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番外編 あなたに、会いたくて7


 そういえば、ついていくという発想がなかった。

 あの子のときはためらい、選べなかった選択肢。

 そう……選ばなかった。

「そっか。私」

 立ち上がり、作り物のそらを見上げた。

「そら子ちゃん。ありがとう」

 後悔で蓋をして、見えなくなっていた。地上は怖い。それは私も同じ。きっと大人はみんな反対するんだろう。

 でも、大人が正解を言っているとは限らない。

 自分で確かめなければ、分からないことだってある。後悔するのは後でいい。

 私は、そう生きたい。

「私、祈るだけは性に合わないみたい」

「お気をつけて。私はここで祈り、二人を待っています」

「うん!」

 心と身体で、風を切る。


 とんとん拍子で話が決まり、即日地上へ行けることになった。

 黒に染まった通路。機械音の激しいエレベーター。一転して真っ白な通路。どれも異様な風景だった。

 緊張しっぱなしだけど、ふしぎと足取りは重くなかった。先へ先へと、私を運ぶ。

 駅構内では見つからず、周辺を捜していると、大きな地響きが空気を震わせた。

 熱が私を恐怖の先へ連れていく。避難する人と逆行し、大通りを突き進み。そして。

 彼女を見つけた。

 白い怪物がにらんでいたが、むしろ身体は軽かった。

 駆け寄り彼女の手を握る。どうして、と彼女の表情は言っていた。

 でも、気づいてしまえば答えはすごく単純で。精一杯の笑顔で手を引いた。

 今度は、私の番だから。

「ほら!逃げるよ!」

 みんなに反対されたって仕方ない。合理的ではないから。

 それでもいい。正しさなんて、変わるものだから。

 もう、迷わないよ。


 だって私は、あなたの。


お疲れ様です。


おとなしそうに見えるだけの人っていますよね。

彼女にとっての最善択で、窮地から助け出します。

長かった藤子の番外編はこれで区切りです。お付き合いありがとうございました。

次回から、アスカ視点に戻ります。


次回の更新も一週間後、10月31日の予定です。

よろしくお願いします。


ここから、なにをすべきか。

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