R-027.0426.1934 地下への疑問
自分のデスクに戻り、続けていた考察をメモしておく。
クローズドな地下について知ることは難しい。
電子掲示板でのうわさを含め、まとめる。
一、地上とはネットも電話も別回線を使っており、繋がっていない。
二、富裕層のみが移り住むことができる。
三、地下から地上へは物資が運ばれ無い。
四、犯罪が起きない。
五、地下はドーム状に覆われており、雨が降ることは無い。
六、食べ物はほとんど人工であり、味は地上よりおいしいが原料は不明。
七、価格相場が地上と比べ、非常に高額で売り買いされている。
都市伝説じみたうわさも含めて言ったものだったが、魚石アスカの発言で少しばかり信憑性が増した。
ここ東京基地には貨物列車で絶えず物資が運び込まれ、それらはエレベーターを使って地下に送られる。
問題は、その積み込み作業員が地下から派遣されてきたということ。
その話を継目から聞いたときは驚いた。
地下の証言者になりうる者たちだ。
話を聞くべく作業員に幾度と接触したが誰も話に乗ってくることはなく、断られ続け諦めた。
地下はユートピアと呼ばれ、移り住むことを夢見る者も多い。
だがユートピアである地下からの派遣。
住居もこの東京基地の一角にアパートが用意され、生活しているそうだ。
しかし、派遣されてくるとはどういうことなのか。
そもそも地下に対するユートピアという認識は、果たして合っているのか。
『地下には犯罪が存在しませんが』
魚石アスカの発言を思い出す。
「常識こそ当てにするな……か」
お疲れ様です。
少しずつ全体像が見えるようにしたいと考えています。
今回は閑話休題。
次回は通常通り3日後、12月20日の投稿予定です。
本線に戻ります。