A-018.0427.1309 覚悟
真っ暗な修練場の中へ入ると電気が点いた。そこには立方体の空間が広がっていた。
格子状の溝が一面に走る真っ白な壁と天井は、光を強く反射し無機質で落ち着かない。
箱の中に閉じ込められたような気分。
「実験場……?」
「鋭いな。ここは基地内でできない研究や実験をする場所でもある。だから頻繁に消毒液を噴射してて臭いんだよな」
確かに薄くはあるが薬品の臭いが充満している。苦手な人は頭が痛くなるかもしれない。
「耐久性はNコードホルダーの戦闘を想定して設計されているとヤズさんが言っていた。ま、頑丈ってことだろうな」
よくよく考えてみると、外から見た大きさと比べてここは狭く感じた。壁や天井が厚く補強されているのかもしれない。
「ピカピカなのは良いとこだ。臭いを気にしなければ気分が良い」
「あの、どのくらい力を出していいんでしょうか?」
「フルパワーでいいぞ」
「危ないと思うんですが……火とか出しますし」
「壊れても直すだけだ。気にしなくていい」
「いえ、もし鮫浦副隊長に怪我を」
流石に本気でとなると、怪我をさせてしまうかも。大事になってしまったら、
「俺は死なん」
わたしは息をのんでいた。
言葉の重み。絶対の自信を感じたのだ。
「本気じゃなきゃ意味ないだろ」
「……分かりました」
物事に絶対はないけれど、この人は言い切った。
感じた気迫の正体はきっと、昨日のわたしに足りなかったもの。
「ほら、位置につけ」
鮫浦副隊長が修練場中央から、少し距離をとって立つ。わたしもその対岸に構えた。
入り口の方に何人か見物人が来ている。
比女さんもいるし、魔石特務部隊の人たちだろうか。
息が浅くなっていたことに気づき、深呼吸する。
「念を押すが、本気で来い。どちらかが相手に一発入れたら終了だ」
「はい!」
「じゃ、始めよう」
お疲れ様です。
相変わらず進行がゆっくりです。
試行錯誤中です。
次回更新も一週間後、4月4日を予定しております。
どうぞ良しなに。
さあ、模擬戦です。




