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X・x・R(ゼノ・クロス・リアリティ)  作者: 描々云々
【第1章】【Sensation】入隊試験
17/25

実技試験:第一項 その3 『初心者殺し』

 およそ100キロの距離を5時間で完走するとなれば、それは大体時速20キロのペースで走る事となる。

 常人であれば到底不可能なその距離と時間、そして速さ。しかしAA(アナザーアバター)ならば、それを辛うじて可能にできる。

 むしろそれくらいのハードルすら越えられなければ、この弱肉強食、艱難辛苦(かんなんしんく)の【A・V(アナザーヴィスタ)】が混同(コンヒューズ)した世界で生き延びていく資格はないのかもしれない。



「それにしても、凄かったなあ」


 未だ、先程のモンスターレースの余熱が収まらず、ゴール直前の光景を思い出しながら俺は呟いた。

 賭け事には少しばかり抵抗があったが、あんなに熱くなれるものなら20歳(実年18)にもなった事だし、一回プライベートでやるのもアリだな。


「他の子達が半ば諦める中、ブレちゃんだけが虎視眈々(こしたんたん)と勝機を窺ってました。本当にすごかったです」


 モンスター達の心の内が読める阿知波が、俺と同じく初ギャンブルに興奮を隠せない様子だった。


「そういえば、阿知波って何歳なんだ?」


 女性に歳を聞くのは失礼。などとはよく言うが、俺にはそれが全く理解できない。

 別に歳をとっていたって、その年齢にしかない魅力があるのだから、失礼には値しないだろうとよく思ったりもする。若ければ良いってもんじゃない。


「14歳です」


 という事は、まだ賭け事はできないか。ギャンブルは20歳になってからだ。

 そんな具合にたまの雑談を挟みつつ、しっかりペースを保って俺達はルートを走っていく。


 カタブセから送られたマップデータでは、基本的に安全かつ通りやすい大通りが試験ルートとして表示されているが、実際その通りに進んで行かなきゃ行けないルールはない。裏路地などを利用すれば、もっと時間の短縮などができる。

 走るペースに関しては、械動スピードに合わせ俺が飛ぶことができれば、阿知波を持ち運びながらさらに相当なスピードが見込めるが、残念なことにまだそこまで翼を使いこなせてはいない。

 一応阿知波の方も鳥類の友達がいるらしいが、直接体の部位であり羽を動かしている判定の俺と違って、それが果たして乗り物と判断されるか否かは微妙なところなので、あまり使いたくはない方法。

 やるとしても、最終手段だろう。

 チェックポイントがいくつもあるなら、3人で手分けして別々の所に向かった方が効率的かとも考えたが、チーム3人で協力するミッションが課されるかもしれないし、スタンプが押せるのは俺のDDDだけという事でその案も無しという事になった。

 結局チームで固まって行動し、疲れたら適度に休憩しながらというのが一番塩梅(あんばい)かに思えた。


 聞いた話では、生粋の田舎っ娘(いなかっこ)である阿知波は、小さい頃から数え切れない時間を山の中で過ごしたらしく、見た目に反して体力にはそれなりの自信があるらしい。

 それは言う通り、重たいリュック()がなくなった阿知波は瞬間的速度はないにしても、その持久力はかなりのものだった。

 対して俺は、瞬間的速度は中の上くらいであるが、持久力が皆無とっても過言ではない。

 そんな俺達2人の中間で械動がペースメーカーとなり、加えて調べに調べ尽くした街中の的確かつ安全な時短コースを進んでいく。

 

 そうして暫くして、最初のアドバンテージもあってか、俺達は想定よりも大分早く第二チェックポイントに到達した。

 場所は、町中にポツンと構えたパン屋だった。


「いらっしゃいませ!」


 店内へ入ろるとそんな快哉な声と共に、鼻腔(びこう)を擽る香ばしい匂い。

 昼時という事も相まって、店内に並んでいるパン達が異様に美味しそうに見える。しかし、ここでほのぼのしたランチタイムを味わっている暇は今の俺達にはない。


「今回のミッションは?」


 モンスターレース場と同じく、ミッション形式だと踏んだ俺達は単刀直入に店の店員へと切り出す。

 するといきなりなんだ?とばかりに眉を顰める店員に代わって、その奥からこの店の店長らしき大柄なおばあちゃんが姿を現し、一つの紙袋を差し出した。


「コイツを届けてもらう」


 それはパンが内包された袋。配達が今回のミッションってわけか。


「これが配達場所の住所だ、スタンプはその人から貰える事になってる。頑張りなっ!」


 ニカッと男勝りに笑いエールを送ると、おばあちゃんは店の奥へと消えていった。

 そうと決まれば、長居は無用。さっさとパンを届けに出発する。……がその前に、


「ちょっとくらい飯食っても、怒られないよな?」


「アア。マラソン中ニパンナドノ間食ヲ食ベルノハ、ヨク見ラレル光景ダ」


 華々しく陳列するパン達に、俺の胃袋が抑えられなくなる。


「どれにしようかな~」


 こうやって眺めてみると、色々なパンが並んでおり目移りしてしまう。


阿知波(あちは)は何にする?」


「私は、このクマさんパンにします」


 クマの顔を模した丸いパン。何とも阿知波にあったパンだ。しかし、その可愛らしい顔にかぶりつく事ができるのか。


「お前は?」


「オレハ遠慮シテオク、機械ダカラナ」


 械動(かいどう)の方は、どうやら相変わらずのようだ。

 俺はパンの方に視線を戻し、時間もないため優柔不断を押し殺して『大注目!』というシールが貼ってある《ゲーミングマウスパン》を手に取った。

 七色に発光した、ゲーミングマウスの形状をしたパン。美味そうかどうかは微妙なところだが、物珍しさについ買ってしまった。


 パンを購入し店を出た俺達は、早速配達場所の住所を確認し走り始める。

 本当は一も二もなく平らげたかったが、今はマラソン中だ。疲れている中で急に胃袋に大量のモノを摂取したら、気持ち悪くなってリバースしてしまう可能性もあるため、ここはゆっくり少しづつ、よく噛んで食べることにした。


 適度にパンと水分を挟みつつ、例によって械動の案内の時短コースで目的地を目指しているとその道中、俺達が行く先々にて迷子の道案内だの、喧嘩の仲裁だの、ボール探しだの。

 まるで狙っているかのようにトラブルに巻き込まれ、その解決に追い回される。

 おかげでかなりのタイムロス。まるで俺達が通る裏路地を狙っているかのように、ピンポイントで厄介事に遭遇する。

 そして現在、絶賛荷物運びの手伝い中だ。


「悪いねえ、手伝ってもらちゃって」


 何ら特徴のない茶髪の男が、ニコッと笑いながら言う。

 先を急がないと思いつつも頼まれたら断れない性分が(たた)り、面倒事を全部受けてしまう。こういう時、械動なら人の気持ちを考えずバッサリ断るように思えたが、肝心な時に使えないアンドロイドだ。

 そもそも、今先導して荷物を運んでいるコイツらは、本当に意思を持っている現実の人間なのか?と思い始める俺。

 【A・V】には、街中を歩いているAINPCがいた。

 もし厄介事を持ってくるだけの単なるNPCなら、わざわざ親切にコイツらの頼み事をきく必要があるのか。と、懐疑(かいぎ)的な視線を前を歩く男に向けていると、それは狭い路地裏から開けた大通りに差し掛かった瞬間。


「「「キャアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!!」」


 鼓膜がはち切れんばかりのけたたましい悲鳴が、十重二十重(とえはたえ)に響き渡る。


「何だっ!?」


 加えてまるで秩序を持たず、我先にと慌てて駆ける人々。

 大通りを埋め尽くさんとする人の群れが、行列を成し血相を変えてこちらへと迫り寄ってきていた。

 何事かと必死に走る人々のその先、正確にはその上を見て、俺は壮大に瞠目(どうもく)した。


 それは、いつからだろうか……。

 否、この街に入ったその瞬間から、勝手に感じていた|()()()《せんにゅうかん》。


 混同前の【A・V】では、【インセプション】に限らず大きい街には不思議と()()()()()()()()()()()()という絶対のシステムが存在した。

 それは、ゲーム内ではモンスターが入ってこない結界を張っているだとか、はたまた街を護る護衛部隊が人知れず侵入しようとするモンスター達を撃退しているだとか。どんな裏設定があるにせよ、プレイヤー達が街中で安心かつ快適にプレイできるように組み込まれた当たり前の、今更何で?と疑問を持つ方がおかしい子供でも知っている仕様。


 『イベントなど以外で、街にモンスターが入って来る事はない』。


 何故、その可能性を考慮していなかったのかと問われれば、それはもはや言い訳のしようもなく。完全にコチラの落ち度だ。

 俺らは勝手に油断し、勝手に思い込んでいた。

【始まりの街:インセプション】が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だと。

 否、そんなはずは毛頭ない。

 何故なら此処は【A・V】というバーチャルゲームの世界はなく、紛う事なき()()()()なのだから……。



 【インセプション】の街中に突如として現れた上空を悠々と舞う鳥達と、凛々しく靡いた立派な(たてがみ)に、全長5メートルはあろう巨大な体躯。獰猛な爪と牙、そして眼光をこれ以上ないほど主張し、その姿は我らが知る百獣の王を模した大型モンスターが姿を見せる。

 その形容は、拝んだことがある。


 危険度B:《初荒(しょこう)の獅子・レイジルグ》。


 【Another(アナザー)Vista(ヴィスタ)】のストーリーにおいて最初のボスモンスターであり、第一の難所とも称される荒ぶる獅子だ。

 【A・V】のワールドマップを広げるにはまず門番のように待ち受けるコイツの討伐が必須だが、その実力は【インセプション】付近に生息する雑魚モンスターのなけなしの経験値で上げたレベルでは到底太刀打ちできない程の強さ。

 俺も初心者時代嫌というほど殺され、何度リスポーン地点に送らされたか覚えていない。

 協力などのマルチプレイは禁止で、完全ソロでの討伐。

 その強さと、ゲーム序盤での初心者に対する暴れ具合から『初心者殺し』と名付けられた。


 逃げる人々の背に、レイジルグは宣戦布告とばかりに高らかと雄叫びを上げると、逃げ遅れた最後尾の集団一帯をご自慢の強靭な爪で一掃した。

 飛び散る、断末魔と、血飛沫と、肉や内臓の断片。


 おおよそ、目を見張る事しか出来なかった。


 数十メートルでは見るも無残に人が惨殺(ざんさつ)され、恐ろしき百獣の王がいるという絶望の状況。

 心臓の鼓動は爆速で跳ね上がり、頭はショートしたかのように完全に真っ白。視界はその光景から一時も目を離さないように凝視しているが、もはや視点はあっていない。


 __ドンッと、

 一拍置いて俺は、逃げ惑う人達とその肩が強くぶつかり正気を取り戻す。

 ショックで放心している場合ではない。レイジルグの攻撃範囲内にはまだ多くの人が残っているし、上空の鳥もいる。


「ああ、ああっ、ああああああーーーーーッぅつっ!!」


 そんな中、突然の事でパニックを起こし狂ったように悲鳴を上げながら無造作に逃げようとする男が1人。それは周囲をチラつく(はえ)のように一際目立ち、当然狙われる。

 身体を大振りに背を向けて逃げる市民に、レイジルグの次なる強烈な二撃目が迫ろうとしたその直前、


「やめてっ!」


 俺の隣から、目一杯の声を張り上げた阿知波の咆哮。

 振り翳された爪は直前でその動きを止め、レイジルグの視線は明らかに小柄な少女へと遷移する。

 それはおそらく、モンスターと会話できる阿知波でなければ、止められなかった攻撃。

 そのまま阿知波目を瞑り、祈るような態勢で動かなくなる。レイジルグと、対話を図っているんだ。


 このまま阿知波(あちは)がテイムできれば、レイジルグは鎮圧。一番安全かつ手っ取り早く、この場を収める事ができる。

 が、現実はやはり、そう甘くは行かなかった。


 話は中止とばかりに、またしてもレイジルグが強く叫ぶと、鳥の群れの中の一羽が阿知波に向かって猛スピードで肉薄する。


「しまった!」


 半ば不意打ちの攻撃に対し、反応が遅れてしまった俺。

 このままでは鳥の突撃を阿知波が諸に食らってしまうと思われたその時、それを上回るマッハのスピードで阿知波を抱き抱え、紙一重で攻撃を回避した機械が一人。___械動(かいどう)だ。


「大丈夫か?」


 2人の元へすぐさま駆け寄ると、


「すいません、ダメでした」


 申し訳なさそうに阿知波は言った。

 レイジルグの方を一瞥すると、その眼光は先程より一層ギラつかせ、荒い息を放っている。

 〈怒り状態〉。あの状態になってしまったらもうテイムする事は不可能で、すなわち和平交渉は失敗。


 もう一度阿知波の様子を見ると、彼女は腰を抜かしてはいずともその顔を驚愕と恐怖で染め、全身をガタガタと震わせとてもまともに戦えるような状況ではなくなっていた。


 まるで、【破壊の魔人:ディアベルク】を目の当たりにしたあの時の俺のように…。


 ゲーム内では確率という目に見える数字で比較的成功率の高かったテイムでも、プログラミングされたゲーム内とは違い、奴もまた現実に生きる怪物だ。

 1人と1体の会話がどんな内容で、果たしてどれだけの敵意を向けられたのかは分からないが、おそらくずっと山の中で、危険度が低く攻撃性のないモンスターとしか触れ合ってこなかった阿知波は、目の前の強敵と呼ばるモンスターと対峙するのが初めてだったのだろう。

 その怖さは、痛いほど分かる。

 本気で命を賭した戦いにおいて、(おく)し怯んでしまうのは誰しもが通る道だ。

 かく言う俺も、初戦でこんなおっかない奴と正対していたなら、果たしてどんな情けない姿を見せていたか分からない。

 幸いにも、俺はすでに()()を経験している。コイツはあのハーピーに単純な膂力(りょりょく)(まさ)ってはいても、その醜悪さや狡猾さではあの化け物の方が何倍も厄介だっただろうし、ましてやディアベルクなどこの比にならない程の覇気を持っていた。

 こんな奴、もはや犬っコロに過ぎない。


 会話が相当癪に障ったのか、未だ阿知波を強く睥睨(へいげい)するレイジルグ。

 休む暇を与えず、追い打ちとばかりにその体躯を存分に震わせた突進で迫り来るが、


「させるか!」


 すかさず俺は火の玉を投擲し応戦。

 レイジルグがよろめいた隙に械動にアイコンタクトを送り、阿知波を安全なところまで退避させる。

  態勢を立て直した荒れ狂う獅子は鬣を一層逆立て、そこでようやく俺達の事を敵対勢力として認識した。

 さらに、後方から緑色の光が一閃すると、鳥の一羽を撃墜。


「まったく、こんな大通りに堂々とお出ましなんて。君、試験の受験者でしょ?災難だったね」


 振り返るとそこには弓を携えた白髪の女に、

 

「大丈夫か?兄ちゃん!」


 駆けつけて来てくれたその他数十人が加勢に入ってくれる。これなら、戦える。

 おそらくこれは、試験上で仕組まれたミッションやイベントではない。予期せぬトラブルというやつだ。


「初心者殺しとは、この試験に打ってつけのモンスターじゃねえか」


 皮肉交じりにそう呟くと、レイジルグの咆哮を合図に俺達は一斉に走り出した。



 数十分後、俺達は一進一退の攻防の末、なんとかレイジルグと数体の鳥型モンスターを討伐。

 辺りの車や店の外壁などはベッコベコに崩壊し、道路や看板にも複数の衝撃痕。AAが数十人いてもやはり【A・V】時代のようにはいかず、たかが一匹のモンスターにかなりの苦戦を強いられた。

 多少の負傷は見受けられるが、戦闘に参加していた人の中で死者や深手を負った者はおらず、被害者は最初に殺された数人のみで抑えることができた。

 そしてそのさきの戦闘に於いて、俺はほとんど何もしてない。

 助っ人に来てくれた人達が中々の手練れだったというのもあるが、元々慣れないチーム戦で何をしたら良いか分からず、相手の様子を見て右往左往しながら火の玉で援護射撃をしていただけだ。

 倒れたレイジルグは、一拍置いて細かなライトエフェクトになって霧散すると、そこから幾つかのドロップアイテムを辺りに散りばめる。

 素材回収などはどうやら面倒くさい剥ぎ取りなどではなく、【A・V】のドロップ仕様になっているらしい。


 【A・V】の世界では主に、奇抜かつオシャレで拘り抜かれたそのAAに似合ったデザインの〈ユニーク衣装〉を見せるために、鎧や甲冑などといった『装備』という概念が存在しない(一部衣装変更は存在する)。

 代わりに、《加護》というシステムが適用される。

 《加護》は頭、胴、腕、腰、足の5つの部位に装備する事が可能で、その能力もまた千差万別。単純に攻撃力・防御力をあげるモノもあれば能力が付与されるモノもある。

 極稀にだが、自身のAAに完全マッチした《希少加護》というのもある。

 今回のレイジルグの素材は、アイテムや加護生成に使えるだろう。内容は攻撃力アップか、対靭性強化といったところか。

 しかし《加護》というシステムがこの現実世界にあるのは知っているが、どこで生成しているのかまでは知らない。

 過去の【A・V】のマップがそのまま混同(コンヒューズ)したなら、たしか【インセプション】にも何件か生成や販売している店があったはずだが、時間があったら行ってみることにする。


 ドロップアイテムを戦闘参加者全員に均等に振り分け、自分の分をしまおうとステータスウィンドウを開くと、俺は衝撃の事実に気が付く。

 なんと、ウィンドウボックスが無いではないか。

 これに関しては、荷物は袋に入れて自分で持ち運べという現実の仕様らしい。混同というのは本当にややこしいな。

 試験中の手荷物は邪魔になる為できれば避けたいが、かといって折角の上物の素材を諦めるというのも勿体ない。


 そこで、俺達が荷物運びを手伝っていた男、物などを一時的に預かってくれるアイテムボックス屋の茶髪の男に頼んで、俺達の荷物も預かってもらう事にした。

 実は預かった荷物を店まで運搬している最中だったのだが、今更荷物が2、3個増えても変わらないだろう。

 店に着くと大き目のロッカーに俺達は3人分のドロップアイテムを預け、ついでに阿知波のリュックもぶち込んで、やっとのこと本来の目的地である配達場所へと向かった。

 配達場所であるアパートの一室に向かうと、配達依頼主から「遅すぎる!」と溢れんばかりの罵声を浴びせられたのち、挙句の果てにスタンプは押さないと言い出したので必死に謝罪をし何とか獲得。


 ここまででかなりのタイムロスと、無駄な身体・精神的疲労を(こうむ)っているというのは、もはや3人ともが重々承知の事実。

 もはやアドバンテージなどなくなっており、むしろビハインドにまでなっているのではないかと心配になるが、それを口にしたところでチームの指揮とやる気が落ちるだけなので一々口外はしない。

 ただただひたすらに目的地を目指して、凄まじい疲労感に耐えながら俺達は第三チェックポイントを目指すのだった。

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