A-018.0525.1821 ドミナンス戦1
大鷲が燃え上がり、身体を包む。
烈々たる炎翼のみが残り、翼を広げた。
ギロリ。
「っ!」
気づかれた。気圧され、身体が固まる。
『あとでねー!!』
恐怖を振り払い、睨み返した。
山羊が顎を引いて角を下げた。巨体が揺れ、片角が目と鼻の先に迫る。
ギリリリ!!!
炎翼が攻撃を右に受け流し、初手を凌ぐ。防御は基本的にヒカリが反応、判断し防いでくれる。わたしが炎翼を操作するのは攻撃のときだ。
「フー……」
巨体にしては疾い。憶測に従うのは危険だと理解した。彼らは想像を超えてくる。
今度は前脚を振り上げ地面に叩きつけた。地面が揺れ、体勢を崩しかける。角を構えるのが見えたので、炎の羽を飛ばし牽制した。何十もの羽が山羊に突き刺さるも、すぐに抜け落ちてしまった。傷跡も残らない。
再び角で攻撃される。炎翼で弾く。
それからも山羊は幾度となく攻撃を仕掛けてきたが、わたしは慣れていた。
鮫浦副隊長の神出鬼没な斬撃と比べれば大したことはない。
これなら十分いなせる、と見切りをつけたのも束の間。
ガタン。
山羊の後ろで物音がした。
「墜村さん!?」
一人だけではない。山羊の背後に延びる路地から、崩れた建物の中から次々と町の人たちが現れ、山羊の元へと集まってくる。目は虚ろで生気は感じられない。無傷に見える人も居るけれど、多くは胸のあたりを刳り貫かれたように大きな風穴が開いていた。
咆哮が響き渡る。
お疲れ様です。
魚石アスカにとっては初の魔石獣との戦闘になります。(店での戦闘は対人でした)
本番って緊張しますよね。
次回更新も一週間後、8月22日の予定です。
よろしくお願いします。
鮫浦副隊長も急いではいます。




