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青鳥島の合宿 ~陰キャでぼっちな俺が、引き籠もり女子と孤島に向かった~  作者: シッポキャット


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18/19

18 答え合わせ

 根本遥(ねもとはるか)秋月令子(あきづきれいこ)に砂浜へ行く事を告げ、俺を()れて行くので、面談(めんだん)開始前には宿舎に戻ると約束した。


「あんたに話しておきたい事があるの。一緒について来て」

 すれ違いざまにボソリと言った根本遥に(したが)い、俺は腰を上げた。


 根本遥は玄関(すみ)の傘立てに(ざつ)に置かれた蝙蝠傘(こうもりがさ)を引き抜いて建物の外へ出た。

空は薄曇(うすぐも)りで日差(ひざ)しが強いわけでもなく、雨もすぐには降りそうにない。傘を広げた根本遥の心境(しんきょう)に疑問を(いだ)きながらも、歩き始めた彼女の後ろをついて行く。


 肌寒いほど日陰(ひかげ)になった雑木林の小道を抜けると、石積(いしづみ)の階段の向こうに白い砂浜と瑠璃色(るりいろ)の海が見える。階段を降りると、(おだ)やかな波の音が聞こえてきた。


内緒話(ないしょばなし)は階段から離れていた方がいいわ。あの桟橋(さんばし)までついて来て」

根本遥は(あた)りに人気(ひとけ)が無いのを確認しながら淡々(たんたん)と歩いて行く。海を見に行くと言いながら、風景にはほとんど興味が無さそうだ。


 桟橋に並んで座ると、根本遥は広げたままの蝙蝠傘(こうもりがさ)を俺に渡した。

「フフフ。(はた)から見ると相合(あいあ)(がさ)に見えるかも。だけど、実際は手元(てもと)を隠すためよ」

根本遥はジャージのポケットから、小さな黒い板を取り出した。


「何? それ……」

思考が追いつかず混乱していると、根本遥は右足の(くつ)()いでインソールを引っ張り出した。

「フフフ。()()を出したら分かるでしょ?」


 靴の中から有線イヤホンが出てきた。俺が答える前に、根本遥は黒い板にイヤホンジャックを差し込んだ。

「食堂から遊戯室(ゆうぎしつ)に移動する前に、テーブルの(うら)にコレを仕込んでおいたのよ。

 あの状況で、鍋の中に画鋲(がびょう)が残ってない可能性は(ひく)い。職員たちは(こと)荒立(あらだ)てないように、本当の事を隠すんじゃないかと思ったの」


 俺が呆気(あっけ)に取られていると、根本遥は片方のイヤホンを俺に渡して目配(めくば)せをした。

「さっきのやり取りで、あたしにはあらかた見当はついてる。秋月令子は無理に平静を(よそお)っていたけど、田中忠(たなかただし)露骨(ろこつ)にあんたと馳久美子(はせくみこ)に視線を向けていた。

 恐らく画鋲は、一班の鍋から見つかったのよ。その答え合わせを今から確かめてみようってわけ」


 俺がイヤホンを片耳に入れると、根本遥は周囲に目を走らせた(あと)、黒い板を操作した。


『ガチャ』


『参加者たちを遊戯室で待機(たいき)させました。調査の(あいだ)、津田先生に参加者たちの対応をお願いして来ましたので』 


『よし。それじゃ、チャッチャと調べようか。あまり待たせると変な誤解を生むかも知れないからな』


 ……そんな会話のやり取りがあった後、根本遥の予想通り、すぐに一班の鍋の中から二つの画鋲が見つかった。他の二つの鍋と炊飯器、食べかけのカレー、(かばん)の中からは何も見つからなかった。


『一班を仕切っていたのは秋月先生でしたよね? 佐藤と馳に、何か(あや)しい動きはありませんでしたか?』


『特に目につくような事はありませんでした。ただ……他の班の参加者たちにも多少意識は向いていたかも知れません。鍋から目を(はな)した事は、何度もあったと思います』


『……とにかく画鋲は一班の鍋から見つかった。その事実を(くつがえ)すことはできない。佐藤と馳の二人。どちらかが犯人だとすると、心の闇は相当(そうとう)深いような気がするな』


『私は、参加者たちに事実をそのまま(つた)えることが正解だとは思えません。今日から三日間、寝食(しんしょく)(とも)にしなきゃいけないんです――』


 根本遥はふうっと息を吐き出して、唐突(とうとつ)に音声を切った。

「あとは()くまでもないわ。(はじめ)、あんたは間違いなく田中忠に(うたが)われている。面談の順番を最初に設定したのも……そういう事じゃない?」

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