番外編 純心烈火の翼3
『さ、久しぶりに模擬戦だな』
『はい!』
再び翼と剣がぶつかった。
結果は明らかだった。
今までよりも遥かに余裕がある。
いつも惜しいとこまで行ってると感じるくらいだが、今日は何手か間違えることが無ければ攻撃が届きそうだった。
『こんなに違うなんて……』
『今までほとんど空っぽの状態で模擬戦してたんだから当たり前だな。ほんとは十入る器で一しか入れてなかったんだからそりゃあ違う。一日で回復するミーダは限られてるし、お前の場合は』
『鮫浦副隊長』
『あ?』
『アスカです』
『……んん?』
『ちゃんと名前で呼んでください』
『……魚石の場合は、大量のミーダを蓄えられる器を持っていた。毎日食って寝て回復して貯めておけば、ミーダはかなり余裕ができる。戦術もバリエーションが出せるぞ』
『名前じゃないんですか』
『……お前呼びはやめてやる』
『はぁ、分かりました』
『そんなことより聞いてたか?馬の耳に念仏、馬の尾に神秘だぞ』
『なに言ってるんですか?』
『馬尾大先生のことわざ』
『あの変な漫画ですか……』
『なんだって?』
『えーと、戦術のバリエーションというと例えばどんなですか?』
『今の問題は攻めと守りのバランスだろ。だが翼は二枚しかない。そんで前から疑問だったんだが……』
鮫浦黎次の存在は大きかったようだ。
話すたび、彼女はできることが増えていった。
お疲れ様です。
番外編も記念すべき三回目、喜ばしいことです。
鮫浦副隊長は工夫の人なので、それを伝えることも得意だったりします。
教えを受ける側もやる気があれば、良く伸びるでしょう。
次回更新も一週間後、6月20日の予定です。
よろしくお願いします。
番外編は次でラストです。




