さぁ伝説になるであろうSF導入冒頭NO.1
物語を終わらせる原因って一体何だろう。
僕は耳をゴシゴシと押さえつけながら思う。黒い塊は今や消え失せ、代わりに黒い粒が舞っている。
物語が終わる因果。…語り手の死か、謎の解決か、問いの収束か。
そのどれもがこの物語において既に果たされたことで、終わったことだ。
気づけば大気は拡散し、風は死んでいるようであった。銀がそこら中に落ちている。風は死んだのだ。
「どうやらこの世界だけは簡単には認めてくれないようだ…物語の終わりを。」
世界と物語…乖離したのが不味かったのだろうか。
僕はそうニヒルに言う。それから立ち上がって耳から手を離す。
耳は元通り。
けれどもそこら中に肉片が飛び散って血溜まりができている。灰の上に積層して、灰の底に染み込んでいる。
世界が認めてくれないなら全てに世界を認めさせる。
その一心で動いてきた。
もうこれで終焉だ。
あいつら鬼ども天狗も僕を待っていただけだ。
僕が抱えるこの世界を救う方法を待っていただけだ。
なら僕を待つと言う束縛から彼らを解放してあげれば、解放が成功すれば彼らは認める。
…だろ?
そして案の定、ラグナロクは阻止された。月は生きたままだ、ただ躯に覆われているだけで。これならば認めてくれる…納得してくれたことになるであろう。
影も、精霊も、エルフも、悪魔も、狼も、天狗も、鬼も、猫又も。
あとは、封開…あの僕…母。でももう見当はついている。
僕は跳躍して悪鬼になる。終焉帝の復活だ。
「もう…どこでもいい。」
終わらせるのは何処ででも出来る。
だから、せめてなら…最後くらいあそこで締めようじゃないか。




