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青鳥島の合宿 ~陰キャでぼっちな俺が、引き籠もり女子と孤島に向かった~  作者: シッポキャット


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16/18

16 隠し場所

「それにしても……犯人は、どうやって画鋲(がびょう)なんかを持ち込んだんだろう? 初めから食べ物の中に入れるつもりだったのかな?」

俺は根本遥(ねもとはるか)の反応を(うかが)いながら黒い(コマ)を置いた。(めく)れる(コマ)(わず)かに二つ。


 俺が(はさ)んだ(コマ)を裏返すと、根本遥は予想通りの場所に白い(コマ)を置いてニヤリと笑った。

「フフフ。あんたはどう思う?」


「……参加者たちは船に乗る前に、身体検査と持ち物チェックを受けた。合宿に必要のない物を持っていれば、必ず理由を聞かれるはず。それでも持ち込めたという事は――うまくチェックをすり抜けたのかな?

 もしくは……チェックを受けていない三人の職員のうちの誰か。考えたくもない話だけど」

俺が話している(あいだ)にも、根本遥は黒い(コマ)を次々と白に塗り替えていく。


「合宿で面倒な事になれば、職員たちがその責任を()羽目(はめ)になる。そう考えると、悪知恵(わるぢえ)を働かせた参加者の内の誰かが、チェックをすり抜けてカレーの中に画鋲を入れた。今のところは、そう考えてもいいんじゃない?」

根本遥は全ての(コマ)(めく)り終えると、参加者たちに目を向けた。


 馳久美子(はせくみこ)窓枠(まどわく)に突っ伏して眠っているように見える。瀬野賢児(せのけんじ)はいつの間にか壁にもたれて漫画を読んでいた。金田龍人(かなだりゅうと)は相変わらず本棚の前で(いびき)をかいている。


「どうやってチェックをすり抜けたのか――持ち物チェックを事前(じぜん)に知っていた根本さんなら、分かるような気がしたんだけど」

 黒い(コマ)を置く場所は無く、根本遥が続けて白い(コマ)を置いた。残り少なくなっていた黒い(コマ)が、容赦なく真っ白に塗り(つぶ)されていく。


「あたしと()()()()で、チェックをすり抜けたのかもね」


()()()()って――まさか根本さん、何か変な物を隠し持って来たとか?!」

俺は両手で口を(おお)い隠し、小声で確認した。


「フフフ。隠し場所のヒントは画鋲の形。薄くて小さい物なら問題ないわ」

根本遥はオセロ(ばん)に並んだ(コマ)を几帳面に(かぞ)えて(コマ)置き場に戻す。俺もつられて残った(コマ)を元の場所に戻した。


 だんだんと彼女のペースに乗せられているような気がするが、彼女の行動が世間(せけん)ずれしている事に間違いはない。俺はこの妙な空気感に()れ過ぎて深入(ふかい)りしないように、心の中で自分を(いまし)めた。


 ノックの音がした(あと)、そっとドアが開いた。


「調べものと後片付(あとかたづ)けが終わりました。皆さんにその結果と、今後の予定について話し合いたいと思います。曽我部(そがべ)くんと布引(ぬのびき)さんは医務室で眠っているようなので、みんなで話し合った事を(あと)(つた)えるようにします。

 漫画の本とオセロは元の場所に戻してくださいね。それでは食堂へ行きましょう」

秋月令子(あきづきれいこ)の表情からは、今後の成り行きを読み取ることはできなかった。


 参加者たちは一様(いちよう)(かた)い表情を浮かべながら秋月令子の後ろについて行く。


 職員も参加者たちも、立て続けに気味の悪い事件が起こったこの状況で、予定通りのカリキュラムをすんなりと(こな)せるとは思えない。


 食堂に入ると、テーブルの上にはペットボトルの緑茶が人数分並べられ、奥の席に(むずか)しい顔をした田中忠(たなかただし)と、両手に(あご)を乗せた津田美子(つだよしこ)が座っていた。

 参加者たちは指示を受け、カレーを食べていた時と同じ席に座る。秋月令子は軽く会釈(えしゃく)をした後、二人の職員に(はさ)まれる形で中央の席に座った。


「ペットボトルのお茶は安全ですから遠慮なくどうぞ。お話が済んだ後、すぐに食べられるカップ麺を用意しますので、希望する人は申し出てください。

 それではまず調べものの結果を、田中先生に(つた)えていただきます」

秋月令子が目配(めくば)せをすると、田中忠はふうっと長めの息を吐き出して立ち上がった。

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