R-027.0426.2147 抜く手も見せぬために
入室し、各々席に着く。
「席に着いたな。では始める」
全員が静かになるのを待ち、継目が話始める。
「今回集めたのは先ほどあったA事案と本日面接した魚石アスカが関連している可能性を含め、情報の共有、方針の話し合いをするためだ。ここまではいいか?」
全員が頷き、継目の言葉を待つ。
「では共有から。比女班員、頼む」
「……はい」
起立し、書類を手に話し始めた。
「本日午後八時半頃、飲食店が襲われました。被疑者は一名、Nコードホルダーです。これを魚石アスカが他の客や店員を庇護しつつ迎撃。あたしが警察に通報を入れました」
仕事モードに切り替えた比女が、はきはきと話す。
「結果として店には被害が出ましたが、人的被害はゼロ。被疑者も軽傷で無力化に成功しました」
「待て、迎撃と言ったな?それを新人の魚石アサリとやらがやったのか?鮫浦ではなく?」
ヤズさんがたばこに火をつけながら割り込む。
継目がたばこを見て渋い顔をするが、無視して煙を吹かした。
名前も盛大に間違えている。人への興味が薄い人なので仕方ない。
「はい、魚石アスカが対処しました。彼女もホルダーです」
「ほ~う、鮫浦以外見たこともないホルダーが急に二人と。不穏だな?」
ヤズさんが疑念を持つのは間違っていない。
「被疑者の使ったNコードは発火であったと思われます。小規模の爆発を起こす火の玉を発射し攻撃していました。推定はD級です」
「なら鮫浦じゃなく、武装した有象無象でも鎮圧可能だったってことか?」
ヤズさんの発言に汀班長が片眉を上げる。
「被疑者は一名でしたので可能と思われます。ただし、被害をゼロにするのは難しいかと」
「魚石アスカは有力者ということですか?」
興味を引かれたのか燈台さんが訊ねた。
「はい。低く見積もってもC級。戦闘に慣れればB級にも届くでしょう」
B級までとは。
高い能力を示すのはすごいの一言だが。
果たして、それは本当に良いことなのだろうか?
お疲れ様です。
班長会議は、状況整理のような時間です。
小難しいことやってるように感じるかもしれませんが、軽く見流すくらいの気持ちで読んでいただければ幸いです。
次回の更新は一週間後の1月31日を予定しております。
よろしくお願いします。
次回はホルダーの扱いについてのお話が出ます。