A-018.0428.0917 新しいルーティン
翌日諸々の審査が終わり、後援班の所属が決まった。
鮫浦副隊長は、まだ帰っていないらしい。
午前中は東京基地の案内から始まり、魔石特務部隊の日課を教えられた。
わたしが所属する後援班は、前線部隊の支援を行う班でありつつ、有事においては避難誘導や人命救助も率先して行う。
午前は座学。
「よおし楽しいおべんきょうの時間だ。しっかり聞けよ」
講師は研究班の湾野班長。基礎的な魔石の特性を学ぶ。
「アヌンライトの最も基礎的な効果はミーダの出力増幅だ。ほとんどのNコードを使った兵器にアヌンライトが扱われているのは威力を上げるためだ」
つまり、わたしのペンダントも兵器運用を前提として作られたものなのだ。
「アヌンライトは、現代科学技術では加工できない。硬度が高く、Nプロパティによる攻撃でなくては傷をつけられない」
「質問です。加工できないのであれば鮫浦副隊長の扶桑剣はどうやって作られたんですか?」
「……あん?」
「……?」
知らないことに触れるのは楽しい。
昼休みを挟み、午後からはトレーニングが始まる。
「……走り込みだ」
後援班の汀班長に続き、みんなで走る。
てっきり後援班だけで走るのかと思っていたら、他班員も一緒だ。体力勝負なのは、現場の人間だけではないらしい。
汀班長は鍛え上げられた体躯で軽々と走っていった。先輩方は平然とついていったが、わたしは疲労で何度も倒れそうになった。後半は足を引きずるようにしてゴール。
流石に気持ち悪くて、昼食が戻ってきそうなのをなんとか堪えた。
「……戦闘訓練だ」
走るのが終われば小休憩を挟み、戦闘訓練が始まる。
基礎射撃訓練や、複数名でNコードホルダーを相手取る際の連携を確認した。
連携の形がいくつもあり、メモを取ったけど覚えるのは時間が掛かりそう。
射撃も今のところ的に当たる気がしなかった。道のりは長いと思われる。
こうして魔石特務部隊の一日は終わり、寮棟に戻った。
お疲れ様です。
魚石アスカにとっては全く新しい生活の始まりです。
え、学校は?
帰れない、かつ地下とは連絡も取れないので事実上欠席になっています。
魚石アスカは学校を辞める覚悟までしているので、お構いなしです。
そんなことより鮫浦さん。
次回も通常通り一週間後、5月9日の更新予定です。
よろしくお願いします。
次回は、随分前にもらった藤子とそら子からのプレゼントを。




