7話 足の完治
雨上がりの森は、湿った土の匂いと新鮮な緑の香りに満ちていた。
エレナとルナは、川辺を離れてから、ゆっくりと森の奥へ進んでいた。
ルナはまだ足を引きずり、右腕の再生は半分ほどで、左足の足首も完全には戻っていない。
それでも、エレナの手を握り、時折体を寄せてくる。
因子が共鳴するたび、ルナの顔に、安堵と心地よさが浮かぶ。
「エレナ、手繋いでてくれて、ありがとう。離れると、ちょっと不安になる……」
エレナはルナの手を強く握り返し、優しく微笑んだ。
「うん。離さないよ。セレス様の因子が、私たちを繋いでくれているみたいだから……もっと近くにいてもいいよ」
ルナは顔を赤らめ、エレナの腕に?を寄せた。
「エレナのそばにいると、セレス様の力が、もっと感じられる。温かくて……幸せ……」
二人は、森の小道を進みながら、セレス様の導きを求めた。
エレナが静かに祈る。
「セレス様、私たちを、もっと強くしてください。エーテルを、もっと上手に操れるように……ルナの体も、癒してください」
頭の中の声が、優しく答える。
「エーテルは、お前たちの意志で形作られる。二人で祈り、意志を重ねれば、再生は加速する。腕はまだかかるが、足は完全に治るだろう。森を歩きながら、光を広げ続けろ」
エレナはルナに目を向け、微笑んだ。
「セレス様が、教えてくださった。一緒に祈りながら、歩きましょう。ルナの足を、完全に癒すために」
ルナは頷き、エレナの手を強く握った。
二人は歩きながら、声を揃えて祈り始めた。
エレナが先導し、ルナが続く。
「セレス様、ルナの体を癒してください。私たちの意志を、光に変えて……」
祈りの言葉が響くたび、二人の手の甲の印が、淡く緑に光る。
光は広がり、ルナの左足に集まる。
足首の傷口が、ゆっくりと肉を繋ぎ、骨が形を取り戻し、皮膚が覆っていく。
ルナは驚きと喜びで目を丸くした。
「エレナ。足が……動く! 痛みがなくなってる!」
エレナはルナを抱き寄せ、涙を浮かべて微笑んだ。
「セレス様の奇跡……ルナの祈りが、届いたの」
ルナは、再生した足でしっかり立つ。
足はまだ少しふらつくが、完全に動く。
彼女はエレナに抱きつき、顔を胸に埋めた。
「セレス様。ありがとう。エレナ。ありがとう。私、足が完全に治った!」
二人は、森の木々の下で、膝をつき、感謝の祈りを捧げた。
声を揃えて、深く、深く。
「セレス様……あなたの偉大さを、感じました。私たちを、救い、癒し、導いてくださって……ありがとうございます。この命、この体、すべてを捧げます。あなたの光を、広めます」
祈りが終わると、二人は立ち上がり、手をつないで歩き出した。
ルナはエレナの腕に体を寄せ、幸せそうに微笑む。
「エレナずっと、こうしていたい……セレス様のそばで……あなたと一緒に」
エレナはルナの手を握り、静かに答えた。
「うん。ずっと、一緒に。セレス様の物語を、二人で紡いでいこう」
森の奥で、2人の足音が響く。
二人は仲睦まじく、森を進む。




