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もう1人の転生者

私、望月みのりは日高蓮という男の子が好きだった。

小学生のときからずっと同じクラスで、家も近い。

親も仲が良く、何かと気が合い話しやすい。


そうそう、私が遊んでいるととことこ付いてきて「一緒に遊ぼー」とか言ってきたっけ。

それからはよく遊んでたな…


中学でもよく考えたら私からしか話しかけていなかったかも…

でも話しかけたら嬉しそうな顔をして話してくれたから気づかなかった。

それでよく友達からは「みのりちゃんあの人が好きなの?」とか聞かれてた。


自分で言うのも何だけど私、友達っていわゆる一軍って子が多かったしよく告白され始めた時期だからあの時は噂になっていた。


あの時っていうのは2人きりでデート(おつかいに無理矢理連れていったところ)を見られてて、次の日は噂になって時のことだ。

友達とっいたら皆が質問責めしてきて困ってたなぁ…


高校になると蓮くんもやっと友達を作り始めて、って言っても1人ぐらいだったけど…

それで私もその友達と友達になってよく3人で遊んでた。

それでその友達がいない隙に、好きな人いるのかーって蓮くんに言ったら「いない、っつか興味無い」とか白けた顔で言っちゃって。

私はつい「蓮くんらしー」って笑って誤魔化していたけど、私はどうしたかったのだろう。


ある時好きな人いるのかーって聞かれちゃった時があった。

いるよって答えたら驚いたような顔をしてそのまま硬直していた。

じーっとこっちを見ているようなかんじでつい私もドキドキしてしまっていた。

その後、動き出したかと思いきや「ふぅ~ん…」と素っ気ない返事をした。

私の気持ちに気づいてくれていたのかな?


それで思いきって告白しようとしてたんだけど結局卒業まで何もできなかった。

私、案外臆病なんだ。


就職して、仕事して、会社から帰っていると蓮くんがいて、話しかけようと思っても覚えてなかったらとうしようって思っちゃって。

長年一緒にいて忘れるわけないと思っても、やっぱりダメで。


それで、ずっと考えてて、急に名前を呼ばれたとき驚いた。

それと同時に嬉しかった。

けれど…


背中を押されて、その時はすでに遅かった。

横から車が来ていた。

蓮くんはその車から私を助けてくれていた。


「み……の…り……っ……」


この言葉を聞いたとき、私は自分のせいで蓮くんが死ぬ、という罪悪感と覚えてくれていた、という嬉しい気持ちがあった。

どちらかというと嬉しいという気持ちが勝っていたけど。


その後、私は蓮くんが救急車で運ばれるまでずっと側にいた。

けれど、蓮くんは一度も目を覚まさなかった。


そこから私はすごく落ち込んでいた。

家に帰るのも憂鬱になるくらいに。

帰っていると、周りの人は上を見上げ口を開けていた。

皆が見ていたのは…私の頭上だった。


私の頭には家の近くにあるコンビニの見慣れた看板が倒れてきていた。


気がつくと真っ白な所にいた。

体の感覚はなく、意識だけが残っている。


私の考えは意外に早かった。

私は死んだのだろう。そう悟った。

予想するに即死…そう、端的に言うと私はコンビニに殺されたのだ。

そういえばあの時、通行人が通るには遅い時間だと思うのにたくさん人がいた。

なぜだろう?何かイベント事が?

いや、偶然だろう。

考えてもわからないし考える必要もないので偶然で済ませておく。


それにしても、久しぶりに蓮くんに会えて良かったな…

私の事覚えてくれていたみたいだし安心して天国に行けそう。

って私はそういうのは信じない派なんだけどね。


…えっ?

なんで…?

私、さっきまで何もないところにいたはず…

なのに、何で、それにここはどこ?

誰?この人達…

銀髪の…綺麗な色。

隣の整った顔立ちの女性は黒色の髪をしている。


「わぁあなた、リアが目を開けたわ」

「ほんとだ、可愛いなぁ」

リ、ア…?

誰?私のこと?

「リア、分かる?ママでちゅよー」

この人お母さんなのか…

じゃあさっきのがお父さん…?

ってかお母さんってどういうこと?

私のお母さんは2年前くらいに死んだはず…

…もしかして…

生まれ変わった…とか…?

まさか、そんなSFみたいなこと起こる?

ありえないって…

いや…実際今起こっているのか…


とりあえず安心させるためにも赤ちゃんっぽく喋らなきゃ。

「ば、ばぶぅ~……」

うぅ…恥ずかしい。

でも、2人の顔が安心しているのが分かる。

良かった。


だけど、もし死んだとしてなんで赤ちゃんになっているんだろうか。

よく蓮くんがいってた異世界…転生…?というやつだろうか。

それとも異世界転生もコンビニに殺されたのも本当は違くて、夢だったり?


夢かどうかを確かめるため、自分の頬をつねってみる。

んんー痛い…

夢じゃないのかな?

それにこんなリアルな夢なんてないもんね。


じゃあどうして…

って考えても分からないようなことを考えても仕方ないか。

とりあえず束の間の赤ちゃんライフを楽しもう。



ーーー



時がたつのは早い。

5歳になった。誕生日だ。

お母さんもお父さんも私の誕生日を祝う準備をしてくれている。

嬉しいけどこれ、気づかないふりとかいないといけないのかな…

まぁとりあえず自分の部屋に戻ろう。


この村の生活は楽しい。

前世よりかは少し、いや、結構不便な面もあるが慣れてくると楽しいものだ。

それと、この家はそこそこの田舎のそこそこの貧乏のなかの裕福なほうだ。

つまりは微妙なかんじってことだ。

私にもよく分からない。


母は家の庭で畑をしている。

それも中々の量をだ。

なのに畑が終わると疲れた顔1つしないで家事をし始める。

つい手伝いたくなるもんだから「手伝うよ」って言ったけど危ないからダメって言われた。

なんか心配になるがこの生活は村では当たり前の範囲だとか。


父は森や村の周辺に現れる魔物を狩る仕事をしているそうだ。

たまに狩ってくる大物の魔物は食卓に並ぶことがある。

最初は抵抗があったが、騙されたと思って食べてみた。


食材そのものの味が格別に旨い、だが食感がイマイチだった。

でも食べられないことはない。

日本とは程遠い美味しさだが、これがこの世界での食事として当たり前なんだろうと思う。

なので慣れておくに越したことはない。


だけど、日本の料理はとても進んでいるんだなぁとつくづく思う。

あぁ、日本が恋しい…


そして、村の少しだけ離れている丘の家には、私と同い年の男の子が住んでいるという。

家族全体での交流は無いものの、父同士で仲がいいらしく、仕事も同じらしい。

もうすぐ5歳になることで例の男の子とやらも村で仕事を始めるーとかなんとか父が言っていた。

男の子とは言え、仲良くしたいものだ。

だって今世では全然外に出ていないから友達がいないんだもん。

それにこの村の子供なんて少ないらしいし。

…って前世とは正反対だな。

前世では毎日遊んでいたのに…

恵まれていたんだなぁ…私は。


そういや私の正式名称はマリアと言うらしい。

マリアの愛称でリア、中々いいんじゃないかな。

って普通か。

部屋中にぐぅ~という音が鳴り響く。

そう、お腹が空いたのだ。

空を見ると日が沈みかけている。

それに、台所からの忙しそうな音が止んでいる。

そろそろ夕食の時間かな。

「リア~ご飯よ~~!」

よし、ビンゴ。

ご飯何だろう、楽しみだなぁ。


「はぁ~い!」



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