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R-027.0427.1319 模擬戦開始


「いくよ!ヒカリ!!」

 ペンダントが輝き、Nコードが起動。魚石アスカの背後から全長三メートル近い大鷲が現れた。

 大きく羽ばたこうとする大鷲の胸元にはキラキラと光る魔石が見え隠れしている。

「あれが」

 扶桑剣を出し、身構えると身体が鈍い光を帯びた。

「なにもないところから剣が……ヒカリ、合わせよう!」

「キィ!」

 呼びかけに応えると、大鷲が真っ赤に燃え盛りながら、魚石アスカを大きな翼で包みこむ。

 燃え上がる両翼を広げると同時に、火を纏った羽が弾丸の如く発射された。

「!」

 広範囲に放たれた大量の羽を、真上に跳び跳ね回避する。

 羽が床や壁に突き刺さった。


 空中に難を逃れて目撃したのは、

 大鷲は消え、背中から炎翼えんよくを広げた魚石アスカの姿だった。

 Nコードホルダー特有の模様が、額に浮かび上がっている。


 着地際を狙った魚石アスカは駆け出しつつ、伸縮自在な炎翼で薙ぎ払った。

 着地と同時に横へ跳んで回避する。翼が床を抉った。

 間髪入れずにもう片翼が振るわれる。

 ガキィィン!!

 受け止めた翼の感触は重く、切ることは出来なかった。ギチギチと金属のような音まで響いている。

 資料によれば、初代刀主は船や戦闘機も含め、あらゆる敵性物体を真っ二つにし暴れまわったという記述があった。味方でさえ恐れおののくほどに。

 その扶桑剣をもってして、切れない。

 あとどういうわけか翼からは熱を感じなかった。

「うーん?」

 魚石アスカが右ストレートの拳を打ち出す。

 扶桑剣は翼を受け止めるのに使っている。防御手段は尽きているが、そう簡単には捕まらない。

 今度は天井まで。

 ドン!!

 えっ、と魚石アスカは声を上げるも遅れてきた風と床に映る影からすぐに跳び上がったことには気づいたようだ。だが、それでは遅い。

 天井を蹴り、壁を蹴り、見上げる魚石アスカの視界を振り切り、音もなく背後へ降り立つ。初代が多用していたやり口である。そのため一連の動作に無駄はなく、魚石アスカの首筋に剣先が吸いついて決着。の予定だった。

 ギンッ!!

「……は?」

 当然寸止めするつもりで振るっている。だが、剣は弾かれていた。

 さらには翼に巻かれるように剣を取り上げられて体勢を崩してしまう。

「うおっ」

 逃げようと走り出すも、瞬く間に炎翼が周囲をおおい。

 振り向くと、魚石アスカがそこに居て。


 正拳突きが迫っていた。


お疲れ様です。


鮫浦副隊長のステータスは戦闘向きではなく、Nコード頼りになっているので案外簡単に追い詰められます。これまでも、これからも。


次回も更新は一週間後、4月11日です。

よろしくお願いします。

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