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俺が死んだ日

書きたいもの、こういう作品が読みたいんじゃ!と思ったものを書きました。


俺は異世界転生に憧れている。

いや。異世界転生を望んでいる。

俺としてはそれだけ。そして、その為にほとんどの時間を使っている。

他人から見れば、それは狂っているらしい。

よく知人友人、その他のご近所さん等から奇異の目で見られた。でも、俺はこれを止められなかったし、止める気もなかった。

そして何より、家族が止めなかった。俺がどれだけ異世界転生というものにのめり込み、他から見ればおかしいと思われる行動を取っても俺の家族は止めなかった。それどころか、自分のやりたいことが一番だ。思う存分やればいい。他人の目は気にするなと言ってくれた。

まぁその後、成人後までは養わんからそこは自分で何とかしろよとも言われたが。


何時からだろうか。異世界転生などというものに憧れ、望んだのは。

昔から人並にファンタジーが好きで、漫画や小説等をよく読んだし、ゲームもやった。

小さい頃は外で遊ぶよりそういった家の中で時間をつぶす事が多い引っ込み思案な性格だった。

創作物の中のキャラクター達が使う色々な技や魔法に憧れ、自分ならこうしたいとか、あの世界に自分が行ったらみたいなことはよく考えたものだ。


そんな俺が異世界転生物という創作物に出会ったのは、確か中学生だか高校生だかそんな年だったと思う。世間ではそういう転生物は流行りまくった後で、小説や漫画がたくさん出ていて、俺が知ったのはその後有名タイトルがアニメ化までされた時だ。

初めてアニメで転生物を見て、衝撃を受けた。今まで創作物を楽しみ、その中に自分が行ったらとかあのキャラクターのあの技が出来たら。なんて思っていた俺は、モンスターが居て、魔法があって、戦ったり成長したりする違う世界があって、そこに自分が生まれ変わって冒険するなんて話はとても魅力的に映ったのだ。そして、俺は転生物にどっぷりはまり、年表を遡るように、今まで知らなかった、そして流行ってきたいわゆるなろう系な創作物を漁りまくった。


それを俺は楽しみ、憧れた。でも、大体の創作物において俺は違和感をずっと拭えなかった。

それは、主人公が誰も努力していない事だ。大体の場合何故か主人公は最初から凄かったり、物語が始まって1話か2話もすれば突然凄くなるのだ。そこには努力や特別な事情は全く描かれない。

特に転生物では、最初に神様が登場すると主人公に腰が低くて謝り倒し、特別な力を授けるだとか、

前世の記憶があるから知識でチートだとかという物が多い。


特別な力を授けられる場合、神でも別の特別な何者かでも、何故か手違いで殺してしまったとか適当な理由で主人公に腰が低く、しかも主人公側が高圧的だったりして、生き返らせるだけではなくて特別な力まで渡して手厚いサポートまでして生き返らせる。おかしいだろう?

俺達が手違いで蟻を踏み殺した時、まず俺達は殺してしまった。なんて思うだろうか。まず思わない。気付いたとしても、それは踏み”潰しちゃった”だ。まず生きていた命として扱わないだろう。

ましてやそれに謝って、手厚いサポートとしてその蟻の所属していたであろう巣に砂糖を毎日ふるまったり、そんな事するか?絶対しない。世界を管理している存在。しかも俺達を生き返らせたりできる存在にとって、俺達など蟻かそれ以下のはずだ。


知識チートでもそうだ。戦争での戦術だとか、現代に有った有用な機器やら色々な情報を前世の知識が有る。を理由にバンバン出す。

転生する前はただのサラリーマンだか高校生だか様々だが大抵は”一般人”

それが前世で聞いた事が有る!ぐらいで具体的な戦術をきちんと把握していて状況を打開したり、ミシンが有ったらなぁで説明したら出来た。とか、戦術や現代機器はそんな生易しい物ではない。


といったように、他にも様々あるが大抵物語が始まれば主人公は凄いのだ。それが俺には納得できない。ストレスなく、考えずに読める。確かにそうかもしれないが、凄さというのは日々の努力や鍛錬、研鑽によって発揮されるものである。それが俺の考えだ。

だから、何の努力もしておらず、情報収集をしていた訳でも無い主人公が異世界に行った途端にとてつもない力を持って、もてはやされるのだけはずっと違和感だったのだ。


だから俺は、いつ何時転生してもいいように、日々努力し、研鑽し、鍛錬し、情報収集も怠らない。


そう。俺伊丹修(いたみおさむ)(45)は転生に憧れ望んだその日から一日も欠かさず努力し、学んできたのだ。


当時もやしっ子だった俺は体力づくりから始め、すぐに剣術(剣道ではない)と空手を習いだし、鍛錬に明け暮れた。そして家ではネットを使って転生した後役立つであろう知識、情報を調べノートに書き写し始めた。そうした生活を大学卒業まで続けると、そのまま自衛隊に入隊し、そこで33になるまで必要だと思われる事が習得できると思う科を転々としながら勤め、更なる実戦を求めてアメリカ軍に入った。そこでイラクやアフガンへの派遣、その地域での戦闘等も経験し、43で退役。

その後はフリーで傭兵をしたりしながらも基本的には今までやってきた資産形成による不労所得で生活し、持てる時間の全てを転生の為の準備に充ててきた。


正直、何故出来るかも分からない転生の為にここまで人生の大半を注ぎ込めたのかは分からない。

だが、俺は真に転生に憧れ、転生を望み、ありえない事と分かっていながらも、もし万が一の時に後悔しない様に生きてきたのだ。


そして今日、傭兵として久しぶりのアフガンで要人警護中に襲撃に会い、死んだ。

修はおかしいぐらいに異世界にもし行けたらを考えてその為の準備をしてますが、後悔の無い生き方をしているだけです。

実は事前にお告げが・・・みたいなのは無いです。

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[一言] めっちゃ頑張るじゃん
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