今日も今日とて
初めて小説を書いてみました。
学園×能力系×〇〇です。
気が向いたら更新したいと思いますが、もう8年くらい考えていた作品なのでいつか完成させたいです。
※文章書くの苦手なので、少しAIに手伝ってもらっています。
朝食を食べ終え、制服に袖を通しながら、何気なくテレビの端に映る天気予報へ目をやった。
「本日今朝、五時ごろ〜、街の……」
画面の中で原稿を読んでいるニュースキャスターは、今日も今日とて死んだような顔をしている。
毎日同じ表情、同じ声色。あれで感情があるのかと疑いたくなる。
靴を履き、カバンを手に取る。
台所にいる母に向かって「行ってきます」と声をかけてみるが、返事はない。
まあ、きっと忙しいのだろう。そういうことにしておく。
「病院に搬送されましたが、命に別状はないと……」
そんなニュースの音声を背に、俺は玄関を後にした。
⸻
俺は基本、私営バスで通学している。
たまに自転車で登校することもあるが、それは本当に遅刻しそうな時だけだ。
理由は単純で、俺はこのバスに揺られている時間が割と好きなのだ。
何も考えず、窓の外を眺めていられる時間は、学校に行く前の貴重な猶予みたいなものだから。
「旧御宮木校前〜、ご乗車ありがとうございました」
そんなアナウンスを聞き、バスを降りる。
⸻
教室に入り、自分の席に腰を下ろして一息つく。
朝の教室は、いつも通りわちゃわちゃと騒がしい。
「なぁ、今日の三限の課題、やった?」
隣の席の友達が、いかにも当然という顔で話しかけてきた。
「そんなの、あったっけ?」
正直に言うと、覚えていなかった。
つまり、やっていない。
「おいおい、しっかりしてくれよ。お前、記憶力いいんじゃなかったのか? 見せてもらおうと思ったのに」
なんて図々しい奴だ。
宿題は自分でやれ。……まあ、俺もやってないわけだが。
ピロリン。ヴ〜ヴ〜。
誰かのスマホが鳴る。
「ヤベ、通知切ってなかった。
……お、笑太じゃん。何事やろ」
そう言いながら、そいつはスマホを取り、電話に出た。
「え? 後ろの窓を開けて?
……お前、またか?」
そのやり取りの最中、チャイムが鳴る。
遠くの方から、担任の足音も聞こえてきた。
そんな中、電話の持ち主は、何事もなかったかのように後ろの窓を開けた。
次の瞬間。
外から、人が入ってきた。
「おっと、サンキュー。まだ、たっちゃん来てない?」
遅刻しそうになったらしい生徒が、窓から侵入してきたのである。
ちなみに、この教室は三階に位置している。
もう一度言おう。
ここは三階だ。
普通に考えて、常人が登ってこれる高さではない。
だが、この電話の主である笑太は、常人ではない。
というか――この教室にいる連中は、たぶん、全員がそうだ。
「はーい、みんな席につけー。チャイム鳴ったぞー」
担任の声が教室に響く。
そう。
ここは、特殊な能力を持つ者たちが、社会で生きていくために――
学校という小さな社会の中で、普通の学生と同じように学ぶための機関。
特殊能力学校である。
――と、校長は壇上で、いつもと同じ話をしていた。
体育館に集められ、体操座りのまま話を聞く。
眠そうな生徒、ぼんやり天井を見上げる生徒、
あくびを必死に噛み殺している生徒。
社会にはルールがあること。
能力は便利であると同時に危険であること。
だからこそ、ここで「普通の生き方」を学ぶのだ、と。
内容は、もう何度も聞いた。
入学してからずっと、ほとんど変わっていない。
それでも、この学校がどういう場所なのかは、
説明されなくても嫌というほど理解している。
ここは、
普通とは違う力を持つ者たちが集められた学校なのである。
朝礼が終わり、ぞろぞろと教室へ戻る。
「やばいって、課題終わってない」
後ろから、焦った声が聞こえてきた。
「笑太は終わった?」
「寝坊で遅刻してるやつが、してると思うか?」
「だよなぁ、知ってた」
……仕方ない、課題見せてやるか。
「俺は、さっきもう終わらせたよ」
「えぇ、はっや。流石完全記憶。俺らとは出来が違うねぇ」
お前は家でやってこいよ。
「煽ってる暇あるなら、早く映せよ」
……まあ、そうなるよな。
俺が課題の存在すら忘れていたのに、
もう終わらせることができている理由。
それは――俺の能力にある。
もちろん、俺にも能力がある。
俺は眠っている間、
“ある場所”へ行くことができる。
そこは、図書館のような、不思議な空間だ。
本が並び、机があり、時間の流れが曖昧で、
そこで起きたことは、現実にも反映される。
俺はそこで、課題をしたり、本を読んだり、
時にはだらだらと過ごしたりしている。
俺は昔から、
どこでも、いつでも、ほぼ一瞬で眠れる体質だ。
椅子に座ったままでも、
机に突っ伏したままでも、
気づけば意識が落ちている。
どこぞの、
「の◯太くん」みたいな特技だと思ってもらえばいい。
そのおかげで、
この能力を使うための“条件”を、
わりと簡単に満たすことができている。
俺は、この能力を勝手に
アカシックレコードと呼んでいる。
他人から見れば、完全記憶に近い能力に見えるらしい。
だが実際は違う。
俺は、覚えているわけじゃない。
必要なときに、そこへ行って、確認しているだけだ。
だから別に、天才になりたいわけでもないし、
悪いことをしたいわけでもない。
人より、少しだけ時間が多い。
ただ、それだけだ。
俺は基本、だらだらしているのが好きだ。
漫画を読んだり、小説を読んだり、
あとは、身の回りで起きている変なことを眺めていたり。
それで十分だと思っている。
⸻
四限目。体育の時間。
体育館には、
シューズが床を擦る音と、ボールの弾む音が響いている。
「笑太! パース!」
ゴール付近でボールを受け取った笑太は、
何かを呟きながら姿勢を整え、膝を曲げて跳んだ。
「左手は添えるだけ」
次の瞬間。
――ゴンッ。
ボールは、ゴールではなく、
体育館の壁に激突した。
「やべ、やっちった」
ピーッ。
試合終了。
さっき、三階の教室の窓から入ってきたこの笑太は、
運動能力の化け物である。
人とは思えない筋力を持ち、
下手をするとゴリラより強いんじゃないか、
なんて噂されているほどだ。
ただし。
完全に制御できていないらしく、
球技のような“繊細さ”が求められる競技は、からっきしである。
このように、この学校では――
特殊な能力を持つ者たちが、
社会を学び、能力を日常に馴染ませるために通っている。
⸻
放課後。
ガヤガヤした教室で、何人かと軽く挨拶を交わし、
俺は部活へ向かう。
と言っても、
その部活は、ほとんど活動していない。
そもそも、部活と呼んでいいのかも怪しい。
校舎とは別に建つ旧校舎。
今は部室棟として使われている場所だ。
窓の外では、
グラウンドの端が夕焼けに染まり始めていて、
部活へ向かう生徒たちの声が、どこか他人事のように流れていく。
俺はその流れから外れ、
並ぶ部屋の一番奥へ向かった。
――紅茶の匂いがする。
まだ扉は見えていないのに、わかる。
甘くて、少し重たい香り。
この学校で、この匂いがする場所は一つしかない。
ガラガラ。
「……ノックくらいしなさいよ」
扉を開けた瞬間、呆れたような声が飛んできた。
「年頃の女性が着替え中だったら、どうするんだい?」
少しイタズラっ子な言い方で、
ロングヘアのすらっとした女性が、足を組み、
片手に紅茶の入ったティーカップを持ちながら、
こちらをニヤニヤと見ている。
なんだその、おじさんのセクハラみたいなギャグは。
「その時は、その着替え姿をじっくり堪能させてもらいますよ」
「わぁ、君はそんな人だったのか。お姉さん、悲しいよ」
そんな茶番を軽く返しながら、
俺は持っていたバッグをその辺に置いた。
――いつも、こんな流れである。
部室は相変わらずだった。
棚の下段には埃をかぶったファイルが押し込まれ、
上段は完全に部長の私物で占拠されている。
ポット、茶葉の缶、マグカップ、読みかけの本。
その中心で、部長は悠々と紅茶を淹れていた。
ここは元々、オカルト研究部の部室だった場所だ。
かつてはしっかり「オカケン」として活動していたらしい。
だが、能力者の中には幽霊が見える者もいる。
そのせいで、オカルトと呼ばれていた現象の多くが解決してしまい、
次第に面白みがなくなっていった。
部員は減り、
部長が二年になる頃には、正式に廃部。
その後、
ここは「噂研究同好会」と名前を変えて存続している。
現在の部員は、俺と部長の二人だけ。
活動内容といえば、この部屋でダラダラ漫画を読んだり、
課題をしたり、ネットサーフィンをしたり――
要するに、ゆったり過ごすだけだ。
「今日は、いつもと違う匂いですね」
俺がそう言うと、部長は少しだけ目を細めた。
「お、わかるようになってきた?
お姉さん、ちょっと嬉しいんだけど」
長い髪に隠れた片目の奥で、
楽しそうな笑みが浮かぶ。
そう言いながら、
カップにお湯を注ぎ、すぐにそれを捨てる。
手つきが、無駄に慣れている。
「アッサムよ。今日はそういう気分でね」
茶葉を入れ、改めてお湯を注ぐと、
部室に、さらに香りが広がった。
「君も飲む?」
「……じゃあ」
差し出されたカップを受け取る。
一口含むと、苦味の奥に、妙に落ち着く甘さがあった。
「ミルクもあるわよ。後で入れてみなさい」
言われた通り、途中でミルクを足す。
「……こっちの方が好きです」
「でしょう?」
部長は、満足そうに笑った。
それからしばらく、何も起きなかった。
ただ紅茶を飲み、
部長は本を読み、
俺は窓の外を眺める。
静かすぎて、
時間が溶けていく。
「そういえばさ」
ぽつりと、部長が言った。
「最近、ちょっと気になる噂があるんだけど」
「それは、久しぶりの活動宣言ですか?」
部長は、いたずらっぽく目を細める。
「君も気になるなら、そうかもね」
カップの湯気が、ゆっくりと立ち上っていた。
第一話、読んでいただきありがとうございます。
異常な日常を主人公が語る物語です。
次の投稿がいつになるかわかりませんが頑張ります。




