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R-027.0426.2054 現場2


 店から少し離れた建物のかげで事情聴取を受けている比女を見つけた。

 隣には魚石アスカもいた。やはり。

「取り込み中か?」

 話している警官に横から訊ねる。

「鮫浦さんですか。いえ、もう現場状況は把握しました。今日のところはこれで失礼します」

「そうか?邪魔してなければ良いんだが」

 いいえ、ご協力ありがとうございました、と一礼して警官は去っていった。

 その背中を見送り、二人を見る。

「遅くなったな」

「いやいやー鮫浦先輩飛んで来てくれたんでしょ?遅いなんてことはないですよー」

「間に合わなかったからな」

「……」

「どうした?」

「あ、すみません。気が抜けてしまって」

 魚石アスカは面接の時とは違い、ぼんやりしていた。

「怖かっただろ?」

「……はい。前線部隊に所属すると、こういうことが起きるんですね」

「そうかもな」

「初めて殺意を向けられて……あんなに身がこわばるとは思いませんでした」

「そりゃ当然の反応だ」

 殺意や死への恐怖はそうそう慣れるもんじゃない。

 慣れて鈍ってもいけないだろう。

 魚石アスカは、うつむいてなにか考え込んでいる。

「あの、鮫浦先輩」

 くいくい、と比女が横から服を引っ張ってきた。

「なんだ」

 顔を寄せて、耳打ちする格好になる。

 魚石アスカには聞かせたくないらしい。

「ここではちょっと言いづらいので一度基地まで戻って、継目さんも込みで話がしたいです」

「分かった」

「それから、アスカちゃんは要警護対象と思われます。一人にはしない方が良いかと」

「ふーん?継目には俺から言っておこう。もうすぐ後援班が来るはずだ。汀班長には比女から伝えておいてくれ」

 遠くから、遊撃車が走ってくるのが見える。良いタイミングだ。

「分かりましたー。鮫浦先輩は?」

 比女がわざとらしく敬礼のポーズで返事をした。

「パトロールして帰る」

「了解です。お気をつけて」

「比女?」

「はい?」

 いつも通りの返事に聞こえる。でも。

「顔色悪いぞ。大丈夫か?」

「……え?」

 街灯少ない薄明りでも分かる。青ざめた顔。

「あははーあたしだって怖かったんですよー。前線なんて立ったことないですし」

「なにかあるなら言えよ」

「なんですかー?気遣いなんてらしくないですよー」

 比女が後ろを向く。

「でも、うん。そうですね。今回ばかりは……鮫浦先輩」

「なんだ?」

「悪いやつ見つけたら、迷っちゃダメですよ」

「どういう意味だよ」

「あははー頼りにしてますよー」

 振り返り、イタズラっぽく笑う彼女はいつも通りだ。

 けれど、引っ掛かりは残った。

「二人とも!!無事っスか!?」

 後援班が到着し、魚石アスカと比女は遊撃車に乗り込む。


 基地へ向けて発車した。


あけましておめでとうございます。


今回はへんな様子のヒトが多いです。

まあ、大した事情はありません。


次回は一週間後、1月10日の投稿予定です。

よろしくお願いします。


とはいえ、比女ちゃんの言動の真意とは?

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