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偏差値71の妖怪怪異譚  作者: 白背 四枚馬
語り手は僕。故に物語は決して決して始まらない。
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さあ伝説になるであろうSF導入冒頭No.03

糞。フン。糞。いわばクソである。

地方で名称は違うだろうがどれも共通して気持ちの良いものではないだろう。触れば病気を発症するらしいし。

そんなクソみたいな糞と僕の夢のコントが今朝開催されたようだ。ぜひ傾聴して欲しいものだ。


11月22日の放課後。住宅街に包まれた陰気な通学路を静々と歩く陰鬱な学生がいた。

身長175センチ。顔の造形は普通。偏差値71の高校に通っている。一見陽キャ側もしくは成功者に見えるかもしれないが安心して下さい。パンツを履いてます。それにズボンも履いています。最近はズボンもパンツも同じらしいが僕はファッションに興味がないのでどうでもいい。ファッションさんも僕を嫌いなようだ。

改めて厳正に極めて正しく自己紹介しよう。僕は高校二年生。体重50kg。髪ボサボサ。そして肩書きは陰キャオタク厨二病クソボッチである。

ちなみにクソボッチであるしクリボッチでもある。

他称はスーパー陰キャボッチ。自称は彷徨える浮遊霊。浮遊霊と書いてブユウレイと読む。武勇嶺とも読めてかっこいいだろ?誰も呼んでくれないから自称なんだけれども。


そんな社会的価値がすこぶる最低を切っていそうな将来廃人気質のある僕は下校をしていた。ただの下校。安心感のあるいつもの日常。ただし灰色の日常でもある。11月22日午後5時。季節は秋でもなく冬でもない曖昧な時期。高2秋冬であることからも受験生でもなく遊び呆けるべきでもない曖昧な時期。

とりあえず僕は不安だった。

その先の未来への不安、社会的価値の低さへの悲観。そして犯罪者予備軍という自覚への恐怖。そう僕は犯罪者予備軍だ。性癖の内容があれのせいで。

いや違う。僕は犯罪者予備軍なんかじゃない。ロリでもコンでもない。そう思いたい。性癖はデリケートな話である。だから極めて冷静に改めて言わせてもらおう。

「僕は犯罪者でも予備軍でもない。ただの高校生なんだああ。」

その叫びは口から外界へ出ていく。まだ自己紹介が済んでいないのに。口が滑った。無意識に声に出してしまった。あくまで脳内での会話だったはずだけれど間違えて声に出してしまったようだ。あ、会話というより独り言か。

誰かに聞かれていなければ良いが。


「お母さん、変な人がいるよ。」


「はじめ、見てはいけません、聞いてもいけませんよ。不審者なんだから。」


目の前を通り過ぎる親子がヒソヒソ話す。わざわざ口元を手で覆いながらである。僕に聞こえているなら意味ないっての。まあ、ひどい言われようである。けれど仕方ない。今、僕は幼稚園の校門を今まさに通り過ぎようとしていたのであるから。校門なのか園門では?


それでも流石にあれくらいの独り言で不審者扱いされるのは、論理的にもただの感情論的にもおかしいであろう。全くまことに遺憾である。本当にイカンな最近の子供は。どの口が言っているのだ。

しかし、僕も伊達に偏差値71の高校に通っているわけではない。問題発言であったことは認めよう。けれど不審者ではないはず。いや、そもそも問題発言ですらないかもしれない。先ほどの流れを汲み取りこのプライドだらけの脳みそが判断する。どちらかというと、問題発言予備軍という残酷な答えに。


犯罪者予備軍よりも何か社会悪のような気がするのは何故だろう。そして僕が予備軍から現役軍に配属されるのはいつであろうか。考えたくもない。いや考えてはいけないことだ。本気で性犯罪の罪は重い。あくまでも二次元にとどめているはず。僕の闘志はそこまで腐っていない。推しへの投資は冴えているけれど。

そうやって犯罪とかを考えるから僕は不安になる。その物理的証拠に目の前が真っ暗になったように感じた。いや、本当に。感じたではなく実際に。


人生は常に真っ暗だが物理的に真っ暗になったことはなかった。ツイニイカレタノカ。僕の眼球は。

まだ帰宅途中。道草も食わずに、いや道草も食えないくらいのボッチゆえの早期帰宅だと言うのに、真っ暗。だからどうしてだろう。それを考える暇はなかった。声が聞こえた。


「お前は怪異譚を歌えるか。」


男の声だった。視界が暗いせいで音しか聞こえなかった。


「何…怪異譚…?」


「だまらっしゃい。早くこの街から去れ。」


ハリのある女の声だった。会話内容が少しおかしい…そもそも誰が誰と…


「それは出来ない相談だ。このクソババア。」


BBA?少なくともババアの声色には聞こえないけれど…ハリがあったような…


「ならあんたは差し詰め人外だ、この畜生が。早く去れと言っている。だから早く去れよ。」


人外…?去れ…?


「だそうだ。早く去りやがれ。この人外が。」


その瞬間僕の体は揺れた。まるで大地震が来たみたいに。暗闇で平衡感覚は著しく低下している。当然倒れる。


「う…あぁ。」


「…」


「うわああああああ。」


僕はそのまま倒れ続けた。倒れ続けたのである。床がない。地面がない。風が僕を包む。風を切る音が聞こえる。


僕は一寸先も見えない新月の夜のような濃い闇で落下している。


今となっては遠くから。先ほど聞いた、声だけ聞いた、聞き覚えとハリのある女と男の声が揃って聞こえる。


「払へ給へ清め給へ神ながら守り給へ幸い給へ」


それは綺麗なユニゾンの祝詞でかつ、タイムリープの出入り口だった。



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