表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青鳥島の合宿 ~陰キャでぼっちな俺が、引き籠もり女子と孤島に向かった~  作者: シッポキャット


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/31

26 容疑者

 馳久美子(はせくみこ)は記憶を辿(たど)り、面談が始まるまでの自身(じしん)の行動を振り返った。


 俺と根本遥(ねもとはるか)が砂浜へ出掛けた(あと)、馳久美子は胃腸薬(いちょうやく)をもらうため、津田美子(つだよしこ)と一緒に医務室に向かう。その時、金田龍人(かなだりゅうと)は食堂に残ってカップ麺を(たの)んでいた。瀬野賢児(せのけんじ)は食堂を(はな)れ、医務室の向かいの遊戯室(ゆうぎしつ)に入って行ったという。


 医務室に入ると、二つのベッドがレールカーテンで仕切(しき)られていて、(ねむ)っている曽我部太(そがべふとし)布引真子(ぬのびきまこ)の様子は分からなかった。


 医務室で胃腸薬を飲んだ後、食堂へ戻ると、金田龍人がズルズルとカップ麺を(すす)っていた。(そば)にいた秋月令子(あきづきれいこ)に、何か胃腸に(やさ)しい物を腹に入れておきたいと要望すると、粉末(ふんまつ)のコーンスープを作って出してくれた。


 秋月令子はこの後田中忠(たなかただし)と面談の準備があるというので、医務室の中の仮眠室(かみんしつ)()りて休むか、遊戯室で時間を(つぶ)すように言われた。


「むさ(くる)しいデブと陰気(いんき)なヒッキーの近くで寝るのはゴメンだし、ムカつく銀縁眼鏡と一緒なのはもっと(イヤ)だから」

馳久美子は眉間(みけん)(しわ)を寄せて舌打ちをした。


 結局、馳久美子はコーンスープを飲んだ後、女子の参加者たちが泊まる【寝室B】の二段ベッドで休むことにした。


「フフフ。金田龍人が寝ていた【寝室A】のすぐ(とな)りの部屋じゃない。女子トイレへも、廊下を一直線に走ればすぐに行けるわね?」

根本遥はオセロの(コマ)を指で(もてあそ)びながら馳久美子に視線を向けた。


「フッ、(わら)える。わたしを(うたが)ってるの? いくら早く帰りたいからって、そんなリスクのある騒動(そうどう)を起こすと思う?

 まぁ面白いから迷探偵(めいたんてい)の推理を言ってみて。地味(じみ)()()()()()()にも、ちゃんと分かるようにね」

馳久美子は不敵(ふてき)な笑いを浮かべて、俺の顔をチラリと見た。


「フフフ。あたしは可能性を確認しただけ。まだ金田龍人の容態(ようだい)(あき)らかになってない。もしこれが誰かの仕業(しわざ)だったとしたら――犯人は、彼を瀕死(ひんし)の状態にして、女子トイレに監禁(かんきん)したという事。誰にも気づかれないようにね」

根本遥は馳久美子の表情を(うかが)いながら、(コマ)を元の場所に戻した。


 馳久美子は根本遥の指摘に(まゆ)ひとつ動かさず、クッションに背中をあずけた。

「チッ、銀縁眼鏡のチビよりは慎重(しんちょう)ね。で、わたしの(ほか)にも容疑者はいるわけ?」


 根本遥はジャージのポケットからペットボトルの緑茶を取り出して、ぐっと(のど)に流し込んだ。

「職員なら犯行中に誰かに見られても、うまく誤魔化(ごまか)せるはず。だけど津田美子は金田龍人を蘇生(そせい)させたから、(はず)していいと思う。

 あとは、ずっと医務室にいる、曽我部太(そがべふとし)布引真子(ぬのびきまこ)。見つからないように医務室を抜け出す事ができれば、二人とも犯行は可能。あんたに比べれば、難易度は高いけどね」


「アイツは?」

馳久美子はチッと舌打ちをして、親指を瀬野賢児(せのけんじ)へ向けた。(とう)の本人は、自分が(うわさ)されている気配を感じたのか、目を(こす)ってゆっくりと上体(じょうたい)を起こした。


 根本遥は瀬野賢児の様子を(うかが)いながら、声のトーンを落として答えた。

「この宿舎には、ほとんどの部屋に(まど)がある。内側からクレセント(じょう)(はず)しておけば、誰でも(そと)を通って別の部屋に移動できるんじゃない?

 もし犯人が(まど)を通路として使っていたとしたら、曽我部太は大柄(おおがら)で目立つし、ちょっと(キビ)しいかもね」


(えら)そうに名探偵を気取(きど)ってるようだけど、わたしから見れば、あんたたちだって(あや)しいわ。ずっと砂浜(すなはま)にいたっていう事を証明できるわけ?」

馳久美子はクッションに身体(からだ)(うず)めたまま、わざと瀬野賢児に聞こえるような声で言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ