4話 平和な日常…
俺は3歳になった。
といっても前世の年齢を合わせれば30歳は下らないだろう。
なにせ仕事漬けで誕生日もろくに祝っていないので正確な年齢がわからないのだ。
3歳になりロベルトにプレゼントはなにがいいかと問われ俺は
「是非剣術を教えて欲しいです!」
と頼んだらしばらく黙り込んだうち俺が「どうしたんですか?」と圧を少しかけてOKが貰えた。
クレアには「弟か妹が欲しいです!」とセクハラ混じりのことを言ってみたら「母さん張り切っちゃうんだから!」と言われ逆にこっちが恥ずかしくなった。
ロベルト、頑張れよ。
ーーー
俺は3歳の誕生日プレゼントとしてロベルトから剣術を学び始めた。
前世なら考えられるないが異世界となると戦いがメインになるし、早くに学んでおくことに越したことはない。
ロベルトは元剣士なだけあって、剣術の才能はピカイチだ。
剣術には位があり、下から初級、中級、上級と分けられる。
魔法にも少し似ているが位が少し少ない。
ロベルトはもちろん上級だ。
上級の剣術が扱える剣士はこの国には十数人しかいないらしい。
そんな人から教えてもらうんだ。
きっと上達するだろう。
だが、せめて中級にはなりたいと思う。
上級になると沢山の練習が必要だろうし、なにより魔術の練習の時間がなくなってしまう。
そしてロベルトによる剣術の授業が始まった。
ーーー
「ふぅ⋅⋅⋅つ、疲れたぁー」
俺はどっと汗をかきながら家にへと帰った。
「お帰りなさい、レイ。
さぁお風呂の準備はしてあるわよ。
お父さんと入ってらっしゃい」
「はーい」
そうだ。
俺は3歳故ロベルト、たまにクレアと一緒に風呂に入るのだ。
クレアの日は当たり、ロベルトの日はハズレだ。
何がとは言わないがな。
「どうだった?俺の授業を受けてみて」
「はい。とてもわ分かりやすかったです。これからもお願いします」
ロベルトは似合わないにやけ顔で「そうかそうか。わかりやすいか」と呟いている。
流石に分かりやすかったは嘘だ。
何故ロベルトは感覚派なので当たり前のように擬音語を使ってくる。
それにしても今日は避け方から反撃の仕方、受け身の取り方など沢山の量を教えてもらった。
といっても教えてもらっただけでマスターしたわけではないし避け方な反撃の仕方、受け身などそれぞれにも沢山の技がある。
今日はその一部だ。
そして嬉しそうな顔で
「よし!明日からもビシバシいくからな!」
「はい!」
と気合いのいい返事をしてみせた。
そして気になったであろう体力面の問題だ。
ロベルトは3歳になったばっかりだというのを忘れているのか、そもそも気にしていないのか、流石に休憩はあるが道場並みに厳しく教えてくれている。
実際にも陰ながら筋トレを行ってきたので体力はついてきたが前世に比べれば小学生低学年くらいの体力だ。
程度ってもんを知らないロベルトの授業についてこられているわけがない、とお思いであろうそこのあなた!
事実をお伝えしましょう。
実は3歳の誕生日の前らへんにこっそり森に入ったことがあった。
そしてこの前ロベルトが狩ってきた一角ウサギ、通称アルミラージという魔物を狩っていた。
先手必勝ということで俺とウサギを囲む魔術結界を作り、「超爆」を使用した。
するとアルミラージは丸焦げになっていたが前に使った部屋より結界が小さかったので俺も少し火傷をしていた。
なにか回復できないかとやってみたところ、すんなりと回復ができた。
そこで俺は「小回復」という回復魔術をゲットしたのだ。
ということで俺はちょこちょこロベルトの目を盗み小回復を使用し続けた結界体力が持ったという訳だ。
ふふふ。我ながら天才かもしれない。
ーーー
こうして何気ない日常はあっという間、もう半年が経っていた。
魔術は最近行き詰まっていて、剣術は初級の半分くらいの剣術が扱えるようになった。
だがあるときクレアが妊娠した。
いつも通り家事をしていると、なにか気だるかったり、吐き気がしたりとつわりの症状がたびたびと現れた。
そこでもしかしてと思い、家族みんなで町まで行き、そこの大きい病院で検査してもらった。
すると妊娠した、と言われ、クレアは半泣き、ロベルトは嬉しいっという表情をしながらも目がうるうるしている。
俺はというと、弟か妹どっちがいいかと迷っていた。
んー弟だと気楽ではあるが俺はロリかショタと言われたら真っ先にロリと断言できる男なので、妹かなぁ、と思った。
うん。妹だ。
妹が欲しいな。
ちょっと気が早いか。
ーーー
クレアが妊娠とわかって数ヵ月もしないうちにクレアが熱を出した。
「どうせすぐ治るわよ」と言い張っていたが俺にはとてもそうには見えなかった。
この村には病気を治すようなところはない。
それにお腹には赤ちゃんがいる。
もしかしたら影響が及ぶかもしれない。
ロベルトというと熱が出た途端に身支度を整えていた。
すると
「レイ。出掛ける準備をしろ。
今すぐ出発するぞ」
えっ?クレアを置いていくというのか。
病人な上に妊娠しているというのに。
「父様。母様はどうするんですか?
それに母様は今大変な状況なのに1人で置いていけません」
「行くといっても数時間程度だ。
それにお前になにができる。
母さんを困らせるだけだろ?」
さすがにひどいと思ったが、それもその通りだった。
俺は手伝いがしたいと言っていたもののやらせてもらえず、この世界の常識など全く知らない。
さらに前世では家事など一切やっていなかったのだ。
それにロベルトの顔は深刻だった。
それもそうだ。
大事な妻が亡くなる可能性もあるし、最悪の場合お腹の中の赤ちゃんも死んでしまう。
焦るのも無理はない。
それに俺だって会って3年というのになかなか焦っている。
だってせっかくのロリが⋅⋅⋅おっと失礼。
お母様が大変なのでね。
そんな俺はロベルトと比べてミジンコくらいのものだろう。
俺は覚悟を決めた。
ところで。
妹の名前なんにしよう⋅⋅⋅⋅⋅⋅
ーーー
俺は準備を整え
「行ってきます母様」
といいロベルトと一緒に病院まで出掛けた。
どうやって行ったかというと、ロベルトがこっそり馬を買っていたのだ。
もちろんクレアにも見つかったが馬を見るのは初めてなのか、驚いた様子だった。
すぐになで回していたけどな。
気に入ってもらえてなによりだ。
ちなみに俺が言う言葉ではないのだがなっはっははっ。はは⋅⋅⋅⋅⋅⋅
出発して少したった。
周りは木、木、木、木!木がたくさんある!
ほとんど変わらない風景に少し飽きてきた。
俺は飽き性なのだ。
例えば大学生のときなんて友達に合わせてゲームを買ったが、3日も続かなかった。
他にも暇だからしりとりをやろう、と自分から誘ったのに開始5分で飽きてしまった。
長続きしたものなんてほとんどないのだ。
そんな俺は我慢の限界だったのでロベルトと話す事にした。
「父様。これからどこに行くのですか?」
「ん?あ、あぁ。この前母さんのお腹の検査をしてもらっただろ?
あそこの町の病院に行こうと思ってる」
なるほど。あの町か。
あの町はいろいろと店が立ち並んでいて活気がある町だった。
あの町の病院ならクレアの病気も治るかもしれない。
俺は期待に胸を膨らませた。
すると、山の向こうが見えてきた。
町だ。