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俺の状態の顛末

もう前の更新から1週間も経ってしまっているなんて信じたくない...


今日は例の母の知り合いの詳しい”の”が来る日だ。


あれから母は少し安心したのか、自分1人では何も分からないと割り切ったのか、毎日部屋に顔を出すようになり、やつれた様子もなくなった。

俺もあれからは腹が減ったりオムツを変えて欲しい時には泣いたり、色々動いて笑ったり物をつかんで投げたり、色々元気アピールをするようになった。

それをするようになってから部屋の雰囲気も大分明るくなった気がするし、侍女達の笑顔も増えた。

動き出した最初の頃なんて、俺が何かすると侍女がうれし泣きした程だ。

本当に気付いてよかったよ。俺愛されてるんだな。

前世ではあんな生活してたせいで親孝行なんてできなかったし、今世では親孝行とかしていこう。

とか思っていると、扉がノックされて、侍女長が入ってきた。


「奥様、リージー様がお見えになりました。」


「そう。今行くわ。エド少し待っててね。」


「いえ「その必要はないよ。もう上がらせてもらってる。久しぶりだねエティ。出産おめでとうクククッ」


母が俺に一言言ってお客さんを迎えに行こうとしたら、侍女長の後ろから白衣の女性が現れた。

眼鏡美人だと思うんだが、眼の下の隈に猫背、そしてクククッという笑い方が少し不気味というか、色々台無しにしてるなぁって感じだ。


「リージー!久しぶりね!いつぶりかしら!忙しいはずなのに来てもらってごめんね。どうしてもあなたの力を貸してほしくて。」


「だいじょぶ。私が居なくてあいつらがてんやわんやしてると思うとスカッとするしねクククッ。それに出産祝いも何もできてなかったしちょうどよかったよ。それで早速だけど、その子が手紙に有った例の三男坊?」


「そうなの。私ともフューとも髪色が違うし、少し前までほとんど泣きも動きもしなかったのよ。この頃は少し動いてくれるようになったのだけど、カーシュの事も有るし心配で。二月ぐらい私の方で色々調べてはみたんだけど、何も分からないの。」


「そっか。エティが調べて何も分からないとなると相当だね。そこまでして何も分からないならただの健康優良児って思った方がいい気もするけど。髪色なら別に遠い昔の先祖返りの可能性も有るし。まぁエティは昔から自分以外の人間を心配し過ぎるところがあるからねククッ」


「やめてよリージー。確かに昔はそれで恥もかいたけど、今は昔ほどじゃないわ。でも、今回は自分の子供の事だもの安心したいのよ。こういう事であなたより頼りになる人はこの国にいないの。この子を調べてくれない?」


「当然だよ。半分ぐらいはその為に来たんだし。とりあえず私が創った生体解析用新魔法で見てみるね。心配しなくても大丈夫だよ。もう人体実験は済んでるし、これには危ないことが生じる術式は何処にも組み込んでないから。」


母はそれを聞いて安堵の表情を浮かべると、「お願い」と言った。


それを聞いたリージーさんはベットに寝かされた俺の方に歩み寄ると、『解析‐生体』(アナライズ‐リブ)と何か聞き取れない言葉を発した。

その後、リージーさんは「ほうほう」とか言いながら俺を見ている。

俺からでは何をされているのか何も分からないが、リージーさんは何やら魔法で俺を調べているらしい。

何をされてるのか分からないが、なんだろうと思いながらリージーさんをじーっと見つめ返していると、一瞬リージーさんの右目に大きいモノクルにゴテゴテ装飾を施したような物が見えたが、幻だったかのように見えなくなってしまった。


「ほう。流石だね。うん。エティ分かったよ。私にかかれば一瞬だったねクククツ。端的に言うと、何も心配はいらないよ。呪いや病気の類は全くない。健康そのもの。逆に祝福されている……のかな?と思うよ。」


「祝福?どういうこと?リージーが心配ないって言ってくれるのなら大丈夫なんでしょけど、何か特別な事が有るなら知っておきたいわ。」


「んーーごめんね。祝福については8割当てずっぽうというか、さっきの私の魔法は生物の状態を調べる為に創った魔法なんだけど、どちらかというと負の状態を詳細に調べるようにできてるんだ。カーシュ君のことも有るしね。特に祝福なんて言うのはもうおとぎ話と言ってもいいだろう?だから正の状態、分かりやすく言うとバフ状態については、一緒くたにかかってるかかかってないかぐらいしかまだ分からないんだ。この魔法の目下の改善課題だね。」


というとリージーさんは一度言葉を切った。そして、少し真剣なまなざしになって母の目を見つめながら言葉を続けた。


「当てずっぽうだけど、私の知識に照らすと、この子は祝福されてる。それも、アナテシュ様に。その理由は、あなたがずっと気にしていた髪よ。エティも銀髪見たことぐらいあるよね?普通の銀髪はこんな風にならないよ。クククッ。これで見るとよくわかるんだけど、この子の髪正確には銀髪じゃない半透明で光を放ってるんだ。それが銀髪に見えてるだけ。」


そう言いながらリージーさんは右目の所を指さす。やはりあそこにあのモノクルみたいなの有るんだな。

あと、アナテシュ様って誰だ?聞いたことないが、周りの反応を見るにかなり凄い存在みたいだ。俺を転生させた神様とか?会ってないけどなぁ。こういうので神様に転生させてもらう系なら会ってるのがテンプレでは?などと思いつつも、やっぱり神様なんてのは居ても身勝手なものだし、一々面通しなんてしないんだなと思った。


「でも、髪が光ってるからって何故祝福なんて話になるの?しかもアナテシュ様からの加護だなんて。アナテシュ様がこの世に積極的に介入なさらなくなってもう何百年も経つのよ。教会には交信できる巫女様も居るとは聞くけど、私は疑わしいと思ってるぐらいよ。もちろん信仰はしているけれど。」


「そう、アナテシュ様がお陰りになられて数百年。もう御伽噺のようになってしまったけど、昔の文献を漁れば、アナテシュ様は人を愛されているし、頻繁に祝福もされていた。その祝福の中に、魔力髪(まりょくはつ)というのが有るんだ。この子の髪の特徴は文献に有る魔力髪の特徴そのものだよ。この髪が本当に魔力髪だとしたら、アナテシュ様の祝福に違いないよ。」


「魔力髪……。そんな祝福が有るのね。この子の髪が魔力髪だとしたら、どうなるのかしら?」


「古い文献を鵜呑みにするなら、とんでもない魔法使いになると思うよ。文献には魔力髪の祝福を受けた魔法使いはその力で海を割り、空に穴すらあけたと書いてあったから。クククッ。それに、この子もう魔力が使えるみたいだよ。多分だけど私のこれ見えてたもん。エティには見えてるだろうけど、誰にでも見える訳じゃないよ。ちゃんと隠蔽式も簡易的なものだけど組み込んでるんだから。クククッ」


「そんな……。そう……。だとしたらどうすれば良いのかしら。本当にそうだとしたらとんでもない事よ。知られてしまったらこの子は普通に暮らせなくなってしまうかもしれない。いくら家が北方三家のギルヴァン家だと言っても守り切れるかどうか。」


「そこら辺についてはフューディアと話し合った方がいいと思うよ。でも、私としては先祖返りで銀髪になっただけて事にするのをオススメするよ。エティの言う通り、知られたらかなり大事になるだろうから。なんなら、私が先祖返りだって証明人を務めてもいいし。そう言えば、フューディアはどうしたんだい?元パーティーメンバーの私が愛しの息子を診断に来てあげてるのに顔も見せないなんて、そんなに忙しいのかい?ククッ」


「ありがとう。リージーが証明人をしてくれるなら心強いわ。フューとも話し合ってからになるけど、多分お願いすると思うわ。その時はお願いね。」


母はそう言うと、少し寂し気に外を見て言葉を続けた。


「フューは4ヶ月前に魔物討伐に行ったきり帰ってこないのよ。定期的に伝令は届いてるし、無事なのは分かっているんだけど、魔物がかなり多くて手こずってるみたいなの。十年前の大氾濫程ではないみたいだけど、年々魔物が増えてるみたいなの。本当は私も付いていきたいぐらいよ。昔は百年~二百年に一度だった大氾濫の感覚がどんどん狭くなってる。これじゃぁいつまた大氾濫になってもおかしくない程よ。」


「それ程かい?あの時は本当に凄かった。良く私達4人も無事に生き延びられたよね。あの時なんて……


それから母とリージーさんは昔話に花を咲かせ、数時間はしゃべっていたと思う。俺は邪魔しない様に基本的に修行して過ごしたが、後半はリージーさんに抱いてもらったり、遊んでもらったりと茶会に参加させてもらった。


その後リージーさんは数日滞在して帰っていった。結局父は帰ってこなかったので、どうするか決まったら連絡することになったようだ。

リージーさんは長男のカーシュ兄さんも診てくれたみたいだけど、まだ赤ん坊の俺にはカーシュ兄さんがどんな状態なのかは分からなかった。

何度か顔を見せてくれた時は元気だったと思うんだが。わからん。

リージー先生による設定説明回

『』で囲った発言は聞き取れない言語が発された時に使う予定です。

今回だとリージーの使った魔法の発声はエティア以外にはさっぱり何を言っているか分かっていません。エティアも聞き取りはできていますが、それだけで、もしそのまま発声できてもリージーの魔法を使う事はできません。

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