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青鳥島の合宿 ~陰キャでぼっちな俺が、引き籠もり女子と孤島に向かった~  作者: シッポキャット


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8/18

8 七名の参加者

 バスは徐々に速度を落として、一つ目のサービスエリアに入って行く。俺の肩にもたれかかったまま眠っていた根本遥(ねもとはるか)が、気だるそうに(まぶた)を開けた。


「皆さん、お疲れ様でした。一回目の休憩(きゅうけい)です。この(あと)、次のサービスエリアまでまた一時間ほど掛かりますから、しっかりと出すものを出しておくこと。そして水分を取り過ぎないように注意すること。それでは二十分後にここで点呼(てんこ)を取りますので、(おく)れないように元の座席に戻って来てくださいね!」


 ドアが開き、秋月令子(あきづきれいこ)が降りると、参加者たちは無言でバスを降りていく。息の()まるような車内から一刻も早く解放されたかったのかも知れない。


「がま(ぐち)を持って行く?」

俺は根本遥に通路を(ゆず)り、首に下げていたがま(ぐち)を手に取った。


「家のジュースをいくつか持って来たから今はいらない。中のお金は必要経費だから、むしろあんたが自腹(じばら)で払うのはやめてね」

根本遥は俺に目を合わせた後、参加者たちの座席を確認しながらゆっくりと前に進んだ。


 ふうっと溜息を吐き出すと、隣りにいた男性職員の田中忠(たなかただし)が俺の背中を軽く(たた)いた。

「君は根本さんの付き添いだったかな? 参加者のみんなはいろんな問題を(かか)えている子たちだから、一緒にいると少なからずショックを受けると思う。

 だけど、この合宿は誰もが参加できるわけじゃない。ここでの貴重な体験が、いつかきっと君の役に立つ時が来ると思うんだ」


 (よう)するに、()()()()()()()()()()()、その経験が後々()きてくる――と言いたいのだろう。

 俺は憂鬱(ゆううつ)になりそうな気分を必死にかき消して、早足(はやあし)でバスを降りた。


 トイレを済ませた後、人気(ひとけ)の無い日陰の縁石(えんせき)に腰を下ろした。休憩の残り時間はあと少しだが、目的のバスは目に見える範囲にある。

 俺はできる限り緊張を(ほぐ)してから、白川(しろかわ)に電話を掛けた。


『私よ。今、どの(あた)り?』

「一つ目の休憩で【紀ノ川サービスエリア】に着いた。もうすぐ集合時間だから長くは話せないけど、ここを出て、また一時間後に二度目の休憩がある」


『体調は大丈夫?』

「問題なし。根本遥の様子は今のところ、いつもと変わり無し……かな」

『連絡してくれてありがとう。次の休憩でも連絡は取れそう?』

「たぶん。だけど港に着くとスマホは回収されるみたいだから、返却されるまでしばらく連絡は取れないと思う」


OK(オーケー)。くれぐれも気をつけてね。それじゃあ、またあとで』


 バスの中で、気づかないうちにずっと気を張っていたのかも知れない。白川の声を聞いた途端に、不思議と体が軽くなったような気がした。


「それでは点呼を取ります。呼ばれた人は返事をするか、手を上げてください」

 金田龍人(かなだりゅうと)くん――

「は~い」

ワンテンポ遅れて気の無い返事が聞こえた。姿は見えないが、声の位置からスマホのゲームに夢中だった金髪少年だろう。


 曽我部太(そがべふとし)くん――

返事は無いが、巨漢(きょかん)の男子がゆっくりと太い腕を上げた。


 馳久美子(はせくみこ)さん――

こちらも返事は無く、マスクをした少女が窓の外を(なが)めたまま手を上げた。


 瀬野賢児(せのけんじ)くん――

「はい」

ぼそりと小さな声が、先頭左側の座席から聞こえた。乗車する時に少し目が合った、銀縁眼鏡の(かしこ)そうな少年だろう。


 布引真子(ぬのびきまこ)さん――

二つ前の右座席から、(ちぢ)こまった右手が上がった。


 根本遥(ねもとはるか)さん――

根本遥は返事をせず、食べかけの棒状スナックを(かか)げた。


 佐藤一(さとうはじめ)くん――

俺も目立ちたくなかったので、そっと手を上げることにした。


「以上七名、参加者全員が(そろ)いました。田中先生もちゃんと後ろにいますね? OK(オーケー)。それでは運転手さん、出発してください」


 秋月令子がガイド席に座ると、プシュッと音を響かせてドアが閉まり、再びバスが動き出した。

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