少年と少女のエピローグ
まだ日もでていない早朝。
今日は、命ちゃんとのデートの日。
実を言うとかなり緊張している。おかしなところはないか、何度も確認してしまう。
「先輩。待ちました?」
息を切らして走ってきた恋ちゃん。
「いや、全然」
三十分ほど、待たされたけど、会えないよりかは何倍もマシだ。
「んじゃ、行こうか」
命ちゃんに手を伸ばす。
「はい!!」
握り返してくれた命ちゃん。
オレたちは、とある橋へ向かった。
そう、命ちゃんが飛び込み自殺をしようとしていた場所だ。
「……懐かしいですね」
「そうだね」
「あのころの私は、どうかしてましたからね」
「今は違うよ」
「はい、分かってます。……これも先輩のおかげです」
「ありがとう、命ちゃん」
二人でなら何でもできそうな気がした。
二人でならどんな壁だって越えられそうな気がした。
だって、命ちゃんのおかげで、今のオレがいるんだから……。
「私からも、言います」
彼女は、にっこり笑って……。
「ありがとうございます。……何回言っても、言い切れないくらいです」
「オレからも、ありがとう」
太陽が昇ってきた。
まぶしいな……。
命ちゃんもまぶしそうにしている。
そんなまぶしい光を見つめ……。オレたちはこれからを生きようと思った。
ずっと、一緒に。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
先輩は、優しく私にキスをしてくれた。
もしかしたらこの人はキス魔かも……。
でも、先輩ならいいかな。
「……キレイですね。朝日」
「うん……」
なにも言わなくてもいい。
ただ、そばにいてくれるだけで……。
それだけで十分だ。
「先輩」
「何?」
「……なんでもないです」
「呼んだだけって奴?」
「まあ、そんな感じです」
こんなやりとりでも、十分に幸せ。
こんなにも小さなことだけど、本当にありふれたことだけど……。本当に幸せだよ、先輩。
だから、私はこう思います。
生きてきてよかった、と。
fin
なんだか最後の方は駆け足だったですね……。
この話はこれで終わりです。
楽しんでもらえたでしょうか?
あと、前に友人に突っ込まれましたが、作者は自殺する気なんてこれっぽっちもないので安心してください。
……言われて割とヘコみました(笑)。
では、ここまで読んでいただいた皆さんに最高の感謝を込めて。
Thank you!!




