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狐火

夏祭り ― 初恋 ―

作者: 冬野ほたる



夏祭りにて逢いましょう

浴衣に下駄でカランコロン

愉快に伽藍で騒ぎましょう

祭り囃子で囃し立て

狐と獅子が舞い跳ねる

篝火揺らめく 夏の宵

駆け寄り振り向く名を呼んで

すれ違いざま転んだら

袖すり合うも多生の縁


山車(だし)を曳いては練り歩き

裸足(はだし)でついてまわりましょう

おかめやひょっとこ

寄ってらっしゃい 

みてらっしゃい

洒脱な口上 豊穣祈願


今宵の良い子は余韻に酔って

笛や太鼓で踊りましょう

提灯ともした熱に浮かれて

手からこぼれた紙風船


野望に湿った手で握った手

やけに高鳴る胸の鼓動

鼓動が誤作動 起こさぬうちに

屋台の明かりに引き寄せられた 

飛んで火に入る夏の虫


薄紅の唇に 密かに差し出す林檎飴

差し出した()は誰だっけ?

天然記念の添加物

あの()の選んだ甘い密

恋が羽化され浮かされた

馨りにむせんだ蜜の味


天下分け目の野望は胸で

今宵今夜のこの()に成就

騒ぎの蔭で夜陰にまぎれ

巻かれた帯の 夏蜜柑

祭りにまかせた 夏の秘め事


七夕の花束 その手に束ね

あなたの瞳に彼方の光

映る夜空の銀の河

宵に酔わせて

夜が更けるなら

わたしの瞳に此方(こなた)のあなた

閉じた瞼で察した唇

夏より熱い胸の篝火






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マイナスいちご(シンプル) マイナスいちご マイナスいちご(加工)
作製:歌川 詩季さま
― 新着の感想 ―
夏祭りの造詣がテンポよく描かれていると思います。 夜に溶ける「あの娘」の在り様、緊張感がとても詩的です。 ……こういうの書けるようになりたいとつくづく思いました。 拝読させて頂きありがとうございま…
ともか様のとこから来させて頂きました(*´∀`*) >恋が羽化され浮かされた うわぁ、ステキな表現(*´艸`*) 読むと『韻』がいっぱい踏まれてる。 詩、かぁ…。書ける気がしないorz スゴイです…
小池ともかさまのお話から参りました。 リズミカルでお祭りのオレンジ屋台が見えるようでした。 リンゴ飴の甘い蜜。 食べてみたくなりますね(食べたことないんです……)。 お祭りの熱気よりもさらに熱いものが…
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