1
『本当にいかなきゃだめ..?』
『ああ、安全のためにな。』
暗闇にぼんやりと光が漂う中で、二人の人物が会話をしているのが聞こえる。
一人はまだ幼い容姿をしている女子供で、もう片方はまるで霧がかかっているかのようで顔が認識できない。
だが、声からして男性だろう。
ところで、なぜ自分はこんなところにいるのだろうか?
至極当たり前な疑問解決のために、身体をうごかそうとするが
...
(からだがうごかない...)
『大丈夫だ■■■、今回は人類側の“王”もいる。
絶対に勝てるぞ。■■■は、少し待ってるだけでいいんだ。』
『絶対に勝てるなら、私がいても問題ないでしょう?
これでもお城の兵士さんよりは強いから!』
どうにか動けないかと試行錯誤するなか、また声が聞こえる。
...どうにもこの男性は、争いが起きるから女の子にどこかに逃げてほしいようだ
だけど女の子は、残りたいと我儘を言っている..。
『我儘をいうな■■■、今回は相手が相手だ。たとえ勝てたとしても500年は
まともな暮らしはできまい。■■■にそんな苦しい生活はさせたくないのだよ。』
『でも...』
『安心しろ■■■、お前が起きる頃には私はよぼよぼの爺さんになってるやもし れんが、
お前が好きな、人類たちと仲良く過ごせる楽園が築かれてるだろうよ。』
『そっか..。』
『ああそうだ。だから楽しみにしているといい。
私もそのために頑張ろう。だから爺さんになっても嫌わないでいてくれよ?』
『...うん!大丈夫。おじいさんになっちゃっててもパパはパパだから!』
...パパって...この二人親子だったのか。
っていうか500年もまともな暮らしができない争いってなに!?
ここは日本だぞ!
...ほんとに日本か? 自分の状況含めあやしくなってきた...
でも二人がしゃべってるの日本語だよな?
『では、行きなさい■■■。』
『はい、いってきます!パパ!』
そう父親の言葉に返事して、女の子は真っ黒のドアをくぐっていく。
しばらくして、
『行ったか。』
そして沈黙。
...気まずい。
どうにもこの男性は俺のことを認識していないみたいなのだが、この不思議な状況での動けない俺と
さびしそうな気がする男性...とくになにも起きないが、起きなくていいから早くこの状況を脱したい。
誰か助けて!夢なら覚めてくれ!
『■■■様、準備が整いました。
ふむ、■■■様はもう向かわれましたか。』
誰か来た!
声からしてかなり年をとってそうな男性だ。
『参謀か。ああ■■■なら説得していまさっき飛んでいったぞ。』
『ほう■■■様が説得ですか。..ククッ..なるほどなるほど!』
『なにか言いたいことがあるのか?参謀...いやバゼル。』
『いえいえ、なに少し昔を思い出しましてな。
本当、時というものは儚いものですな。』
そう言って感慨深げに頷く男性
『..なにを思い出したのか知らんが忘れろ。
それよりすこしやることがある。バゼル、お前も手伝え。』
『うむ?もう全て準備できたと思っていましたが...
まだなにかあるのなら、是非手伝いましょうとも。
魔■起動、■■■■!』
老人の声を皮切りに、目の前が暗転する。
『そうだ、絶対に安全とは限らんからな
それに育てる時間がない。
それなら■■■をまもってやるのに使ったほうがいい。』
真っ暗な中、声だけが届く
『ふむ、そこまで言うのならこのバゼル、
異議などありませぬぞ。』
『..バゼル..お前にも迷惑をかけるな。』
『ほほ、なにをいまさら!
それよりも“参謀”を糧にするのですから、せめてそれ相応なのを召喚してくだされ。』
『..初代が召喚したのは、”銀触”さえ滅ぼせる力をもった人だったという。
最弱といわれた初代さえそれだ。継承してきたこの力と役職をあわせれば、
あの守護竜を超える存在さえ喚ぶのは不可能ではないだろう。』
『ほほ、それは安心できますな。流石は歴代最強の..』
『..始めるぞ。バゼル。』
『最後まで言わせてくれないのですかな?
このバゼル悲しくて泣きますぞ!
まあ冗談はこれくらいで..始めましょうか。』
..?なんだか眠く...。
『..を糧に...黒く..れ..
り...ここに,,っ来たれ..■ン■■ントサモン!』
その言葉を最後に俺の意識は途絶えた。