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稽古

ベルクカイザーでは、鑑定眼を持つ数少ない、人材が2人いる。


それが、聖女セイラと賢者ジョーンズ。


鑑定眼は後発的な才能らしく、突如開眼するらしい。


そうして、見つけ出されたのが、勇者シンという感じだ。


元々セイラとジョーンズは違う道を歩き、決して交わることがなかったが、同日の同時間にたまたま、シンを見つけ、鑑定した所、勇者のジョブをみつけた。


そして、2人はシンに猛アタック。


最初は慌てふためいたシンだったが2人の説得により、勇者になることを承諾。


もともと、平民のシンだったが、この日を境に勇者としての生活が始まった。



というわけで、この学校には、世界でも稀少なスキルを持った2人がいて、そのおかげで、ベルクカイザーは、適材適所の優秀な講師陣と生徒のジョブに合わせた専門的な実習と講義が4年生から行われている。


さて、散り散りになった僕は、マチルと一緒に剣術科に向かう。


一緒にいる講師はマチルの叔父であるユージンさん。


ジョーンズの鑑定眼によって、剣術の才能を見出され、ベルクカイザーの講師となった。


他の科にも、専門の講師がいるように、実はこの最果ての村にはたくさんの才能が眠っていたらいしい。


まぁ、考えれば、ベルクカイザーが来る前は、村人だけで魔獣を倒していたのだから、当たり前と言えば当たり前なのかも知れないな。


剣術科の実習場に着くと、短剣や長剣、刀に細剣そして大剣など自分にあった、剣を持った生徒たちが、しのぎを削っていた。


この雰囲気を見るだけでも、フェルナンドの生徒よりも強いと思う。


「やめ!全員集合!」


ユージンさんが、声をかけると、一斉にやめ、集まってきた。


「皆は知っていると思うが、我が校の一期生であるバーンとマチルだ。今日は夏休みということもあり、本校に寄ってくれた。皆に稽古をつけてくれるので、どんどん挑むように!時間は今から1時間!では、よろしく頼む。」


ユージンさんがそう言うと、まずは短剣を装備した男の子が、マチルの前に立った。


「お!久しぶりだな!シャーン!少しは強くなったかな?」


シャーンは僕たちひとつ下の二期生になる。


成績優秀、素早さを武器にした短剣術は、他者の追随を許さない。


もちろん二期生の中のトップである。


そんなシャーンだけど、実は一回も一期生に買ったことがない。


もちろん、強い。


つよいのだか、ベルクカイザーの教えを受けた一期生と二期生には埋められない大きな差があるのだ。


「……行きます!……」


張り詰めた緊張感のなか、シャーンがその場を蹴った。


一瞬の攻防だった。


シャーンがその場を蹴り、一瞬でマチルに近づく。


短剣の特徴を生かし地面スレスレをかける。


マチルに肉薄すると、切り上げのモーションに入る。


長剣を得物とするマチルからすると剣を振って対応するには距離が近すぎた。


「もらった…」


シャーンが思ったその時、マチルに届くはずの短剣が弾かれた。


「なかなかの一手だね!でもまだまだ!」


マチルはシャーンの動きを見切り、切り上げた短剣を剣のツカで弾いていた。


弾かれたシャーンは、そのままの勢いで回転し、マチルに攻撃を続ける。


回転することで、勢いが増しマチルの剣を弾くと思ったその時だった。


「ふん!!!」


シャーンの短剣が思いっきり弾き飛ばされた。


「シャーン…いつも言ってるじゃないか…スピードだけでは勝てないよって…」


マチルの言う通り、シャーンの攻撃スタイルはスピード特化。


そのため、パワーが足りていないところはあるが、それは微々たる物で、王都の学校であれば十分通用すると思う。


だけど、マチルには通用しないのだ。


短剣が当たる瞬間、スピード✖️体重✖️筋力✖️遠心力でパワーが極限まで上がったシャーンの攻撃を見極め、剣を当てる。


これだけでもすごいことなのだが、そこからがマチルの真骨頂の金剛力の発揮である。


はっきり言って僕たち11人の中でも、マチルに力で敵う人はいない。


そして、それに見切りがつくと、鬼に金棒なのである。


「く…筋肉バカが…」


その発言には深く同意します。


がそれは、失言なんだよな。


「誰がゴリラで胸なしだー!!!!」


はい、終わりました。


マチルが剣を抜いて突っ込む。


マチルの乱舞をなんとか短剣で防ぐシャーンだったけど、そんなに長くは続かなかった。


シャーンの短剣がマチルの剣技によって、吹っ飛ばされる。


「あ…」


防ぐものがなくなったシャーンが無防備に硬直する。


はぁ…


僕は深くため息をつくと、その場を蹴った。


「くぅ…マチルまた、力をつけたね。」


シャーンとマチルの間に割って入るとシャーンを蹴り飛ばし、マチルの剣を双剣で受け止める。


「…バーンさん…めっちゃ痛いです…」


遠くから抗議の声が聞こえてきたが、諦めた君が悪いんだよ。


「ちょっとー!バーン入ったら稽古にならないじゃないかぁ…」


とかいいながら、剣に込める力が徐々に強くなっていっている。


「…マチル…あと少し力を入れたら…許さないよ…」


マチルの金剛力に耐えながら、僕は双剣に剣気を込めていく。


その言葉を聞き、マチルが凶暴そうな笑顔になった。


「ちょうど良かった!まだまだやり足りないって思ってたところだから!今日こそはバーンに勝つ!」


「くそ!このバトルジャンキーが!」


マチルの剣を弾くと、戦闘体勢へシフトした。


って言うか、そこでニヤニヤしてるユージンさん!この子を止めてください!

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