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魔術学院の最強剣士 〜初級魔術すら使えない無能と蔑まれましたが、剣を使えば世界最強なので問題ありません。というか既に世界を一つ救っています〜  作者: 八又ナガト
第二章 迫りくる脅威編

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35 魔族の配下たち

「これは……」

「酷い有様です」


 ミアレルト領に辿り着いた俺たちの前に広がっていたのは、信じられないような光景だった。

 鎧を着た魔術騎士たち数十人が町に向けて魔術を放っている。

 それに対して町側にいる、ミアレルト領の魔術騎士であろう者たちが結界を張ることでなんとか攻撃を凌いでいた。


 けれどそれも時間の問題だ。

 結界はところどころ破壊され、崩壊が近いのが見て取れる。

 そうなれば一般人にも被害が出るだろう。


 それ以外にも気がかりはある。

 あの敵対勢力たちから感じる気配だ。

 これは恐らく――


 俺が結論に至る直前、敵対勢力を観察していたティナが言葉を漏らす。


「あの鎧の形状から察するに恐らくは隣国の者達だと思います、お兄様」

「父上が言っていた、魔族が目撃された国か」


 となると、やはりこの気配は錯覚ではない。

 あそこにいる者たちは例外なく魔族から魔力を分け与えられているようだった。

 人数が多くコストがかかるためか魔族化まではいっていないみたいだが、それでもかなり強化されていることには違いない。

 きっとアイツらの裏側には、ヌーイを魔族化させたのと同じ魔族がいるはずだ。


「――む」


 考えるだけの時間もないらしい。

 敵対勢力が、これまでで一番強力な魔術を放とうとしている。

 あれを喰らえば今後こそ結界は破壊されるだろう。


「ティナ、いくぞ!」

「はい、お兄様!」


 俺たちは瞬時にその場を移動し、結界と魔術の間に立ちふさがる。

 すると一瞬で結界の内側にいる者たちからの視線が集まった。

 そんな中でミアレルト領魔術騎士団のリーダーらしき男性が、恐る恐る口を開く。


「君たちはいったい……」

「話は後です。ティナ、念のため結界の補強を頼む」

「かしこまりましたわ」


 ティナに指示を出した後、俺は剣を構えた。

 眼前には七属性の魔力によって構成された最上級魔術が迫る。

 だが、無駄だ。


「グラディウス・アーツ流、二の型――凪」


 横に一閃。

 魔力の繋ぎを解く特性を持つ斬撃が放たれる。

 その斬撃に触れた瞬間、敵の最上級魔術はいとも呆気なく霧散した。


「なんだと!?」


 100メートル以上離れている敵から驚愕の声が聞こえる。

 これで結界を破壊できると思っていたのだろう。

 敵側が動揺している間に、俺は事情を話す。



「説明が遅れましたが、俺たちはユナの友人です。救援要請があったため助けに来ました」

「ユナ様の!? それは心強い!」

「それで、ユナはどこにいますか?」

「っ、それが……敵のリーダーと思わしき魔族に領主様とユナ様が連れ去られたんだ!」

「なに?」



 これは思ったより時間がないかもしれない。

 すぐにユナのもとに向かわなくては。

 けれどこの場にいる敵を放置していくのも危険だ。

 こいつらは魔力を分け与えられているせいか、一人一人がC~Bランクの力を持っている。

 さすがのティナでもこの人数相手に無傷の勝利は難しいだろう。

 ――仕方ない。


「ティナ、何人ならこいつらを相手にできる?」

「――30人までなら」

「了解。もしかしたら力を分け与えられているだけじゃなくヌーイのように洗脳もされているかもしれない。できれば命を奪うのではなく無力化までにしてほしい」

「もちろん、初めからそのつもりです、お兄様」


 これはこれは、頼もしい妹だ。


 ティナの返事を聞いた俺は剣を構え、散らばる敵側の魔術騎士たちに注目する。

 大声を上げ指揮を執っている者を見つけ、標的に据える。

 ぐっと力強く地を蹴り、俺は駆け出した。



「いったい何が起きた! なぜ魔術が消滅した!?」


 巨大な魔術で死角になっていたためか、俺が消滅させた場面を見ていなかったようだ。現状を把握できていない。

 さらに混乱しているからだろうか、非常に危機意識に欠けていた。

 自分の周りにいた五人が音もなく崩れ落ちたことに気付いてもいないようだ。


「貴様ら、もっと全力を注げ! 町を落とせばあの方も喜んでくださる! そうすれば我らはさらなる力を得ることができるのだから――」

「そうか。その情報、ありがたく頂いておくよ」

「――なっ、貴様は!」


 振り向く指揮官の顎を剣の柄で叩き気絶させる。

 抵抗する時間すら与えない。


「指揮官がやられたぞ!」

「あれは何だ!? なぜ我らの陣形の内側にいる!?」

「そんなことは後だ! 早く魔術を放ち奴を殺せ!」


 混乱が伝播するように、敵たちは落ち着きをなくしていく。

 もともとはある程度鍛えられた魔術騎士団だったのだろうが、こうなってしまえば非常に脆い。

 音速を超える移動と共に、瞬時に二桁の人数の意識を奪っていく。


「駄目だ、目で追えない!」

「攻撃より守りを固めろ!」

「そうだ、時間を稼げばあの方が来てくれる! そうなればあんな奴一瞬で倒してくれるはずだ!」


 敵の意識が時間稼ぎに変わったところで、俺はその場を撤退する。

 残りは20人余り。これならばティナに任せても問題ない。

 戦闘の最中に行った感知のおかげで、ユナのいる場所は把握できた。

 すぐに向かわなくては。


「待っててくれ、ユナ!」


 既にいなくなった敵に怯える魔術騎士たちを背に、俺は全力で駆け出すのだった。

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