「……たぶん、寂しかったんだ」
考えるとか迷うとかはなく、口から転がり出た言葉。相手の望む回答であったかは不明だが、失望はされてはいない。
「平然と、家族だからとか言われたらどうしようかと思った。そういうの嫌いなのよ」
なんて悪魔は驚きながらも安堵している風だ。
「考えられないんだ。あの人と同じで、普通の幸せっていう中に、自分が居るのがわからない」
幼い頃に母親と引き離された。妹ともそう。
天才過ぎる父親が居るから、自分に自信が無い。幼い頃から世の中に失望している。拗ねた子供。
目を合わせられもしない、満足に女を口説けもしないのに、歌姫なんかに恋をする。そんな恋も、あってはならないものだと判明し……それに抗う強さもない。諦めてしまえる。金貨を送って、あとは幸せに……だなんて。やっぱり彼も、人の心が解らない。父と同じで、自分の心を把握できない。そんな自分にとって、唯一変わらない物が……その生活だった。
「自分にとっての普通とか、日常は……あの時計馬鹿の仕方ない親父との、毎日で」
それを失うことで、ますます世から普通から自分一人が切り離された。恋をした歌姫とのことだって、あの金貨さえ届けたら……もう二度と会うつもりはなかったのだ。
時間泥棒を続けると言うことは、失われた生活を追いかけ続ける。父親の影を追う人形になるということ。それが、時間泥棒にとっての日常であり、世界だった。それ以外の生き方を、“僕ら”は知らないし、解らない。
「普通とか、ありふれてはいなかったかもしれない。でも……かけがえのない、大切な時間だったと思うんだ」
*
誰にも理解できない存在を、救うためだけに作られた……そんな歯車のよう。“彼”を世界が組み込むことで、異物のような存在が世界に組み込まれ、文明を発展させていく。“彼ら”は、そのためだけに必要とされた歯車なのか?
(わからないわ、人間は)
でもこれを、人間と呼んで良いのだろうか?悪魔は思う。これはもっと別の目的、意思を感じる。時々、このような者がいるのだ。人間として生まれながら、人間では無い者。或いは成長過程、もしくは死後に別の何かに変化する者。
そもそも、普通の人間なんて居ない。普通という言葉自体時の流れでその概念は異なるもの。その時代からはみ出しているかいないか、唯それだけで。
時代の異なる街時計、その全てにおいて……埋もれる彼はある意味異質な存在なのだ。
(良く言えば、優しい子。違う言い方をするならそうね……可哀想な子)
「今を、失うのが怖い。変わるのが嫌だ。だから、俺だけは……あの人のこと、忘れちゃいけないんだ」
「……ふぅん、“俺”ね。それで?」
「え?」
「復讐を一つ終えた今、スッキリした?まだ殺り足りない?」
「……思ったほど、楽になれない」
「まぁね。そういう人間も居るわ。どうでも良い相手を殺すことに何も感じない人間がいる傍ら、憎む相手の命を奪っても幸福を感じられない人間も。……街時計、見て思い出したでしょ?あの鳩時計が誰なのか」
「……ああ、ずっと……忘れてた。すれ違っては居たのに、お互い」
金貸し女王の気まぐれが起らなかった多くの町では彼にとっては妹の仇。更なる復讐の相手だと知ると同時に、その相手が昔馴染みで……これまで自分を支えた鳩時計なのだと知って、混乱しているのだろう。受け取る情報量がキャパシティを超え始めている。時間泥棒が、泣くなんて。
「貴方の父親が、あの少女を殺した。貴方を奪われた復讐にね。それで既にあの男は報いを受けている。……別の町だけど同じ事よね結局は。それじゃあ貴方が父親のために彼女の父を殺した事はどうなるのかしら?」
「……俺が、マキナに殺されるよ」
「もう死んでるじゃない。そもそもなんでも命で責任取ろうってのは、逃げよ時間泥棒?あの男を殺めて、それで貴方がまだ救われずこんな所へ来てしまったようにね」
「……そうだな。まだ駄目だ。まだ……あいつが残ってる」
「そういう意味じゃなかったんだけど、まぁいいわ。その様子じゃ、大富豪との因縁をどうこうすればやっと救われるって思ってる?」
「……」
問いかければ、一度彼は頷いた。
「あのねクロシェット、覚えてるかしら」
「何を……」
「貴方が今ここに来てしまった理由。時間革命により生きた存在に戻りかけていた貴方が、またここへ来てしまった理由。そして貴方がまた、ここから目覚めようとしている理由。よく、考えてご覧なさい」
悪魔に言われるまま、時間泥棒は耳を澄ませる。聞こえてくるのは微かな話し声……それから、それから……
*
全ての魂を取り戻す。それは他の街時計の記憶全てを継承するような行為。そして自分の意識が塗り潰されて消えていくような感覚。だから自分はまた、ここへ来てしまったのだ。そんな風に思っていたけれど……今度の死の夢は、何故か苦しくは無い。
悲しさよりも、奇妙な温かさ。唯々知っていて知らない懐かしい記憶達で占められる。
「母さんって、どんな人?」
言葉からも解るよう、コレは母を“覚えていない”街時計の出来事らしい。目の端に映る髪色は金。今度は神の視点でも無い。これは僕自身の記憶の可能性がある。
「クロシェットは覚えてないか……まだ小さな頃だったからなぁ」
「へぇ……」
「綺麗な人だよ。僕には勿体ないくらいの………素晴らしい人だった。写真はどこだったかな。探しておくよ。そうそう、母さんはこの街で一番歌の上手い人だったんだ」
「ふーん」
「そんな顔しない、クロシェットの歌もその……個性的で良いんじゃないかな」
「うるさいな、俺が歌上手くても何にもなんないだろ。男は労働力だ。歌なんか歌ってられるのは金持ちくらいさ」
これはどこの町で交わされた会話だろうか。自分自身にも、あったような気がする。毎回、はぐらかされて母の姿は解らない。
時間泥棒から少年の姿は見えない。少年の目を通じて世界を見ているから、見えているのは父にそっくりな顔の……同じかも違うかもしれない人。目を借りられている少年は、呆れた様子で溜め息を吐き出した。
彼も自分と同じで、母のことは覚えていない。でも妹のことは覚えている。顔は忘れてしまったが。
「ソネットの写真ならあったよ、はい。クロシェットにそっくりな金髪だ」
「……本当だ」
こんな昔の写真を見ても、記憶の中の彼女とは全く重ならない。二人がここを出て行ったのは、自分達が幼い頃だったから。今なら解る。何故父が自分に母の姿を教えなかったか。
(俺は、どっちにも似てない……)
本当に、彼らの子供なのだろうか。そう不安に思うことがないよう、母の写真を見せなかったのだ。それでも妹の姿を見せることで、母も金髪なのだと思わせる……父からの気遣い。
自分と父のかつての会話。回想のような夢の中、佇む時間泥棒の耳に、更に飛び込む声色は……酷く焦ったものだった。
『クロシェット!クロシェットっ!しっかりして……!!』
走馬燈のよう流れ出す記憶を、螺子を巻き戻し今に留めようとする。彼女は知っているのだ。察知している。そうなってしまえば、それが自分の知る時間泥棒では無くなってしまうことを。
『嫌っ……嫌よ、こんなの』
(マキナ……)
嘘を吐かれていた。その理由もわかっている。だから、何も言えなくなる。
(君を、憎めたら良かったのに)
『クロシェット……』
声だけで、彼女が泣いているのが解る。顔を見なくても。機械の身体だった鳩時計が、こんなにも人間らしいのは、そこに人の心、魂と心臓が閉じ込められているから。
(ステラ……)
自分が引き起こした時間革命。その犠牲者の少女の名。時計達に攫われて、別の街。嫌気が差して、別の街。そしてやって来た場所で彼女は司祭となった。
(時間革命さえ、繰り返されたことだったんだな)
《彼女が存在する以上、そうなるわね。確実に、今回以外に一回は。それか別の可能性……》
(時計だけが暮らす町があったのか)
《そう、させていた誰かがいたのよ。精巧で巨大な絡繰り時計、街全体が……》
(それはある意味、煉獄の一種なんじゃないのか?)
《そうね、そうとも言えるわ》
鳩時計とは違い、記憶の中にさえ悪魔は容易に現れる。本来その時そこにいなかったはずであっても。勿論ややこしい事態を避けるべく、少年の父の目には映らないようなやり方で。
《でもねクロシェット。あの鳩時計が抱える貴方への未練は、他の貴方への物だけだとしたら……ちょっとおかしいと思わない?》
《鳩時計には、別の街時計のステラの心臓が入ってる。だけど時間泥棒と対峙する女司祭は、殺される前に別の街へ逃げたステラだわ》
この街にいた女司祭も鳩時計も別の街のステラ。二人は同じ存在ではあるが、同一人物では無い。
(そして俺の幼なじみは、時計に他の街へと攫われたばかり)
彼女が新たなマキナとなるのか、女司祭となるのか、はたまた別の存在になるのか。そう考えたとき、時間泥棒も気がついた。
(それなら……前にいたはずのマキナはどこへ行ったんだ?)
《そう、それなのよ》
時間泥棒がそう尋ねれば、悪魔が大きく頷いた。
《この時間革命が2回目ならば、鳩時計は二人いなきゃおかしいわ。そして唯彼女を彼女の父を苦しめたいだけならば、女司祭など作らずに鳩時計を作り続ければ良い》
(王と鐘時計が、何故ステラを見逃したのか……)
《貴方はもう、解ったはずよクロシェット。解ってるはずなの。だからこうして死の夢の中にいる》
どういうことかと問いかけるも、悪魔は今度ははぐらかす。
《死と生の間にあるものは、何だと思う?》
(ここってことは、記憶であって夢ってこと?)
《ええ、そう。そしてそれは私の同僚の内何人かの担当エリア。でも記憶と夢、どちらも司るのは一人しか居ない》
《彼女の名前はアムニシア。記憶喪失という名前のろくでもない悪魔よ》
(ろくでも、ない……?)
《ええ。あの子、性癖が悪魔的にはオッケーなんだけど人間的にはろくでもないことこの上ないの。貴方達彼女に目を付けられてしまったのが運の尽きね》
この悪魔、自分の味方では無かったのか!?何てことを言うんだと驚く時間泥棒に、悪魔は額に手を当て小さく唸る。助けはするが、面倒事だと。
《あの子は私みたいに、欠片の相手はしないわ。終わらせるための契約じゃないから》
欠片……今正に塗り潰されようとしている自分。街時計の中の時間泥棒、その一人に過ぎない自分。
《あの子が求めるのは永遠。味方するのは始まりであってオリジナル。それは貴方と貴方のソネットではないわ》
聞きたくない。嫌だ。眠らせてくれ。そう思うのに、悪魔は約束を違えようとしない。自分を助けようとするのは、契約したのがオリジナルの時間泥棒ではなく、欠片に過ぎないお前なのだと伝えるように。
《解ってるんでしょ、クロシェット。でも見たくないから眠ろうとしてる。消えようとしている。オリジナルならきっと彼女を許すはずだもの》
先程止めた悪魔の言葉。此方が思い出すまで待つ猶予ももうないと、彼女は今にも唇を震わせてそれを告げようとする。
(“イストリア”っ!!もう、やめてくれ!!お願いだ、それ以上は……!)
契約した、悪魔の名前を強く叫んだ。助けを救いを求めるように、唯強く。だけど、彼女を制御できない!!そうしてもたらされた情報は、確かに助けようとはしていても、時間泥棒の欠片を絶望へと叩き落とすには十分だった。
《貴方は怖いのよ。憎むべき大富豪が、オリジナルのソネットだと言うことが》
*
「レーヌ!!」
「私がただで死ぬと思ったかい、ソネット?」
欠片同士がじゃれ合う姿に、大富豪は怒りを隠せずにいた。こんな物が、自分の欠片かと思うと怒りを通り越して涙さえ浮かぶ。心変わりなど、あの人を忘れるなど、あってはならないことなのに。
唇を噛み締める大富豪を見て、傍に控えた悪魔がさっと前へと進み出た。
「あらまぁ……腕時計と歌姫、人外と人の恋を加護するとは、第四公の悪戯ですわね」
金貸し女王が従える、小柄な少年悪魔。その爵位は自身が従える悪魔よりも下。実力差は歴然だ。その上でここに現れるのだから、何が目的なのだろう?
「解らない貴方ではないはずですが。位こそ三と四。隣り合った私達ですが、この間には一つ越えようが無い壁があるのはご存知ですわよね?」
「力業で、貴女に勝てるとは思っていません。ですがこういうやり方嫌ですけど、僕の後ろ盾を忘れた貴女でもありませんよね? 二と三の間にも……いえ、それ以上にも越えられない隔たりがあることを」
アムニシアの脅しにも屈さず、対等に渡り合う。気弱な悪魔と聞いていたが、契約者がいれば話は別らしい。
「僕に危害を加えれば、この世界ごと滅びます。永遠の観察をしたい貴女にとってそれは不都合極まりない話。ここは穏便に話し合うことで解決出来ませんかアムニシアさん」
「穏便に……?貴方こそ解っていらっしゃいまして?私がどういう方を契約者に選ぶかは。そして私は、本当の契約者を裏切ることも致しませんし、その方が幸せであればと思っておりますわ」
悪魔の話は平行線。互いに話し合いなどでは解決出来ない。かといって、最も恐るべき悪魔に目覚められては私も困る。
「なんで死んでるのよ!!無事じゃないじゃない馬鹿っ!」
「だが、神にしか出会えなかった私もようやく、悪魔の加護が得られた。それとは別に、君がその時計を拾ってくれたから私が帰って来られたんだよ」
「でも、この時計って……兄さんを殺した男が、作る時計よね」
何の因果か。全てを失った男が作り上げた時計。それが金貸し女王の魔力の源に。あんな時計を受け取るなんて、“ソネット”の風上にも置けない。なぜならそれは、兄の死を受け入れること。雀に対しての許しに等しい。
「しかしそれがこうして、別の街のソネットを救う。この時計の名前が贖罪ならば、受け取るべきは君しかいない」
金貸しは、最愛の兄の死を肯定しているのだ。過去を捨て、今と未来を生きようとして、大事なものを捨て去った。金髪のソネットまで、同じ道に引き摺り込むつもりなら、大富豪もそれを見過ごすわけにはいかない。
(欠片風情が!!時計に戻らぬと思えば、横から掠め取るものがいようとは)
あの腕時計。悪魔との契約により、触媒に変わっている。魂を閉じ込める受け皿だ。そこで腕時計達……元々はこの私の欠片が集められ、私とは別の意識を宿してそこにある。断じて許せることではないと、大富豪は憤る。
「残念ながら金貨卿、貴女は魂という物について理解が出来ていないようだ」
「小娘が。お前より永きを生きた私にそれを問うか?」
「ええ。ご理解いただけていないようなので。一度壊れてしまったもの……それは欠片を組み合わせれば元通りになるというものでもない。限りなく本物に近づけたとしてもね」
「疑問に思わないのですか?腕時計達の魂を集めたこの方の下で、何故私が甦ったか。私がかつて愛した腕時計ではなく、この私がここにいるわけを」
「あ!そうよ……置き去りにしてたあの時計は?」
「今までの腕時計の魂ならば全て此方に、そして其方の金貸しさんも僕が回収して……腕時計の切なる願いを叶えるべくこうして同じ器に入れ組み合わせたのですが……残ったのが彼女の意識だったと言うことです」
「そしてソネット、触媒と君の歌を頼りに、僕らはここに馳せ参じたというわけさ」
魂だけの金貸し女王はこの腕時計を新たな器とし、時間革命により人の姿を現している。
「よ、よくわからないんだけど……えっと、違う街の私達って死んじゃうとそんな魂みたいなの合体させられちゃうものなの?」
「元々一つだった街を“可能性”という名の下に分裂させたのが街時計。そしてあの男の煉獄。全てが片付けば街はまた一つに戻り、続く未来に続いていくさ」
「ええと……それは、私の生きてきた場所が……というわけではないのね」
「……どうだろうね。それはまだ何とも言えない。ここはあの男にとっての牢獄だから、そこで作られた私達はどういった存在なのか、言うなればやはり、可能性なんだ」
「全てが終わった時、無事でいられる保証は無い。そういうこと……?」
「ソネット……君の街時計は、オリジナルの街にとても近い。今私達がいる場所以外の世界というのは、眠っているようなもの。というか我々が切り離されて動かされているのかな。いや、我々が止まっている、眠っているとも言えるけれども」
聞こえたのは、そこまでだ。突然、世界は統べての音を失った。まるで時が凍ってしまったかのように。そこまで考え大富豪は気付く。自分が指一本、視線一つ動かすことが出来ないと。
「あらあら」
しかし、悪魔はその例外なのか、こんな時でも自由に驚き動き笑みを浮かべられている。
(アムニシア、これは一体……)
「第四領主様は、氷の使い手。一時的に時を凍らせることなど造作もありません」
突然、体の動きを封じられた大富豪。それは歌姫金貸し達も同じようだが、少年悪魔は何を企んでいるのだろう。此方には格上の悪魔がいる。不安など無いが……
(しばらく見ていることしか出来ないと言うことか)
「彼らが眠りでもしない限りはそうなりますわ。でもご安心ください。第四公はまだ子供。魔力で私に敵いませんもの、そう長くは保ちません」
これはさしずめ、ハーフタイム。情報の共有を行っているのでしょう。悪魔は微笑みながら頷いて、自らの勝利は変わらぬ物と宣言するのだ。
*
「どうして、どうして……“ソネット”が!!」
ソネットがソネットを殺す。ソネットが僕を父さんを殺す。ソネットが、ステラを殺す。そんなこと、信じられない。信じたくない。信じたくないけれど、街時計の記憶から……答えはぼんやり解ってた。けれど、心がそれを受け入れられない。
「貴方は彼女に言わなきゃいけないことがある。オリジナルの貴方の代わりに、限りなく彼に近付いた貴方だからこそ、このまま逃げてはいけないわ。この戦いだけは、絶対に」
「……イストリア」
「貴方の妹を、見捨てたくないなら逃げては駄目よ、金貨で救える命もあるけれど、行動でしか救えない相手も居るの」
「……どうして、“彼”は目覚めないんだ?そいつが一番、逃げちゃいけなかったはずなのに」
「逃げたんじゃ無いわ。一番先に、終わりにはじまりに辿り着いてしまっただけ」
奇妙な物言い。逃げでは無いなら何だろう。
納得出来ない此方の様子に、悪魔はもう少し噛み砕いた話を始める。
「貴方は父親が殺されさえしなければ、誰も恨まず天に昇れた。そして“彼”は見たの、父親の最期の表情を」
どんな顔だったと思う?答える間を悪魔は与えた。それでも時間泥棒は答えなかった。それに対して怒りもせずに、悪魔は小さく笑う。
「笑っていたのよ、あの男は」
「そんな……!あり得ないよそんなこと!」
耳から手を離し、言い返す。その刹那、浮かんだ顔は……最初の死の夢で見た父の顔。もし自分がそれを見ていたら、最期の瞬間に何を思っていただろう?
こんな自分に振り回されて、巻き込まれて。それでも恨まず、憎まず……“ありがとう”と、言われていたら……
「有り得るのよ。悪魔と契約したあの男は、自分が簡単に死ぬとは思っていなかったし、そうでなくとも家族の幸せの対価を支払えたと思ったの。だから最初の彼は、煉獄に落ちることもなかった。悪魔に囚われ砕けた魂、そのはじまりの欠片はもう……取り戻せない場所にある」
「天に、昇れた……」
「ええ、そうね。だからこのまま貴方が眠っても、貴方は貴方から、貴方達から逃げられないのよ。唯悪戯に長引かせるだけ。更に大勢を悲しませ、ずっと先の先の貴方にその責任を押しつけるのよ」
街時計は回り続ける。僕が心まで壊れてしまったら、集まった欠片もまた砕け散る。また多くの街が生まれて、同じ事を繰り返し……母さんもソネットも、ステラも泣くんだ。そして、あの人もずっと……自由になれない。
「……心のままに、泣けるのは良いことだけど」
「だけど?」
「その位悲しいことは、少ない方がずっと良い。幸せって、たぶん……そういうことだと思うから」
心を決めて時間泥棒は、息を吸う。魂だけの存在が、それでも鼓動を時を動かすために。
「一つ聞いても良いかしら」
「……何を」
「クロシェット、貴方は私を信じてくれる?」
「僕を騙して貴女に何の得があるんだ?」
「あら?悪魔とはそういう生き物だとは思わない?」
最後の最後で自分が裏切ることを考えないかと尋ねられたが、時間泥棒は笑ってしまう。
「貴女は、マキナに似ているよ。だから、嫌いじゃない」
「私が……、あの子に?」
そんなことを言われるなんてと、悪魔は驚き此方を眺める。
(気付いていなかったのか、だから彼女の嘘を隠す手伝いをしていたのだと思ったのに)
この悪魔は、自分と似た者には優しい。だからこうして僕と契約もしてくれたのだろうに。
時間泥棒は、小さく吹き出し笑顔になった。
「嘘はあっても、一生懸命力を貸してくれている。感謝はしたって、それ以外の言葉は見つからないよ。貴女にも、マキナにも」
僕が欲しかった言葉。悪魔が欲しいか解らない。でも普通、人間から理解されない存在が悪魔だと思う。ありがとうと、言われることもきっと殆ど無いだろう。
位のある相手にそれは無礼なことかも知れないけれど、人間相手のように接することが自分に出来るせめてものお礼。
「ありがとう、イストリア。僕は、死んで貴女に出会えて、良かったよ」
握手を求め差し出す手。悪魔は今度こそ驚き、赤面までして目を逸らす。
「やっぱり貴方、普通じゃ無いわ」
「そう?」
「人間は悪魔を嫌う者が多い。だけど私達程人間くさくて、だけど人間からは理解できない生き物はいない」
「だから、理解されない奴を理解できる?」
「引きずり込める、の間違いかしら?……ふふ、今回に限っては冗談よ。この私が怨みでも憎しみでもなく、本の内側の人間の名前を覚えるなんてそうそう無いんだから」
悪魔は握手は返さず、何やら企み顔で一度手にへとキスをした。これには今度は此方が驚き飛び上がる。
「私が本契約までしてあげるのって、本当に珍しいことなんだけどね。仕方ないわ」
「い、イストリア!?」
「最後のヒントよ、クロシェット!そして思い出しなさい」
「貴方は何?貴方は人間?人間で在りたかったの?それとも、人間になりたかったの?」
まとめるのがきつかった回。区切りが難しくいつもより長めです_| ̄|○