黒板に描かれたもの
前回の密室落書き事件が解決に向かっています。
「ねえ、聞いた?今日朝学校に来たら黒板に落書きされてたらしいよ」
教室に着くなりそんな話し声が聞こえる。
うちの学校は朝クラスで一番に来た生徒が職員室に鍵を取りに行き、自分で開けて入るようになっている。
部長から聞いた噂がもう自分のいるクラスまで届いているのかと驚く。
「お化けの落書きじゃない?」
女子がふざけて話している話題に、明るく目立つ声が入る。
「お化けなんているわけないじゃない!」
淡々とバッグから教科書を取り出して机にしまっている女子生徒。
彼女はうちのクラスの委員長である。性格は明るく、真面目だが、少し抜けているところもある。
そのギャップのおかげで人望も厚く、全会一致で委員長になった。
ただ一つ問題なのは、感情が髪色に出てしまう能力者であることだ。
「あー、しっきー髪色変わってる〜。お化け怖いんだ〜」
「怖くないし!そんなのいないから!」
そう、とても内面がわかりやすいため親しみやすい。
噂研の俺から言わせてもらうが、幽霊は多分いる。
……俺には見えないけど。
落書きされていたという教室が気になったが、朝のホームルームが始まる前に消されているだろうし、何よりもう先生がそこまで来ているため俺は諦めた。
放課後、部長と共に今朝落書きがされていたという教室に向かう。
数名の生徒がだべっているところに噂を聞いてみることにした。
どうやらそのクラスは昨日、生徒が早めに帰ったらしく、施錠もいつもより早かったらしい。
一通り話を聞いたところで部室に戻り、紅茶を飲みながら話をまとめることにした。
今回の落書きは放課後から朝までにかけて行われた可能性が高い。
特定の教室である可能性は低い。密室であることが多い。
内容をまとめている時、部長がこちらをニタリと見ながら言った。
「もしかしたら幽霊の仕業かも」
「もしそうなら、部長がもう何か見てるはずでしょう?」
部長は少し霊感というのがある能力者である。
つまり、幽霊などのお化けが見えるのである。俺がお化けがいるだろうと思っている理由は実質この人だ。
「そうなんだけどさー、特に何も見えなかったんだよね〜」
部長は残念そうに座っている姿勢から少し後ろにのけぞって腰を伸ばして見せる。
一旦考えるのをやめてだらだらと過ごすことにした。ここ連日調査続きで、放課後あまりだらだらしていなかったことに気づく。
「今日の紅茶ちょっと渋いですね」
「え、そう?蒸らしすぎちゃったかな?お砂糖入れなー」
そんなことを言いながら、だらだらと漫画を読んだ。
紅茶が冷めた頃、俺はうとうとして寝落ちてしまった。
⸻
夢の中、白いモヤのような空間から突然はっきりとした景色が見える。
おぼつかなかった足元もはっきりと地に着き固定される。
馬鹿でかい図書館のような場所。
その真ん中で来るのを待っていたように微笑む老人がいた。
「いらっしゃい」
「ちょっと昨日の放課後の学校の記録見たいんだけど」
この老人は、俺の能力であるアカシックレコードの管理者のような存在だ。
俺の能力はアカシックレコードを作ることではない。
そこに記録された出来事を読むことができるだけ。
そしてそれは、眠ることで自由に出入りできる。
「ありました。どうぞ」
そこには放課後、学校で起きた出来事が記されている。
ーー夕方、黒板にチョークで絵が描かれているーー
俺はこれで記録を見ることができる。
⸻
「おーい、寝てるのかい?」
遠くで部長の声が聞こえる。
俺は漫画を抱えたまま寝ていたようだ。部長に起こされる。
「今日朝落書きを見つけた子が、落書きをネットにあげているのを見つけたよ」
部長が寝ぼけて視界がぼやけている俺にスマホの画面を見せてくる。
その絵を見た時、俺の中で全てが繋がった。
第三話、読んでくださいありがとうございました。
1.2話と比べて実感文字数が少なく内容もあまりありませんが、修正しながら書いていけたらと思っています。




